表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/1078

魔術師の夜 ~ごめんね、アッラー!~ (4)

《登場人物》


 林堂 凜

 主人公。 小6、男。 任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。



 香咲 ナディア=マフディー

 小6、女。パキスタンと日本人のハーフ。主人公と同じ学校。



 梁 梨花リャン・リーファ 

 小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。小学校は別。


 ジン

 クラスメイト。男。クラスのリーダーで、優しい


 

 佐竹

  クラスメイト。女。クラスのボス。


 

 鈴香 

 ナディアの姉。高校生。


 ユンファ

 リーファの会社の社員。リーファのボディガード。


ヨシヒコ

ナディアのパパ。



オスマン 

ナディアの親戚


通訳

親戚の仲間

「お館様は、別室で休んでおられます。只、一言。全員殺すとだけ伝えよと」


母さんのスマホの画面の向こうで、チャドルを纏った年齢不詳の女性が、結構上手な日本語で言った。


「婆さんに伝えーや。写真送ったのはまだ、四人だけ。親戚のオッサンの携帯アドレスに二件、アンタの地域の店に二件。もみ消せる範囲やで」


言い終わらないうちに、画面が揺れた。

おばあちゃんのとこに走ってるのだろう。


「この娘っ子、仕事できるな」


事務所内。

皆が見守る中、立てたスマホに、母さんは呟いた。


「……送った相手を言え、命だけは助けてやる、そうおっしゃってます」


「焦っとる焦っとる」


碇提督のポーズで隠れた母さんの口許が、笑いの形にひん曲がった。


「逆や。うちらに一生関わるな。それが条件や」


「良かろう、そうおっしゃってます」


母さんが険しい顔で、親戚から取り上げたスマホを構えた。


「交渉下手やのう。素直すぎるんじゃ……大方、後になって、異教徒との約束は無効とか、通訳が勝手に言ったとか言いよるつもりか?写真、今すぐばら撒くで」


数秒後、画面の向こうで年寄りの喚き声。

「こっちにいる自分の息子がどうなってもいいのか、そうおっしゃってます……何いってんのこの人……失礼」


面白いな、この通訳の人。


母さんは、ナディアママをちらりと見た。

ナディアママ、片手にスマホを持ったまま、オッケーのハンドサイン。

ナディアパパは安全なとこまで、逃げれたらしい。


母さんは、いつもより高いヨーグルトでも、ねだられたかの様に言った。


「うーん……イイヨ!」


静寂の中、母さんがかじるうまい棒のショリショリ音だけが間抜けに響く。

スキンヘッドも、珍しそうにコンポタ味を齧ってた。


「……一族の血にかけてこのままでは済ませない、そうおっしゃってます」


僕は落胆した。

そうだ、ああいう連中は、面子だけで生きている。

このままやられっぱなしで、終わるわけがない。

母さんはニヤリと笑った。


「それが本音やろな。ええよ、血を流さん決闘なら受けるで」


僕は思わず叫んだ


「僕と勝負しろ!」


母さん以外全員が僕を見た。

母さんのスマホを取り上げ、僕は向こうで通訳してる女の人と向き合った。この子若くね?


「僕の名前は凛。今話してた女の息子、学校で一番のスマブラーだ」


「あ、写真のリンリンだ」


「それ忘れて!? ……パキスタンはeスポーツ世界一、鉄拳ってゲームで最強なんだろ?パキスタン、いや、イスラム圏内でスマブラ最強小学生連れてこいよ。負けたら、配信で坊主にして裸で土下座してやる……通訳さん、スマブラって何か……」


「知ってる。しゅーとん最強。ソーリー、ボーズとドゲザの意味が……」


「スキンヘッド、アッラーに祈るポーズをカメラに向かってする」


「……つまり、最悪のネットタトゥーって事ね」


横を向いて話始めた。

程なくして。


「いいだろう、アッラーと一族の名において、息子家族と断絶することを誓う。貴様らにも手は出さない。そちらも何もするな。そっちの通訳は、ムスリムか?そいつらが証人だ、とおっしやっています」


「リーファちゃん、このオッサンのスマホの中身は?」


「可能な限りのバックアップを取りました」


「ええやろ、後は勝手に話せ。決闘の準備できたら、このスマホに連絡せえ……平日は16時までパートで出られんけどな」


椅子に座らされていた親戚は、僕から自分のスマホをひったくると、お婆さんと急いで話始めた。

縋りつこうとするナディアママの顔をキャッチして、母さんはうっとうしそうに言った。


「暑苦しい!礼なら娘に言いや………こんな時間か。ファミレスしか開いてへんやんか、まったく」

明日、最終話投稿します!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] なるほど。 スマブラですか。10年以上前、自分もやってました!読んでいてちょっと懐かしい気持ちになりましたね。 小学生のころは……ああ、何一つおぼえてないなぁ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ