金髪幼女は離さない
《登場人物》
林堂 凜
主人公。 小6、男。 任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。
オリガ・エレノワ
日本で言う、小6、女。ロシア人。ナディアの実家のメイド。凜の五先の相手。バロチスタンで、彼女の命を救って以来、主人公の事が好き。
梁 梨花リャン・リーファ
小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。小学校は別。主人公が好き。
香咲 ナディア=マフディー
小6、女。パキスタンと日本人のハーフ。主人公と同じ学校。主人公が好き。
パン、と、シーツをはたく音が、正午を回ったベランダに響き渡る。
セミの声と、夏の終わりの熱気が、開け放したガラスドアの向こうから、侵入してきた。
敷布団のシーツと、着てた服を干すオーリャ。
金色の逆光に包まれてる、恋人の後ろ姿を見上げた。
パキスタンで着てたのと似た、民族衣装っぽい麻の上下。
ホントにスタイルいいなあ。
僕はなんだか鼻が高い。
サイドテールにしたブロンドが揺れ、ふくれっ面が振り向いた。カチューシャで上げられた、前髪も、シャワーから上がったばかりで、濡れている。
青い目に見下ろされ、僕は、慌てて床に平伏する。
今日、何度目だったっけ?
プライド、どこ行った?
「……マダ、顔がカピカピ、スルヨ」
むっつりとこぼす、頬が赤い。
「だだって、しゃーないじゃん。 オマエが、その……アンナ事するから……」
そ、そーだよ、プププロポーズのの後 ――うわ、恥ずかしくて死ねる―― オーリャが僕のバッキバキなのを、つんつんして、『キミもヨロシクネ?』 とか言ってソレに顔を寄せてきて……
唇が触れる前に、再度暴発してしまったのでござる。
し、仕方ないだろ!? ツツカレタだけで、致死量だったんだからっ!
……でも、ちょっぴり不安。
そ、そりゃ、誰にでも、最初はあるわけだし?
小6でそんな事気にする奴なんかキイタコト無いケド……
返事が無いのを不審に思って、おそるおそる見上げると、オーリャがポケットから出した、スマホをいじってる。
「……アッタ……エート……ソーロー?」
「グッはああ!」
僕は味わった事のない屈辱に、ピットな叫び声を上げて、ひっくり返った。
なんだ、全身が熱いッ!
こっ、これはッ……!
例えるなら……スマ勢が、
『え? ゲームの全国大会? きんもーっ☆』
って、好きな女子に言われた気分さ!
全否定。
肯定出来る部分なし!
後、もし『リンの、オチん"ぴー"ちっちゃくて、カワイイ!』って言われたら死にます!
いや、でも、僕こんな競技、初参加だしっ!
フローリングの床を、のたうち回る僕に、慌てて駆け寄るオーリャ。
「だ、ダーリン? シッカリスルヨ!」
びっくり顔の加害者。
フルホールド・横スマ叩き込んだ、オマエが言う?
抱き起こされた僕は、息も絶えだえに言った。
「オマエ……フツー、あんな事、美人の彼女に言われたら、即死だぞ?」
「ソナノ? ナラ、超・ビューティーのオーリャに言われタラ、爆死ジャン……むぎぃ」
スベスベの頬を引っ張ってやると、うめき声をあげた。
「男の存在、全否定なの!」
「ワッカンナイヨウ! ソレ、ソンナニ大事なのカナあ?」
オーリャは、両方の、ほっぺをさすりながら、クチを尖らした。
「ボーイズのキモチ、イマイチ、ワカラン……」
「女の子だって、ペタンコおっぱいとか言われたら、おこだろ?」
僕の彼女は、得意げにバカっぽいポーズで胸を強調する。
「ゴッメーン、オーリャ言われたコトナイシ、ワッカンナイヨー……ツツクナ、エッチ!」
真っ赤になって、胸をかばう、バカロシアン。
僕が、当たり前みたいに、こんなチカンするとは……
それ位、距離が近くなったのかな。
むーっと、クチを尖らしていたオーリャが、僕の首に腕を回してきた。
「オーリャが買イ物、行ッテル間ニ、階段ノトコ、カタヅケテクレタデショ……優シイね」
「なんの、あれしき……」
僕らは、キスをして笑った。
オーリャの濡れた髪が、顔に触れてくすぐったい。
「ご飯にシヨッカ?」
彼女は真っ赤になって、恥ずかしそうに続けた。
「お味噌汁、作りマス……アナタ」
「えっ、まさかの美味しさ!?」
「マサカッテナンダヨ!」
ローテーブルの下で、げしっと、あぐらをかいてるモモを蹴られた。
「やめろ、味噌汁ごぼれるじゃん! だって、最初に食べさせてもらったのが、マヨネーズ入りカップ麺だぞ? 料理出来るなんて思うかよ?」
「あ、アレは、マダ、ダーリン、スキスキ、スル前!」
髪の毛をいじりながら、赤い顔で、ボヤく。
「『アナタ』ダカラ……チャンとするモン……ダーリンのママに、作り方オシエテモラッテ、トレーニングしてたヨ……」
だから、ウチの味に似てたのか。
「アリガトな……美味しい」
頭を撫でてやると、僕の手を取って、でれーっとしなだれかかってくる。
「……トレーニングシテ、ヨカッヨ」
斜め前から、僕の真横にずりずりと移動して来ると、甘えた声で囁いた。
「ゴホービに、アーンシテ?」
それからの、オーリャは、ワーキング・ウーマンどころか、3歳の子供みたいだった。
僕に一口食べさせてもらうたびに、足をパタパタし、僕が食器を片すために、離れようとしたら、ぐずりだす。
「おーりゃから、はなれたらなくもん。エンエンだもん」
と言って、しがみついてきて、トイレにいく時まで、付いてくる。
「だっこ、だっこだよ?」
手を広げ、上目遣いに、お姫様抱っこを要求するオーリャ。
あざといが、認めよう。
カワイイと。
ずっしりと、中身の詰まった、白くて柔らかい身体を気合で抱き上げた。
幼児がえりした僕の彼女は、足をパタパタさせて上機嫌。
「わーい。おーじさまのだっこ! おーりゃ、お姫さま! すてき」
「……重い」
「ンだと、コラ?」
「首絞めんなって!」
テレビの前まで、ヨタヨタ運びながら、僕は満足していた。
オーリャ、今まで無理してた分、いっぱい甘えてくれてる。
ワーキング・ウーマンなんかじゃ無くていい。
なんもできなくてもいいじゃん?
僕達、子供なんだから。
心が急に重くなった。
でも、子供できちゃったんだよね……
それを察したみたいに、オーリャは、僕の首に顔をくっつけて言った。
ぽつりと。
「ママのはなし……しなきゃだね」
毎日23時頃、週7更新を目標にしてますが、火曜と木曜は、25時になる事が多いです。
祭日、日曜は、早めに投稿する事もあります。
宜しくお願いします!