エンドレス・ナイトメア
《登場人物》
林堂 凜
主人公。 小6、男。 任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。
梁 健一
日本名、橘 健一。リーファの父。
台湾人。民間軍事会社の社長で、梁財閥の長男。リーファを溺愛している。
梁 梨花
小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。小学校は別。主人公が好き。
香咲 ナディア=マフディー
小6、女。パキスタンと日本人のハーフ。主人公と同じ学校。主人公が好き。
ジェーン
リーファの父の相棒。伝説の工作員。
王
リーファの父が営む、民間軍事会社のオペレーター。
米沢
芸能プロダクションの二代目。
ヤクザに顔が利く、金持ち。
元々は、リーファに痴漢したロリコン。
「ジェーン、来てたのか! 敵は約30、弾薬はカラシニコフと、ミニミ合わせて100発もねえ!」
発振器が仕込まれた、俺の髪留めからビープ音が1回。了解の合図。
そして、電波の届く距離にジェーンがいる証拠だ!
不気味な祈祷を繰り返す、スピーカー。
狂った死に満ちた夜が、俺達を呑み込もうとしている。
墨を流したような闇を切り裂く、砕かれ、片目になったサーフのヘッドライト。
それは、仲間の返り血を浴びた、不気味な面に黄色い陰影を刻み、見る者の精神を汚す。
捕まったら、どんな死に方が待ってるのか考えたくねぇな。
……コレ、自分用に、最後の一発は残しといた方が良さそう……か?
言うなりゃ、金属バットを持った30人相手にこっちは2人。
なんの武器があれば勝てるだろう。
そう考えながらも、サーフはバックで距離を取り、カラシニコフの5.45ミリ弾が、駆け寄ってくる不気味な白装束を、なぎ倒して行く。
飛び道具の優位さは語るまでもない。
だが、キリがねえ。
アレから10人くらいは減らしてる筈だが、敵の勢いは全く衰えない。
それに引き換え、こっちの弾は残り50発を切ってるだろう。
かと言って、弾を惜しめば先に死ぬ。この乱戦、1人1発で倒すなんて理想もいいところだ。
残ってる連中は、仲間の死体に躓き、そして踏み越えながら、なんのためらいも見せずに、棒切れや、拾った石を振りかざして突撃して来る。
車に掴まられない様、大きく蛇行しながら、バックする。
本来なら、群れの中を全速力で突っ切り、増援の待つ川まで辿り着きたい。
だが無理だ。
轢き潰し、踏み越え、速度が落ちた途端に奴らは割れた窓から石を投げ込み、先端の尖った鉄パイプを突っこんで来るだろう。だからこそ、カンガルー・バーで何人かを弾き飛ばしては、前進と後退を繰り返している。
単射で敵の胴をブチ抜き、のたうち回るのを眺めながら思った。
こいつらがキメてるのは、絶対、タダの麻薬じゃない。痛みや理性を奪い、恐怖を麻痺させるもっとタチの悪い何かだ。
敵が広がり、三方から襲い掛かって来始めた。ラリっていても、それくらいの頭は回るらしい。
「右のヤツラを殺れ! サーフで、バラック下の川に叩き込むんだ、助手席側から、俺が撃つ!」
エンジンが獣の様に唸る。
王がサーフを特大の鈍器代わりに使い、右翼に展開する敵を薙ぎ倒し始めた。
さっき喰らった側頭部の傷。流れる血が、揺れる床で弾ける。
群れが広がった分、密度が薄まり、白装束は、抵抗なく弾け飛ぶ。
それでも、人の壁を貫くには至らない。スピンターンと、前進・後進を繰り返し、バラック前のエリアを駆け続けながら、俺は流鏑馬の如く、サイドウインドウから、撃ちまくる。
土をえぐり、死体を乗り越え、銃声が炸裂する。
……何人殺したろうか。終わらない悪夢に、段々感覚が麻痺して来た。
左側、数m先、ズレた面から見える凶悪な顔に、ブチ込みたい衝動を堪え、面積の広い胴をAKで貫く。
一瞬、敵の体が揺れた。
何事も無かったかのように、長い棒を振りかぶるのを見て、総毛立つ。
みぞ落ちに命中したぞ!?
割れたサイドウインドウから突っ込んできた、物干し竿を反射的に銃身で払う。
タガの外れた怪力。払いきれず、プラの先端が取れた竿が、右肩にめり込み悲鳴を上げた。
グリップをホールドしていた、カラシニコフが、手から離れる。肩が外れたか?
同時に、ボンッと言う爆発音が響き、車が左側、敵の方向に傾いた。
左側のタイヤが、ヤられた!
「ボス!」
王はステアリングから手を離せない。
引き付け直した物干し竿。顔の真ん中に疾走って来たそれを、間一髪転がって躱す。
床に放っていた、CZ75を掴む。
そうは行くか。
死ぬのは俺達じゃねぇ!
「死んどけ!」
転がったまま、顔面に向かって速射すると、今度こそ、ソイツは顔面を粉々にしながら視界から消えた。
車が止まり、引き金が軽くなった。
スライドオープン。弾切れだ。
やベェ。
ぬっと、窓の外に現れた、新手の能面。
拳銃を握っているのを見て、心臓が凍る。
終わった
王が何か叫んだ。
リーファ、済まない。
次の瞬間、それは一気に起こった。
白い疾風が眼前を薙ぎ、銃声が起こると同時に、能面が視界から消えた。
顔の横を擦過した弾が、背後のサイドドアに食い込み、走り抜けた、軽いエンジン音が数m先で土を蹴散らす音と一緒に止まる。
オフロードバイクに跨る白装束。
持ち上げた前輪をブチ込まれた能面は、地面でピクリとも動かない。
「ジェーン!」
応える様に、エンジンを吹かす相棒。
ヤツラと似た白い作務衣に、仏陀の仮面。
チャーリー班からそのまま借りたらしい、タクティカルベストには、喉から手が出るほど欲しかった、AKの弾倉が覗き、体には王の使うミニミ軽機関銃の弾帯が巻き付けられている!
ハンドルにぶら下げたコンビニ袋では、幾つもの重そうな円筒が揺れてる。
まさか缶コーヒーって訳じゃねぇ、手榴弾か!
ヤツラが、そっちに気を取られた隙に、王と同時に、ヤツらと反対の運転席側から転がり出る。
右肩に激痛が走る。引き金を引くのは無理だ。
カラシニコフを、ストラップでたすき掛けすると、左手一本で構え、ジェーンに向かって後ずさる。
敵は、まだ、15人はいるだろう。
モトクロスバイクの単眼に照らされ、不気味な面々が嗤っているように見えた。
何故か地面を向いて動かない、白装束達。
訝しんでる暇はない。
何だか分からんがチャンスだ!
俺のカラシニコフ、王のミニミ、給弾してるヒマはねぇ。
「ジェーン、袋の中のヤツだ、投げろ!」
数秒してから、ゴソゴソと音がして、ちょっと遅れて、地面で金属製の音がした。すぐそばだ。
俺は背筋が凍った。
何考えてやがる、巻き込む気か!?
一緒に後退していた王が、それを凝視している。
フラッシュ・バンなら、そんな馬鹿な事、王がするハズない。
俺も見た。
缶コーヒーだった。
缶に描かれた『鬼滅の刃』のイラストが、俺の血管をブチ切った。
「アホー!!」
毎日23時頃、週7更新を目標にしてますが、火曜と木曜は、25時になる事が多いです。
祭日、日曜は、早めに投稿する事もあります。
宜しくお願いします!