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英国紳士とトンガリコーン


《登場人物》


 林堂 凜


 主人公。 小6、男。 任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。



オリガ・エレノワ


日本で言う、小6、女。ロシア人。ナディアの実家のメイド。凜の五先の相手。バロチスタンで、彼女の命を救って以来、主人公の事が好き。



 梁 梨花リャン・リーファ 


 小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。小学校は別。主人公が好き。



 香咲 ナディア=マフディー


 小6、女。パキスタンと日本人のハーフ。主人公と同じ学校。主人公が好き。



ジン


小6、男。クラスのリーダー。インドネシア人。優しい。



佐竹


小6、女。クラスのボス。






 パンイチ、前屈みでの、高速ペンギン歩き。

 

 ギンギンのコカンの上には、キレイなジャイアンばりのイイ顔。


 思うんだ。


 どうも、リーファが期待してたのとは、違ってただろうなって。


 だから僕は、相棒が悲鳴をあげる前に、流れる様な動きで、口を塞ぐことが、出来たんだ。


 しかも、あろうことか、僕の顔には、微笑みさえ浮かべて。


 言い訳させてくれよ。


 このシチュ、何回目? って言う、ひと粒の涙がキラリと光る、あきらめの境地って言うか、『お星様は何も答えてくれません』的な気持ちだったんだ。


 でも、ぺたんこ座りで、目を見開いている相棒には、伝わらんかったですよ。


 ぼろぼろと、涙を流し始めるリーファ。


 僕に口を塞がれたまま、モゴモゴ言った。


 「も、ヤダぁ……」


 宗教上の理由か、前世のカルマか。

 こういう時、吹き替えっぽくなるのは、何故だろう。

 

 「大声は出すな。

 手、離すから、声は出すなよ? 大丈夫、何も問題はない」


「何で、手慣れてるんだよ、バカあッ!」


 ゔあーん


 情けない泣き声が、風呂場にこだまする前に、僕は素早く、機械的に、口許を覆う。


「も、マジ、ヤダぁ! 絶対、バカにしてるだろ!? ヤッパ、おちょくりに来たんでしょ!?」


「なんでだよ! 真面目にやってるじゃんよ!?」


 何を?

 うん、ワカンナイ。


 拳と顔を、ぶんぶん振りながら、相棒は喚いた。


「パンツ膨らました、芝刈り爺さんがペタペタ走って来るとか、ホラーじゃんか! もう、全部ブチ壊しだよ!」


 前屈みの高速歩行……

 ハイパー・芝刈りじじい……

 妖怪っぽいな、確かに。


「女のコは、色々考えてんだよ、マジで色々! それでも、アソコバキバキで、英国紳士(ヅラ)した、好きピが立ってるとかは、想定に無さすぎ!」


 英国紳士……


 窓の外の雨を、憂鬱そうに眺めつつ、紅茶をすする、カラ太郎兄弟が、頭をよぎった。


 床に転がって、手足をバタバタさせるリーファ。呆然と眺める僕。


「サイテー、サイテーだよ! オリガにはもっとイイとこ見せて、イイコトしたんだろ! 何でアタシには、いっつも残りカスしか回って来ないんだよ、お掃除おばさんかよ!」


 オーリャの話はやめろって……


「起きろって。イイとこ見せれなかったから、こうなんだろ……」


 弱々しい声しか出ない。

 手を引いて起こした、リーファの隣に、力なくしゃがみこんだ。

 

 カミソリ首に当てられたり、顔にかけちゃったりのパパリン、ママリンだし、超・黒歴史しかないっての。


「相棒、相棒って……いっつも後始末だけじゃんか…… ね、アタシが惚れてるからって、ひどすぎない? ちょっとは胸が痛まないのかよ?」


 全くだよな?

 おっしゃるとおりですよ、チクショウ!

 ヤケクソで小さく喚く。


「……ごめんて。前屈みじゃないと、その……コスれて大変な事になるんだよ!」


 リーファが、動きを止めて、不審そうに僕を見上げる。


 「……何が?」


 素で聞かんといて!?


 「いや、だから……アレが」


 「アレってナンだよ?」


 ええっ! 言わすの? マジで?

 何かの罰ゲーム?


 相棒が、眉根を寄せ、下のまつげ越しに地獄のホノオを放射して来る。


「言っとくけど、もう、ゴマカサレないよ? 散々尽くした挙句……また、ムカついて来たワ……出てきたご褒美が、コカンにトンガリコーン付けたニワトリのマネ…… 言い訳ならちゃんとしてよ?」


 うっわ、何? その結婚詐欺にあったばかりの、三十路みたいな眼?


 ところでキテレツ大百科に、『トンガリ』っていたよね?

 

 ドラえもんで言う、スネ夫・ポジションキャラだけど、ジャイアン・ポジションにいた、『ブタゴリラ』ってアダ名、今となっちゃ、やばくね?


 うん、分かってる。

 闘わなきゃ、現実と。


 レイジ状態の、カズヤみたいな顔した相棒が、正座して待ってるから。


 オドオドと、それにならい、僕は遠回しに説明を試みる。


「ほら、僕のアレも、レイジ状態っていうか……」


「だから、アレって何?」


 仕方なく、僕は自分の、いまだコーフンさめやらないコカンを見た。


 その視線に誘導され、リーファは怪訝な顔で、僕の濡れたトランクスの先端を、まじまじと眺める。


 見んといて?


 きっかり2秒後、目を見開いて、悲鳴を上げた。


 お湯の入ってない、空の湯船に飛び込み、目だけ出して、こちらをうかがうリーファ。顔が赤い。


 「バ、バカッ!」


 「……いや、ホンキで『アレ』の意味聞いてたんだ……」


「だだだって、コスれたら、どうこうとか、分っかんないよ! 何のコト言ってんのって、思うじゃん!?」


 そんなもんかー?


「ででで、こ、コスれたら、どうなるの……?」


 レイジ中のカズヤから、何が出るかって?


 HAHAHA、マドモアゼル、パーティートークには、重い話題ダヨ?


 そんなの、デビルブラスターで貫通しちゃうに決まってるだろ、言わせんなよ!


 湯船のへりから、ドキドキな眼で見つめるリーファ。


 1歩も引く気配なし。


 「が、学校で習ったろ」


 知らんけど。


 僕ら男子だけ、その時間追い出されて、運動場でバラ当てしてたよな、確か。


 変な沈黙。


 え、そろそろ出前来てなくね?

 上がろうよ?


 「あの……あたしの……せい?」


 恥ずかしくて、答えられない僕。


 「そ、そっか。ふーん、そうなんだ」


 顔が熱くなる。なんか……好きな子が、クラスでバレたみたいな恥ずかしさ。

 

 ちがうわ、比べ物にならんくらい、恥ずかしい。


「あのさ……ちょっと、見せてって、言ったら……怒るよね?」


 何言ってんの!?


「アホか! オマエ、同じ事言われたらどうなんだよっ!」


 リーファは、深呼吸2回。

 ちょっと震える声で言った。

 僕の呼吸は止まる。


 僕達が、確かに『相棒』を、踏み越えた瞬間だった。


「うん、いいよ……凛だもん」


 


 

 



毎日23時頃、週7更新を目標にしてますが、火曜と木曜は、25時になる事が多いです。

祭日、日曜は、早めに投稿する事もあります。


宜しくお願いします!


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