スーパーのクーポンとSTAP細胞
《登場人物》
林堂 凜
主人公。 小6、男。 任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。
オリガ・エレノワ
日本で言う、小6、女。ロシア人。ナディアの実家のメイド。凜の五先の相手。バロチスタンで、彼女の命を救って以来、主人公の事が好き。
梁 梨花リャン・リーファ
小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。小学校は別。主人公が好き。
香咲 ナディア=マフディー
小6、女。パキスタンと日本人のハーフ。主人公と同じ学校。主人公が好き。
「ダーリン、似合ウ?」
「おお、可愛い!」
かっぽう着姿で、しゃもじを握ったオリガが、嬉しそうに、くるりと回って見せてくれた。
女子に平気で、カワイイって言えるようになってる、自分に驚く。
午前11時過ぎのダイニング。僕の彼女は、昼ごはんを作ってくれるらしい。
その下は、タンクトップと短パン、雪のように白い脚が丸見えで、ドキリとする。
お下げにした髪、輝く様な笑顔。
「ウレシー! ダーリンにホメてもらえタラ、他のヤツらのはイラナイ」
僕は顔が熱くなった。
『誰か来たら、親戚のとこ行っとる、言うといたるから、ニ人で、よーく話し合い。夕ごはんは、食べに上がっといで』
そう言って、くぎを刺すこともなく、両親は帰った。
僕達、信頼されてるみたいだから、ちゃんとしないと。
ニコニコ顔のオーリャが、僕の前まで跳ねてきて、顔を突き出す。
え、マジ?
僕はドキドキしながら、周りを見回し、座ったまま、そっとキスをした。
僕らは、熱くなった顔で笑い合う。
僕は今まで、全然知らなかった、世界にいた。
彼女なんか出来たとこで、何するんだろう?
そう考えてた頃の、自分に教えてやりたい。
何にもしないでも、一緒にいるだけでうれしいし、楽しいんだぜ!って。
時間がさ……流れないんだ。
顔を見たり、触れ合ってる時は、集中し過ぎて、うれしいとか、楽しいとか感じるヒマもない。
むしろ、オーリャが、視界から外れたりした時に、やっと冷静さを取り戻すカンジだ。
「このジャパニーズ・エプロン、カワイイのに、メッチャ安かっタヨ? ナンデモ、STAP細胞のオモガタサンってチーター……」
「ハハハ、そんなコトはイイジャナイカ! それより何作ってくれるの?」
前ぶれなく、アンチからストームに飛び込もうとする話を、食い気味に遮る。
「フッフーン、食材イッパイ買っテキタヨ! ダーリンに会イタイカラ、急イデカエッテキタケド!」
二人で出かけると、学校のヤツラに見つかるから、オーリャがソロで、買い物に行ってくれた。
二人しかいない今、僕も今の気持ちを、素直に言えた。
「僕も……たかった」
ヤッパリ恥ずかしい。
驚いた顔のオーリャ。
しばらくして。
二マーっと笑う。
「ン、ナニカネ、リンドー君? モット元気ヨク」
「うっせ。日本男児はそー言う事、軽々しく言わないんだよ」
耳に手を当て、煽ってたオーリャが目をぱちくりさせた。金髪に大きな青い目、白い肌。
有名画家に、『外国人の美少女を描いて』って頼んだら、オーリャの似顔絵になるんじゃ、そんな気がした。
「ナンデ? 言ワナキャ、ワカンナイヨ」
「違うよ、口だけなら何とでも言えるじゃん。行動だよ」
オーリャは難しい顔で首を傾げる。
「んー、ナラ、ウソジャなきゃヨクネ?」
「……そうだけど」
「ンッフフー! ジャ、アラタメテ! モッカイ言ッテ?」
「こだわりますね?」
オーリャが身悶えした。
「ダーって! イッツもオーリャばっかで、ズルいジャン! イッテ、言っテ! 言えよう」
僕は、チョットキレ気味に言った。
メッチャ恥ずかしい。
「あー、ハイハイ、会いたかったですよー!」
うれしそうに抱きしめてくれるオーリャ。
胸に顔を埋められる。
スゴイ、柔らかさと弾力。
やっぱり、あせる。
「離せって!」
「ヤダヨーン。ダイスキダモン」
頭のてっぺんに、頬ずりして来る、三つ編み少女。
……二人ともハイだけど、心の中に、抱えたことも無いような、重い石を呑んだままだ。
赤ちゃん……どうしよう。
明るい未来は見えないけど、両親に相談出来たのは大きい。
情けない話、きっとなんとかしてくれるって、心のどこかで思ってる。
何より、僕が暗い顔しちゃだめだ。
よく考えなくても、発射したの、僕だし。
僕は、ドキドキを隠すため、オーリャを煽る。
前回は、ウインナーとマヨネーズをぶち込んだカップ麺だったから……
「それより、何作ってくれるの? 今度はどん兵衛?」
「バカッ!」
真っ赤になって、長財布で叩かれた。
イッテぇ!
はずみで、財布から、紙切れが大量に滑り出して、散らばる。
「あっ、ミンナ!」
拾おうとした僕を、慌てて叱る、オーリャ。
「え……なんでだよ、タダのクーポン券じゃん?」
赤い顔で、フローリングに散らばったスーパーや、牛丼屋の割引券を集めると、ゴミ箱に捨てた。
「もったいない……どしたん?」
「ダダ、だって……」
オーリャは自分の桜色になってる頬を、両手で挟んで、眼を泳がせる。
「ババくさいし、セコイッテダーリンにオモワレタクナイモン……ハズカシイヨ」
僕は、謎な衝撃に撃たれ、動きを止めた。
オドオドしてる、オーリャを見つめる。
「見ナイデよう…………キャッ!? んっ……!」
僕は思い切り抱きしめると、強く唇を重ねた。
ものすごく、興奮して、理性が飛ぶ。
「くっ、苦シイヨ……スゴイチカラ……………ダーリン?」
腰が砕けたように、ようやく立ってるオリガ。
何が起きたか分からない顔で、僕を見上げてる。
僕は、掠れた声で囁いた。
「……今のオマエ、超カワイかった」
見開いてた眼が、とろんとなったのを見て、また、衝動に負けた。
僕は、返事も待たず、唇を押し付けて、舌をねじ込んだ。
んっ、んって言う、喉の奥であげる悲鳴が、余計に脳を溶かす。
オーリャの力のない両腕で、頭を抱えられながら、僕は彼女をフローリングの床に、横たえた。
獲物を捕らえた、獣みたいに、彼女の身体を抱きしめ、唇をむさぼり続ける。
よだれが口の端から垂れて、彼女の白い頬を伝っても、オーリャは無反応だった。
覗き込むと、眼が酔っ払ったみたいになってる。
僕は、本能のまま、頬を舐め、耳にキスをした。
オーリャの初めて聞く甘い声。
大きな胸を掴んで揉み、頬を吸う。
突然、オーリャの腕に力が戻り、脚を体に巻きつけられた。
情熱的なキスが返って来て、びっくりしたけど、僕も夢中で返す。
どれくらい、そうしてたろう。
僕らの唇がやっと離れた。
銀色の糸を引きながら。
「ダーリン……ウレシイ」
「オーリャ……大好きだ」
オーリャの眼が、嬉しそうに細められた。
「オーリャの方ガ、モットスキだもん……ダカラ」
僕の恋人は、何度か深呼吸してから、掠れた声で囁く。
「……イイヨ。今度ハ、チャンとシヨ?」
毎日23時頃、週7更新を目標にしてますが、火曜と木曜は、25時になる事が多いです。
祭日、日曜は、早めに投稿する事もあります。
宜しくお願いします!





