処女作とは、黒歴史の別名
《登場人物》
林堂 凜
主人公。 小6、男。
幼なじみを護るため、父から、戦闘訓練を受けて育った。
任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。
オリガ・エレノワ(オーリャ)
日本で言う、小6、女。ロシア人。ナディアの実家のメイド。凜の五先の相手。バロチスタンで、彼女の命を救って以来、主人公の事が好き。
梁 梨花リャン・リーファ
小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。主人公が好き。
香咲 ナディア=マフディー
小6、女。パキスタンと日本人のハーフ。主人公と同じ学校。主人公が好き。
氷室 恵
小5、女。女優志望。主人公と、市街戦をくぐり抜けた。主人公が好き。
鈴木
メグのママ。事務所では、メグのメイクを担当。
田中
メグのパパ。小さな、芸能事務所を経営。
ハスマイラ
二十歳半ば。女。リーファの護衛。
リーファのパパが好き。
シヴァ
リーファパパの社員。元・英国特殊部隊隊員。
ボーン
リーファパパの社員。元・米国海兵隊員。
夏の終わりを告げる、ツクツクボウシの声が、
3人の立つ、エレベーターホールに降り注ぐ。
午後3時前、暑さは弱まる気配なし。
氷のような表情で、娘の返事を待っている、鈴木さん。
メグは、ほっとした様に笑った。
「あー、『興味なくも無いけど、遠慮しとく』って言うから、軽めのトコ、厳選して渡したヤツだね? 2TBの、外付けハードディスクで、渡そうとしたら……」
石化する、僕達の前で、雪女は照れたように笑う。
「パソコン持ってないって言うから、3日かけて焼いたんだー。
『k-popアイドルのチケットより、いいものあげる』って、呼びだしたんだよね……」
しんみりした顔で、5階のエレベーターホールから、鉄柵の向こうの、空を眺める、メグ。
「あの頃は、スゴく仲良かったんだな……」
絶対、その辺りから、スゴく、仲悪くなっていったんダヨ、気付けよ?
……いや、マキ。
なんで割るか、捨てるか、キレるかしなかったの?
友達だったんだろ?
オマエが、甘やかすから、こうなったんじゃない?
八つ当たりだってわかってます、ハイ。
握り締めた拳に、血管を浮かび上がらせてる、鈴木さんから、僕は、そっと距離を取る。
それに気づかないメグは、手を後ろに組み、小石でも蹴ってるカンジで、照れ笑い。
「脚本わぁ、メグの自作なんだけどぉ、知り合いの脚本書いてるプロに見せたら、
『冒頭に、謝辞とか書くの、出版してからにしよ? そこからだよ』
って言われて、読んでもらえなかったのよう……
マキ、DVD渡してから、機嫌悪かったから……」
僕は、いたたまれなくなって、背を向けた。
「お詫びに、そっと、机の中に突っ込んどいたの……DVDとか、いらないから、感想だけ…… 何で泣いてんの、ママ?」
生ケツをシバく音、辺りを揺るがす悲鳴を、ドア越しに聞きながら、僕は、父さんの部屋で、目当てのものを見つけて、引き返す。
「イタイ、痛いよう! お外で、お尻丸出しはやめてよう!」
「オマエはっ、オマエって娘わぁぁぁ!」
噛み締めた唇から、血を流し、剥き出しの尻を叩いてる、閻魔・鈴木。
もう、誰も止められない……
けど……
「鈴木さん、待ってください」
「林堂くん! お願い、止めないでちょうだい!」
「いや……近所の目もありますし……多分コイツ、なんでぶたれてるのか、わかってないし……メグ」
一応、鈴木さんも考えてたのか、見られない様、生ケツは壁に向かって晒されてた。
音速で、パンツを上げるメグ。
僕に、わっと泣きついて来ようとする。
「凛!ママがひどいよう……え?」
僕は、ちょうどDVDが100枚重なった、プラスチックケースを差し出す。
「これ……『銀河英雄伝説』と、無印『ガンダム』、ファースト『エヴァンゲリオン』の焼いたやつ。コレだけは見とけって言う、神作だ」
メグが、お尻をさすりながら、困ったように笑う。
「えー……凛が言うなら、冒頭くらいは観よっかなあ……でも」
メグが、人差し指を振りながら、可愛らしくとがめてみせる。
「趣味の押しつけは、いけませんよ? どんなにイイものでも、無理強いしたら、逆効果」
その後ろで、下の牙と二本の角を生やした、異形の鈴木さんが、スタンバってるのも気づかず、横ピース。
さすが、腐っても芸能人、キマってる。
そして、脳ミソにも、ヘンなクスリが、キマっていた。
「まして、感想とか聞いちゃダメ! 『ほめてくれ』の一択だもん…… 意味ないデショ?」
「わかっとるやんけ、バカ娘ェ!」
「イダイ、イダイ! 顔っ、顔だけはヤメテ、女優なんだからあ!」
鈴木さんの、容赦ない往復ビンタで、おたふく風邪みたいな、パンパン顔になってく、メグ。
真顔で、見守る、僕。
「ああああ! 今から、会いに行くから来なさい! サイアクは、土下座、いえ、土下寝よ!」
僕は、取って来ておいた、メグのトートバッグを渡して、疲れた様に笑ってみせた。
「大変ですね、鈴木さん…… きっと、もうちょっとだから、頑張って」
信じられない顔で、僕を見つめる鈴木さん。
メグを突き飛ばすと、怖い目でぼくを見つめたまま、いきなり、抱きしめられた。
ぶっちゅうう、と唇を奪われる。
「ぎゃー!」
毛を逆立て、ホラー映画の様な悲鳴を上げる、実の娘を尻目に、僕にグリグリ頬ずりする。
「もう、あなたって子は…… なんてカワイイの? 地獄の中のオアシスだわ」
イミフな事をわめきながら、グルグルパンチを振り回す、メグの顔を押さえ、呆然とする僕に、真剣な顔で言った。
「迷惑ばかりで、ゴメンナサイね? この恩は、後で、必ず…… 何なら、ワタシで」
「返さんでエエわ、ボケェ!」
「しゃべるな、バカ娘! 土下座合戦、負けるもんですか!」
エレベーターを呼ぶこともなく、泣きわめくメグを担いで、階段へと消えた。
取り残された僕。
大人の唇も、柔らかいんだなあ……
なんか、ドキドキしながら、ぼんやり立っていると、どこからか、ボソボソと声が聞こえる。
扉の向こう、階段の踊り場からだ。
泣き叫ぶ声は遠ざかっていったから、メグをじゃ無いはず。
ここは、5階。
住民以外は、いないはずだし、タバコを吸う人もいない。
HAZEの事もあるから、一応、確認しとかなきゃ。
念の為、家から、銃の入ったワンショルダーバッグを取って来てから、階段へのガラスドアを開ける。
声の主は、上の階の踊り場にいるみたいだ。
毎日23時頃、週7更新を目標にしてますが、火曜と木曜は、25時になる事が多いです。
祭日、日曜は、早めに投稿する事もあります。
宜しくお願いします!