エピローグ 〜クラスメイトに、クロムがいたら〜
《登場人物》
林堂 凜
主人公。 小6、男。 任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。
香咲 ナディア=マフディー
小6、女。パキスタンと日本人のハーフ。主人公と同じ学校。
梁 梨花
小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。小学校は別。
ジン
クラスメイト。男。クラスのリーダーで、優しい
佐竹
クラスメイト。女。クラスのボス。
鈴香
ナディアの姉。高校生。
ユンファ
リーファの会社の社員。リーファのボディガード。
ヨシヒコ
ナディアのパパ。
オスマン
ナディアの親戚
通訳
親戚の仲間
無慈悲な月曜日。
土日、自分へのご褒美に男友達以外のラインは無視し、ひたすらジン達と遊び続けたおかげで、メンタルが大分回復した。
あの後、親戚と通訳を駅前で放り出し、解散する事になった。
スクーターは、後日父さんが取りに来ると言う事で、僕と母さんは、ユンファさんに送ってもらった。
母さんは車に逃げ込んだので、僕が、ナディアママに思い切り抱きしめられた。
あまりに長く抱きしめられたので、ナディアが怒って引き剥がしたくらいだ。
「林堂くん、一生かかっても返せない恩が出来ました。ナディアをよろしくお願いします」
泣き笑いの顔を見て、ぼくはホントに嬉しかった。
写真、実はお婆さんのとこ以外は、圧縮してパスワードを掛けたものしか送ってないとのことで、ほっとした。
色々と心がイタイ思いをしたけど、それだけの価値はあったよ。
だからわざとナディアのママに図々しく言った。
「母さん、せんべい好きなんで、一番美味しいのお願いします。あと、僕にはお料理も。美味しいんでしょ?」
ナディアママは、一層笑みを深くした。
「ナディアがメロメロになる訳だわ……キュンキュンしちゃう」
ほっぺに強くキスされ、びっくりする僕に、頬ずりした。
「ありがとう」
ナディアとリーファまで喚き声を上げて、ママを引き剥がしにかかる。
ダーメ、今はママの凛クン、とか言って煽るから、二人が僕の髪とシャツを引っ張る。
二人とも借りたシャツを羽織ってるけど、足は上げるな、見えてややこしいから。
六年かけて、育てた慣れってスゴい。
朝、席につく頃には、周囲の騒々しさで憂うつも消えてる。社畜ってこうやって作られるんだよ、きっと。
チャイムと共に、担任じゃなく、何故か校長が入ってきた。
「皆さん、おはようございます。今日はこのクラスに新しいお友達を紹介します……入って」
堂々と入ってきたのは、よく知ってる顔だった。
ここ最近で、とてもよく知る事になった顔。
ただ、よく知ってるそのコは、あまり、見慣れない姿で、黒板の前に立った。
それと……
髪型にも少し変化があった。
黒髪がよりつややかに、より女の子っぽく。
天使の輪が光る黒髪の上に、白いリボンが蝶のように止まっている。えんじ色のワンピースに白くて丸いシャツの襟、黒のリボンタイで気飾った彼女は、僕を見て、恥ずかしそうに笑うと、いつもの口調で言った。
「このクラスに転入する、香咲ナディアです。ユルくやって行きますんで、皆さんよろしゅう」
そうだ、ナディアはもう、無理して外国人クラスに通う必要が無くなった。
女子軍団が、拍手喝采した。
男子も、見慣れない姿にどよめいてる。
少し赤くなって笑うナディアは、僕が焦るほど可憐で……不意討ちだった。
佐竹が叫んだ。
「林堂ォォ!嫁がきたぜ!」
佐竹コロス。
「凛、ようこそ!振り返れば見られてる恐怖をオマエに!」
ジン、お前もか。
ナディアは、ぼくと目が合うと、恥ずかしそうに舌を出したりするから……
クラスが湧いた。
よーめ
よーめ
の大合唱。
「あー、皆さん静かに……やっと来た、遅刻ですよ。入って」
まず、僕の目に映ったのは白くて長い脚だった。
黒いレザーのタイトスカートから伸びる脚の先に大人びたサンダル。黒のTシャツは、白い英文字でくり抜かれている。
黒のゴムバンドを左手に巻き、緩くウェーブの掛かった前髪にはカラフルなヘアピンが、並んでいた。
シンプルなのに。
モデルみたい。
女子の一人が呟き、興奮が伝染した。
ナディアが、驚きのあまり、舌を出したまま固まっている。
「このクラスに転入する、梁 梨花です。そこの林堂君は幼馴染の相棒です。よろしくお願いします」
クラス中が爆発した。
馬鹿騒ぎの中、立ち上がってフォトナのエモートを踊る奴らもいる。
僕は思わず叫んだ。
「なんで!?」
「前から、手続きしてて、やっと今日」
佐竹がアメリカ人っぽいポーズで叫ぶ。
「林堂……全くお前って奴は、最高だぜ!」
ジンが敬礼を飛ばす。
「凛……ドンマイ!」
大騒ぎの中、握手をすすめられた二人が、額同士を擦り合わせていた。
ナディアが何故か、涙目でドスをきかせた。
「どこまでも、邪魔しくさって、細目ェ……よー似合うちょるぞ、80年代のロック歌手みたいなナリ。赤い革手袋と、トゲトゲの首輪はどした?」
「チビこそ、幼稚園時代のスモック着てくるって……狙いすぎじゃね?タグんとこ、ちゃんと名前書いてる?」
次の瞬間、互いの拳がボディをえぐり……
取っ組み合いが始まった。
……この学園では、一対一の闘いは決闘として、黙認される。
いや、黙認どころか、校長が指を折って賭け試合の胴元を始めた。
脱出に失敗し、佐竹達に捕まって床に押さえつけられた僕は喚いた。
「僕の……僕の平和を返せー!」
誰かが、スマブラで聞き慣れたセリフを言った。
そう。
例のアレだ。
「残念だったな!」
いかがでしたでしょうか?
続きを今書いてます。
一月くらいかかると思いますが、書けたら投稿しますので、どうぞ、よろしくお願いします!