林堂候補、当確出ました
《登場人物》
林堂 凜
主人公。 小6、男。 任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。
オリガ・エレノワ
日本で言う、小6、女。ロシア人。ナディアの実家のメイド。凜の五先の相手。バロチスタンで、彼女の命を救って以来、主人公の事が好き。
梁 梨花リャン・リーファ
小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。小学校は別。主人公が好き。
香咲 ナディア=マフディー
小6、女。パキスタンと日本人のハーフ。主人公と同じ学校。主人公が好き。
夜中の1時。
ドアを開けたトイレの前に、座り込んだオリガ。
引き出しの奥から、引っ張り出して使った、妊娠検査キットを、真剣な顔で見つめている。
「……どう、線出た?」
今、窓のとこ、右側に1本だけ赤い線が浮かんでいる。
これは、オシッコがちゃんとかかりましたよ、って言う証拠。
そして……
左にも、線が浮かんだら……
アイスの棒を、誇らしげにかざすカラ次郎。
『当たったよ、兄ちゃん! 大当たりだ!』
やめろおおお!
「マダ…………。来ルナ、ハズかシイヨ!」
覗き込むぼくの顔を、真っ赤になって押しのける。
「え……今更なにが?」
心底、不思議に思って尋ねると、
真っ赤になって、噛み付いてきた。
「……ッコ、カケタカラ、ハズかシイの! 『イマサラ』って言ウナ!」
「えー……」
ペタンコ座りのまま、廊下をカサカサ遠ざかって行く、オリガの背中を見ながら、途方に暮れる。
ワッカンネー。
こう……
あの……
おっぱいどころか、オリガのお尻についてるパーツ全部見ちゃったんだぞ?
僕なんか、人生初ショットを、お尻で体感されて、顔で受けられて……
あまつさえ、1ストック増えるかも、なピンチなんだぞ?
ねえ、これって『今更』以外に言いようがあって、マイケル?
あ……
でも。
お風呂場で、ジャス子の大事なとこも見ちゃったし、本人には言ってないけど、メグの2番目にヒミツなアナも見ちゃったもんなあ……
そろそろ、重くなって来た頭で、ぼんやりしてると、不穏な気配。
前を見ると、オリガが肩越しに、眼から殺人光線を放っている。
「……ダーリン、今、何考エテタ?」
凍り付く僕の、ちょっと元気な、パンツの前辺りを視線で灼きながら、ドロドロと言った。
「オーリャガ不安デ、死ニソーナノニ、ナニ考エテタ?」
うええ!?
また、このパターン?
いや、驚くまい、ヤツらはエスパーなんだ!
今までの僕とはチガウ!
前を押さえて、背中を向けた。
「ゴメンナサイ、さっきの湯船で、出しちゃった時の事デス……」
「……ヨロシイ」
オリガは重々しく宣言すると、アサガオの、じゃなくて、キットの観察に戻った。
もう、15分以上経つ。
「……大丈夫ジャネ?」
尻上がりに弾む声。
「……大丈夫だよね?」
僕らは、歓声を上げて、抱き合った。
やった!
やり遂げたぞ!
「ダーリン! オーリャやったよ? ナデナデシテ!」
「マジ、エライぞ! ほっぺにチューも付ける!」
撫でながら、そうしようとしたら、素早く振り向かれて、唇へキスになっちゃったけど、そんな事どうでもいい!
変な社交ダンスを踊ってた僕らは、安心してフローリングの廊下にへたり込む。
僕は、体力の限界が来たのを、感じながら言った。
「ね、色々話したい事はあるけど……明日にしない?」
「サンセー。もう限界……寝ヨ」
僕らは、何にも打ち合わせて無いのに、ゾンビの様に、リビングの布団に向かった。
フラフラと、いい匂いのする、オリガの布団に二人して潜り込む。
鼻の頭にキスしあい、抱き合って目を閉じた。
スベスベの手の感触。
吐息の香り。
僕達、日本人と違う顔立ちにも、もう慣れた。
常夜灯に、赤く輝くブロンド。
細めた青い眼。
太陽の様な明るい笑顔。
僕は、彼女の頭にあごをのせる。
……こう出来るくらい、身長が伸びてくれたらなあ。
吐息が僕の首にかかる。
心地よい安心感が、僕を包んだ。
それは、僕の中にある、恐怖や不安が消えていく不思議な感覚。
ジャス子が、あやしてくれたときの感覚に似てるけど……少し違った。
女の子を、初めて異性として、強く意識したからかも知れない。
「シアワセ……淋シクナイヨ」
ぼくは夢うつつで頷いた。
おやすみオーリャ。
僕の……恋人。
すごく気がかりな夢を見た。
霧に包まれた湖。
小舟に独りで乗ってる僕。
少し寒い、灰色の世界。
僕は、何処に進んで良いのか、分からない。
ぼんやりと、辺りを見回す。
誰かが、手を振ってる。
辛うじて、表情の分かる距離。
……あれは、ナディア?
姿形で分かった。
でも、顔だけは分からないんだ、霧がかかってて。
小舟は、彼女のいる岸に並走して、ゆっくり進む。
ナディアの姿が、ゆっくり後ろに流れていく。
次はリーファ。
横になって背中を向けている……え、倒れてる?
僕は、叫ぼうとした。
声が出ない。何で?
あせりもせず、喉をさすってる、僕。
相棒のいる景色が流れていく。
その次は、ジャス子。
見慣れない長いスカート姿。
こっちに8割背中を向けてる。
……怒ってるじゃん。どうした?
不審に思ってるうちに、霧の中に埋もれていく。
メグは、膝を抱えて、うずくまっていた。
どうした?
どうしたんだ、みんな?
何かを、思い出しそうな僕。
ダーリン
声がした。
ダーリン
……声がする。
……誰だ?
すごく、大事な事を忘れてる。
『ダーリン』
オー……
目覚しは、オーリャの絶叫だった。
「ダーリン! オキテ、オキテよう!」
「……へ?」
「へ、ジャナイ! ここ、コレ!」
開けられたカーテンから、日差しとセミの声が差し込んで来る。
陽はそれほど高くなさそうだけど。
ボサボサの頭をした、蒼白のオーリャ。
目の前に突きつけられているものに、目の焦点が合うまで5秒。
それが昨日の、妊娠検査キットだって分かるまで、3秒。
左側に、昨日は無かった灰色の線が……
クッキリ浮かんでいる意味に、思考が到達するまで3秒かかった
「うわあああああ!」
僕の、身も世も無い絶叫が、朝のマンションに響き渡る。
その時、玄関のドアが開いて、風が吹き込んで来た。
俊敏な影が、姿勢を低くしたまま、僅かな歩数で、廊下を駆け抜ける。
気づいてみたら、僕らの前で臨戦態勢で立ってた。右腕と、麻のズボンから見える、左足首の包帯が眩しい。
僕は、あんまり特徴のない顔をした、無精髭の男に呟く。
「父ちゃん……何で?」
ギロリと、ぼくを睨む。
「凛、なんや、今の悲鳴……あ、ゴメンな土足で」
ポカンとしてる、オーリャに一転してペコペコ謝る。
玄関から、声がした。
「時間差で、悲鳴あげとるんやから、襲われたんちゃうやろ」
逆光の中で、立ってるのは僕の母さん。
しばらく固まった後。
ここ最近の中では、一番険しい声で言った。
「その手に持っとるもん何や? 妊娠検査薬にしか見えんけどな」
毎日23時頃、週7更新を目標にしてますが、火曜と木曜は、25時になる事が多いです。
祭日、日曜は、早めに投稿する事もあります。
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