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煽るぞ! 鈴木さん


《登場人物》


 林堂 凜


 主人公。 小6、男。 


幼なじみを護るため、父から、戦闘訓練を受けて育った。


任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。




オリガ・エレノワ(オーリャ



日本で言う、小6、女。ロシア人。ナディアの実家のメイド。凜の五先の相手。バロチスタンで、彼女の命を救って以来、主人公の事が好き。



 梁 梨花リャン・リーファ 


 小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。主人公が好き。



 香咲 ナディア=マフディー


 小6、女。パキスタンと日本人のハーフ。主人公と同じ学校。主人公が好き。



氷室 メグ



小5、女。女優志望。主人公と、市街戦をくぐり抜けた。主人公が好き。


鈴木


メグのママ。事務所では、メグのメイクを担当。


田中


メグのパパ。小さな、芸能事務所を経営。



ハスマイラ


二十歳半ば。女。リーファの護衛。


リーファのパパが好き。




シヴァ


リーファパパの社員。元・英国特殊部隊隊員。




ボーン


リーファパパの社員。元・米国海兵隊員。



 僕は、メグが何を言ってるのか、分からなかった。


 両親は、何も言わない。


 ただ。


オーリャ(オリガ)と、同じ事を。


 去って行った彼女と、同じ事を言う女の子が、目の前に現れたことに、背筋が冷たくなっていた。


 なんで?

 

『リンドウが、イチバン、ダメ』


 オーリャに言われた、セリフがよみがえって、また心をえぐる。


 23時に近い和室。


 古びてるけど、よく効いてるクーラーの冷気にも関わらず、イヤな汗が浮く。

 

 僕は、正直に訊ねた。

 緊張で、ノドがカラカラだ。


「それ……オーリャにも言われたけど……どう言う意味なの?」


 見下ろす僕の前で、座り込んで、顔を覆ってる雪女。


 アップにしてたのに、クセもついてない、黒髪がさらさらと流れてる。


 それには答えず、逆に訊かれた。


「……なんで、そんなにメグの気持ちが、分かるんですか?」


 僕は即座に言った。


「オマエだって、僕の事分かってるだろ? 何が不思議なのさ?」


 メグが、顔を上げて喚いた。


「全然ちがう! メグは、死ぬほど好きだけど……凛は、違うじゃない!」


 何言ってんだ、コイツ?


「関係ないだろ? 俺、オマエが死ぬくらいなら、自分が死んだ方がマシだったって、今でも思うもん」


 言葉を、飲みこむメグ。


 田中さんが、吐き捨てた。


「そういう事を、本気で言えるのも、そんなコト言って、笑われない小学生も、君だけだからだ。ワカランか?」


 鈴木さんの、鋭い声。


 「パパ!」


 「……すまん。口を挟んでしまった」


「友達、彼女、仲間……呼び方なんかどうでもいい。それくらいには、オマエが大事だ。間違ってるか?」


「間違ってるッ! だから、そういうトコでしょ、何でワカンナイの!?」


 メグは、僕がリーファから借りた、ミッフィーの半パンを握りしめる。


「女の子は、自分の事だけ見てほしいの……みんなに優しい、恋人なんか……欲しくないよ」


 ボタボタと、畳に落ちる涙。


「空港で、オリガさんが言った事、覚えてる?」


 忘れたいよ。


 無言の僕に構わず、声を絞り出す。


「『凛は、いつか誰かの為に死ぬ、凛に、自分が壊れされてく……』あそこにいた、リーファさんも、ナディアさんも、なんなら、いなかったジャスミンでも、その意味は分かる……


 メグが、ホントに理解したのは、ついさっきだけど」


「温かい家庭が欲しい、とも言ってた……


 なあ、オマエに聞くのは違うけど……


 僕って、そんなにフツーな事、向いてないのか?」


「本気で言ってる!?」


 メグが、僕を見上げ、叫んだ。


「危険な方にばかり向かってく、誰にでも優しくて、いつ死ぬか分からないッ、ダメに決まってんでしょ!」


 メグは、畳に手をついて、ようやく自分を支えてる。


「なのに……魔法みたいに、メグの気持ちを理解してて……時には、パパとママよりも……もしかしたら、自分の事をイチバンにって……夢見ちゃうじゃないですか……」


「いや、誰でもって訳じゃ……」


「ふざけてるのっ!?」


 田中さんが、盛大にため息をつき、鈴木さんも額を押さえて、呟く。


「わざとじゃないとこが、何とも……」


 え、僕やらかしてるの?


 マジで?


 でも……


「いや、オマエらの方が、よっぽどエスパーじゃん? 僕の考えてること、ピンポイントで、当ててくるし。それに……」


 僕はうつむいた。


「女の子の、気持ちがわかるなら、こんな事になってないし……フラレたり、しなかったって」


「……怖かったですよ」


 ポツリとメグがもらした。


「凛と、二人で殺し屋達から、逃げのびて……それに比べたら、同級生なんか、何ともないって思ってた……けど」


 メグは、気持ちを畳に吐き出す。


 両親も近寄らない。


「マキ達に追いかけられた時、怖くて死にそうだった……その時、気づいたの」


 メグの声が涙で、ゆがむ。


「あの時、メグががんばれたのは、凛がいたからだって……だからッ!」


 四つん這いで、雪女は叫んだ。


「凛がいないと、何も出来なくなるのが怖いの!オリガさんとおんなじ! だから……」


 何度も荒い息をついて、メグは……

 言った。


「もう会いません」


 キューティクルの光る、後頭部を見せたまま、悲痛な声を上げて泣く、年下の女の子。


 まただ。


 またこれか。


 心がゴッソリ、ショベルカーかなんかで、削られた様な気分だ。


 「わかった」


 僕は静かに言った。

 

 メグが、そう言うなら……


 そもそも、オーリャを選んだのは僕だ。


「でも、今日みたいな事があったら、呼んで欲しい……オマエ、一人で無茶するから」


「……話、聞いてました?」


 僕は安心させたくて、笑ってみせた。


 「つきまとったり、しないって」


「そうじゃなくて……その時、彼女がいても、そんな事するつもり?」


 僕は、今度こそ、ホントに笑った。


 「無いよ。彼女なんか、一生いらないから」


 時計の、秒針の音が聞こえる、静けさ。


 メグのしゃくり上げる音すら、トーンダウン。


 え、何?


 何、その珍種のカメムシを、見るような目?


 何で、そんな目で見るの、3人揃って?


「本気で言ってるくさい……それ、楽屋でモデルのコ達から、一生聞かされてるんデスケド……


 勿論、次の日にはなかった事になってます」


 僕は、ムキになって叫んだ。


「一緒にすんな! もう、コリゴリなんだよっ! とにかく、そういう事だから! じゃあな」


 僕は、呆れ顔の二人に頭を下げて、出口に向かう。


 空腹も限界だし……


 何より、父さん待ってくれてるかなあ。


「ナニよメグ、あなた、全然ヘタレのままじゃなあい」


 鈴木さんの呆れた声に、僕は思わず、足を止めた。


 矢継ぎ早の、強烈な言葉のビンタが、メグに炸裂する。


「要するに、ロスが怖いから、自分の思い通りになる、そこそこキライじゃない人を選ぶのね?

 

婚期を逃しかけた、女みたいに……ま、お似合いかな」


「ママに、何がわかるのっ!」


 冷たい眼差しは、メイク(仕事)してる時の、『鈴木』さんだ。


「分かりたくもないわあ。間違いなく、オリガちゃんも後悔してる」


「ほ、ホントですか!?」


「凛、そんなトコだけ、食いつかんといてっ!」


 うわ、鬼女の顔やん!?


 ナンダヨ、二度と会わないって、自分から言ったじゃん、関係ないじゃん!?


「アタリマエよ。こんな絶叫マシンみたいな男の子を好きになる女が、フツーの相手で、満足出来ると思う?


 なら、あなた、代わりになりそうな男のコ、周りにいるのお?」


 悔しそうに、唇を噛む雪女。


 タンスに歩み寄る、田中さんを尻目に、鈴木さんは煽る。


「後の3人、間違いなく、こう思ってるわあ。


『オリガちゃんが去って…… 最大のライバルが消えてラッキー』って。


 特に、ジャスミンちゃんあたりィ。ホラあ、アメリカ人って、合理的じゃない?」


 ブチッ


 鈴木さんの、ジャス子(同級生)指名で、メグの血管の切れる音が、確かに聞こえた。


 

 

 

 



毎日23時頃、週7更新を目標にしてますが、火曜と木曜は、25時になる事が多いです。

祭日、日曜は、早めに投稿する事もあります。


宜しくお願いします!


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