表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
312/1079

妊娠したってホントですか?

《登場人物》








 林堂 凜




 主人公。 小6、男。 任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。






オリガ・エレノワ




日本で言う、小6、女。ロシア人。ナディアの実家のメイド。凜の五先の相手。バロチスタンで、彼女の命を救って以来、主人公の事が好き。








 梁 梨花リャン・リーファ 




 小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。小学校は別。主人公が好き。








 香咲 ナディア=マフディー




 小6、女。パキスタンと日本人のハーフ。主人公と同じ学校。主人公が好き。






 ネットで見たんだけどさ。

 

 僕のお父さんの時代、中学校に、業者が参考書を売りに来てたんだって。


 その問題集のタイトルが、


『出る・出た・出来た!』


 って言う、別の角度から見直してないだろ、第三者委員会通してないよね? ってネーミングだった。


 その時は、腹抱えて笑って、


『いやー、ヤッパ昭和、スゲーわ』


 くらいの感想だったんだけど……

 


「上がれ、シャワーで流せ!」


 

 パニックな今、そのワードがショートしそうな神経に追い込みをかける。


「へ? はへ?」


 今起こってる事に、理解が追いついてない、オリガ。


 自慢じゃないけど、人生初めてパナしちゃったんだ。しかも、女子の大事なトコに距離ゼロで。


 僕は、人生最大に血の気が引いていた。

 


 お湯を伝って子宮に到達したら……

 


 小学生妊娠なんかしたら、人生詰む!

 特に女子!

 男子もだけど!


 武勇伝にも程があるだろ!?


 

 僕に引っこ抜かれるみたいに追い立てられ、顔から液体を垂らしながら、呆然とバスタブから1歩出た。


 僕の声はほとんど、悲鳴だった。


 「足開け! 開けって!」

 

 シャワーの栓をひねると、お湯の温度も確かめず、太ももの陰になった、金色の毛のあたりにぶっかける。


 無我夢中だった。

 一刻を争うはずだ。

 

 棒立ちになってる、オリガのスベスベの足の間に手を入れ、強引に開かせる。


 シャワーヘッドを逆さにして、女の子の大事な所に直射した。


 オリガが悲鳴を上げて飛び上がり、

 次の瞬間。


 「バカッ!」


 目から文字通り、星が散る。


 容赦ない、打ち下ろしのビンタを喰らい、ひとたまりもなく、ひっくり返った。


 オリガが、前を隠し、真っ赤になって喚いた。


「冷タイワ! ベイビー出来ナクナッタラドースル!? 一人目ハ、男ノコッテ……」


 僕は、ひっくり返ったまま叫び返した。


「今、ベイビー出来たらどーすんのさ!? 早く洗い流せ!」


 怪訝な顔だったオリガの顔が、徐々に青くなって行き……


 ロシア語で何か喚くと、落ちてるシャワーヘッドを掴んで、自分のコカンに掛け出した。


 色気もヘッタクレもない、だってそれドコじゃない!


「今ハ、ダメヨ、予定ニナイ!」


「こ、コスるな! 中に入ったらどーする!」


「ド、ドーシヨ!?」


「中までかけてろ! 後、一瞬、顔に付いてるの流して、ゴメン」


 オリガは、正面から顔にお湯を当てて、顔についたものを流すと、また、シャワーを足の間に当てた。


「……ネ、コレ、イツマデヤレバ、OKカナ?」


 不安そうな顔。


 僕も全然分からない。


 湯船の栓を抜く。


 でも、それを言って不安にさせる訳にはいかない。


 重い気持ちを隠し、僕は根拠なく言った。


「60数えて、あがろう。オーリャの着替え取ってくる、待ってて」



 


 日本橋に出かける前、買った下着は2枚組だったから、余ってる方を着て、Tシャツはオリガに借りた。


 今日は、両親とも帰って来ない事を告げると、オリガは、満面の笑顔で、抱き着いてきた。


 ドライヤーを使って、キラキラ輝く金髪を乾かしてあげた。気持ちよさそうな顔。

 僕の割と伸びた髪も乾かしてくれた。


 新しい歯ブラシをもらい、同じ鏡を見ながら、歯を磨く。


 オリガのうれしそうな顔。

 鉛よりも重い心配事を抱えながら、僕らは笑った。


 洗面を終え、パジャマ姿のオリガと向かい合う。


 「ジャーン。キレイなオーリャダヨ? イッパイ、チューシテモ、ダイジョーブ」


 「ホントだ、酒くさくも、ゲロくさくもないぞ……蹴るなって、冗談だ」


 頬を染めたオリガが、ふくれっ面でボヤく。


 「ダーリン、マジ、イジワル」


 「キライ?」


 ジト目でしばらく僕を見てから、ニパって笑う。


 「ザンネンデシタ。超・スキダヨーン」


 僕らは当たり前みたいに、キスして抱き合った。


 もう、1時を回ってる。


 オリガの香り。

 パジャマ越しの火照った体。


 さっきの事がなかったら、またアレが、大変な事になってただろう。


「……モッカイ、オ風呂入ロッカ?」


 僕は思わず笑った。


「なんでだよ?」


 次の言葉で、僕は黙り込んだ。


「バスルームカラ、出タトタン……イロイロ、コワクナッテ」


 ……おんなじだ。


 あの狭い空間は、僕達を世界から切り離してくれてたんだ。


 スマホを、見るのが怖い。

 リーファ達に、オリガとの事を伝えるのが怖い。

 何より……妊娠してたら、どうしよう。


 オリガのお母さん、入院したって行ってた。

 幼い妹は、どうしてるんだ?

 オリガ、一旦ロシアに帰るのか?


 それ、ヤダな。

 反射的にそう思った自分にビックリする。


 親が病気なんだぞ?

 バカな事言うなよ。


 それは別にしても。


 あまりにも、話さなきゃならない事だらけだ。


 なのに、何から話すべきか分からない。


 頼りない。

 僕、頼りない。


 オリガもだ。

 

 いつもあんなにしっかりしてる、ワーキングウーマンが、幼い子どもに見える。

 

 二人きり、頼りない小舟に乗って、海の真ん中に浮かんでる様な気がした。


 「……ア」


 「どうした?」


「オーリャ、モッテル……プレグナント・チェッカー」


 妊娠検査キットってわかるまで、3秒かかった。

 何でまた? って聞く前に、身体を離したオリガが、ちょっと興奮気味に言った。


「モデル仲間ガ、スッゲー、ウレシソウニクレタ。『生理キタからモウイラネ』ッテ」


 「生々しい……」


「説明書ナイケド、確カ、オシッコカケルヤツ。オサケノンダカラ、イッパイ出ルゾう」


 僕はげんなりした。

 超・美少女が言うと、夢もロマンもない。


「オーリャ……恥じらい、大事」


 僕のオーリャは、真っ赤な顔で口を尖らせた。


 「ナンダヨ、リンリンナンカ、オフロで、顔ニ掛ケタクセニ。チョットくちニ入ッタンダジョ?」


 


 

 



毎日23時頃、週7更新を目標にしてますが、火曜と木曜は、25時になる事が多いです。

祭日、日曜は、早めに投稿する事もあります。


宜しくお願いします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ