強襲 -レイド-
前回と、前々回、説明不足に思えたので、少し書き直しました。
m(_ _)m
《登場人物》
林堂 凜
主人公。 小6、男。
幼なじみを護るため、父から、戦闘訓練を受けて育った。
任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。
オリガ・エレノワ(オーリャ
日本で言う、小6、女。ロシア人。ナディアの実家のメイド。凜の五先の相手。バロチスタンで、彼女の命を救って以来、主人公の事が好き。
梁 梨花リャン・リーファ
小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。主人公が好き。
香咲 ナディア=マフディー
小6、女。パキスタンと日本人のハーフ。主人公と同じ学校。主人公が好き。
氷室 恵
小5、女。女優志望。主人公と、市街戦をくぐり抜けた。主人公が好き。
鈴木
メグのママ。事務所では、メグのメイクを担当。
田中
メグのパパ。小さな、芸能事務所を経営。
ハスマイラ
二十歳半ば。女。リーファの護衛。
リーファのパパが好き。
シヴァ
リーファパパの社員。元・英国特殊部隊隊員。
ボーン
リーファパパの社員。元・米国海兵隊員。
「何でそんな事言うのよ、ママ! メグがっ、どんな気持ちで……!」
鈴木さんが、バカにする様に、手を広げた。
「別にぃ? ランドセル背負った子供が、先の事ばっか心配してるから、オカシイだぁけ」
「それの何が悪いの…… 披露宴会場の候補とか、どの席に、ジャスミン、座らせたら、イチバン晒せるかとか……自由帳2冊分に書き込んでるメグの、何がオカシイのよっ!」
……頭、かな?
鈴木さんが、高笑いした。
「招待される側に、なっちゃったわねェ……あ、林堂君、また、恩ができちゃった……んー」
不意打ちで抱き寄せられ、こめかみにキスされた僕。
「アッー……!」
『ヤらないか?』のアベさんの様な声を、上げて絶望するメグ。
鈴木さんの豊かな胸に顔を埋められ、必死でタップする、僕。
タンスから、何かを取り出し、苦虫を噛みつぶした顔で、それを見てる田中さん。
やめて、地獄絵図ダヨ!
「あ、メグさん、お構いなくぅ。 だってアナタにはもう、関係ないでしょ? ねー」
そう言って、体を傾け、ニッコリ笑う鈴木さん。
え、その不意打ち、ヤバい!
さっきまで、冷たい顔してたのに、そんな風に可愛くされると、ドキッとしちゃう!
「ムッキーッ!」
「よしなさい、二人とも……林堂くん、汚れてるけど、コレ」
メグのパパに手渡されたのは、使い古された硬球。
意味も分からず、受け取って戸惑う僕。
「ちょっと、アナタ!」
「パパ、何で!?」
メグと鈴木さんが、悲鳴の様な声を上げる。
「え? え?」
「……今度、来るときは、それを持ってきてくれ。キャッチボールでもしよう……」
阪神が逆転負けした、トラキチみたいに肩を落として、背中を向ける、メグのパパ。
「車回してくる……遅くなったけど、家まで送るよ」
「あ、いえ、お父さんが、表で待ってると思いますんで……」
「そうなのか? そりゃ、いけない、散々待たせて、お詫びを……」
僕は、スマホを確認しながら言った。
「いや、そういうのは、また……ヤベ、『車駐めてたら、職質キタ』って……」
「「「えぇっ!」」」
「行きます! じゃ、ボール預かります……メグ、またな!」
「ゴメン、遅くなった!」
100mほど走って、軽トラの助手席に、あわてて乗り込む。
不貞腐れた顔で、父ちゃんが、僕を横目でニラむ。
特徴のない顔、アゴヒゲに、作業着。
仕事帰りか、申し訳ないな。
「おま、どんなけほど、待たせんねん?」
「いや、マジごめん……母さん、怒ってるかな?」
「スマホ没収やて」
「うわあああ!」
予想通り!
しかも、最悪の!
僕は、思わず父さんの作業着の、袖を掴んで揺する。
「それだけ、それだけはヤメテ! ジン達とヴァロラント出来なくなるぅ!」
もう、オーリャから、連絡来るかも、とかは、八割あきらめた!
だからこそ、だからこそッ!
この上、小学生の癒やしまで、持ってかれたら、生きていけない!
うっとうしげに、振り払ってシッシッてすると、エンジンをかける。
冷たいなあ。
「……ニオイすんぞ。撃ったんか?」
「メグがね……必要だった」
「ほっか……」
フロントライトが、夜の生活道路を照らす。
人通りは、ない。
軽トラがノロノロと走り始めた。
「あーあ……サイテーだ。メグには絶交されるし、スマホは没収、明日は学校……」
「話はついたんか?」
食い気味にさえぎられ、ため息をついた。
「まあ。僕の出番は終わり……」
「じゃ、あれなんや?」
「……ナニが?」
父ちゃんは、スピードを落として、呟いた。
「強襲や」
言ってる意味が分からず、間抜けな声が出た。
「ハ?」
「ズイブン、可愛いのが……な」
タタタ、と近づいてくる、軽い足音。
聞き覚えが……って思った時には、荷台が揺れた。
「うわっ!?」
狭い車内で首だけ振り返り、油で薄汚れた小さな窓越しに、見えたのは……
荷台に飛び乗った、仁王立ちの、雪女。
パーカー、スパッツ、スニーカーの『出入り』仕様のまま。
色々、ツッコミたかったけど、満月を背負って、胸を弾ませてる、白い顔に目を奪われた。
同じだ。
僕の背中を護ってくれた、あの時の顔。
『相棒仕様』の雪女!
口を開け、情けない顔で、後ろをのぞきこむ、僕達。
何故って?
トートバッグを横に置き、汚れた荷台の上で、膝を揃えて正座した、メグ。
次のセリフが予測できたからだ。
深々と、頭を下げ言った。
「家を追い出されました。助けて下さい」
5秒でバレるウソに、父ちゃんは呟く。
「どこが話ついてんねん……母ちゃん、怒るで」
「メグちゃん……アンタ、人の迷惑って考えたか?」
「返す言葉もありません」
午前0時前のリビング。
数日前、妊娠騒ぎで、オーリャと一緒に叱られた場所。
全員正座で、メグは茶道で言う、『真』の姿勢。
要するに土下座だけど、所作がキレイだから、なんか、みじめさはない。
『見習おーぜ、相棒?』
うるせーよ、カラ太郎。
葉巻吸ってる脳内カラスに、ツッコミ、ため息をついた。
メグの後ろでビビリ切ってる、僕と父。
寝間着で、眠る寸前だった、母さんの不機嫌さはMax。
さすがに、メグを荷台にってワケには行かないから、クッションのない鉄板に、寝そべって隠れる事30分。
体、メッチャ痛い。
マジでメグ、何考えてんだ?
『もう会いません』って言って、1時間もたたないうちに、僕の家。
異次元すぎるだろ?
こんな強引なマネしても、母さん達怒らすだけだっての。
そう思ってた。
でも。
雪女の頭のキレと、用意周到さは、僕の想像なんか、遥かに越えてたんだ。
毎日23時頃、週7更新を目標にしてますが、火曜と木曜は、25時になる事が多いです。
祭日、日曜は、早めに投稿する事もあります。
宜しくお願いします!