ぶりぶりと簑踊り
《登場人物》
林堂 凜
主人公。 小6、男。 任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。
梁 梨花
小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。小学校は別。主人公が好き。
香咲 ナディア=マフディー
小6、女。パキスタンと日本人のハーフ。主人公と同じ学校。主人公が好き。
1号
スマブラー。デブの巨漢。今回の宅オフの主催者。
2号
スマブラー。1号の相棒。小男。
オリガ=エレノワ
金髪のロシア人。日本で言う小6。女。ナディアの遠い親戚。主人公が好き。
ジャスミン(ジャス子)
金髪のアメリカ人。小5。女。スマブラ団体戦大阪大会では敵だった。主人公が好き。
氷室 恵
日本人。小5。女。スマブラ団体戦大阪大会で、主人公の替え玉を演じた。主人公が好き。
ハスマイラ
リーファの護衛。リーファのパパが好き。
うさ山
スマブラー。女。大学生。1号達より立場は上。
「え……」
ハスマイラさんと、うさ山さん。
ナディア、リーファ、メグ、タブレットに映るジャス子。
全員が一斉に僕を見る。
急に話を振られ、言葉をなくす僕。
何かミスったっけ?
徐々に弱くなっていく夕陽を、薄いカーテン越しに、反射するタブレット。
「眩しいって」
ジャス子が金髪をゆらして、顔をしかめると、ブツブツ言いながら、メグが自立する場所を変える。
「……助かる」
ジャス子もボヤくように礼を言った。
さっきはジャス子がメグを叱ってたよな。
いや、それどこじゃない。
1号が、諭すように続ける。
「隣で、ヘッドフォン付けて2号と遊んでろ。例えば、ベルにゃんのどこが好き? なんて話聞きたいか?」
「あ、……いや」
「なんで、フィギュアのパンツ鑑定させられたか、知りたいんだろ? 最後に説明する」
緑や金メッシュが入ったウェーブのロングヘア。
薄いレンズのメガネ越しに、うさ山さんが僕を見て頷く。
……この二人、どういう関係なんだろう?
こないだまで、うさ山さんの家来くらいにしか思ってなかったけど……
「分かりました。隣にいます」
不安そうに……違う、心配そうに見つめるリーファ達に頷いて見せ、ふすまを開けた。
六畳間、ニ台並んだモニターの前であぐらをかいた2号が、ニヤニヤ嬉しそうに手招きする。
隣の部屋からは、角度的に誰からも見えない位置だ。
この部屋も古いながらクーラーがついてて、狭い分、あっちより涼しいくらいだ。
そっとふすまを閉め、モニターを見て驚いた。
天井や側面から撮影してる、隣の部屋が4つに分かれて映ってたんだ。
散らかった畳の上に座るスペースを作り、スカート履いてるせいか、何となく横座りで座った。
ヘッドフォンを渡され、2号が自分のiPhoneを見せてくる。
画面には『オツカレ』の4文字。
声を出すなって事か。
僕も自分のスマホに打ち込んで見せた。
『勘弁して下さいよー 一体どうなってんスか?』
『まあ見とけって』
そばにある、ポテチの袋に手を突っ込みながら、モニターを指す2号。
ヘッドホンを掛けると、マイクが拾う隣の部屋の声が聞こえた。ふすま越しに盗み聞きするより、断然クリアだ。
『……家出する時は、ジャージでプチ女装する、宗教上のキマリでもあるのかと聞いたんだ。
『それぞれの女子に、僕が何をしたかを吐かせる為に、拷問されそうだから変装して逃げて来たんです……半分は仕方なくなのに、割に合いませんって』が答え……ヤツは反省してないぞ」
一瞬の間。
僕は全身の毛が逆だった。
あのデヴ、なんて事を!
マジで、なんて事を!
そもそも、『アイツがお前の事こう言ってたぞ』とかチクるのは最低じゃんかよ!?
グチこぼす相手間違えたわ、チクショウ!
逃げ出すために、窓へ駆け寄ろうとする腕を2号は掴み、ニヤつきながら、座れのジェスチャー。
僕は口パクで反抗し、ふすまの向こうを指差した。
さっきの倍ほどの怒号が渦巻いてる。
ヘッドホンいらんわ、全然。
「ふざけんじゃないよ、あのチビ! めっちゃ見つめて抱き寄せたのもイヤイヤかよ?」
いえ。アレハチガイマス、相棒。
「ウチの乳こねくり回した上、スポロンの底吸う並にチューチューしといて、何寝言ほざいちょる!? パンツ下ろしたらギンギンじゃったくせに!」
ヤメてやめて!?
僕は悲鳴を圧し殺し、畳を転がる。
「マジ? トラじゃん? ベルくん、トラじゃん!」
うれしそうに叫ぶんじゃねぇよ、うさ山ァ!
『ンな、カビの生えた古生代の話ドウデモイイ!ウソ、全然良くないから、日本帰ったらキンタマつねりあげてやるけど、ジャスミンだけは違うもん! 全然、仕方なくじゃないもん!』
「メメメグだって、旦那様モテるから覚悟してたもん! 吊し上げて、ぶーりぶりって言いながら竹棒でシバいて、みの踊りさせるくらいで許しちゃうんだからあ!」
眼以外ニヤニヤしてる2号に、火の付いたむしろで巻かれた農民がのたうち回っている絵をスマホで見せられ、吐きそうになった。
ぢくじょう、許してこれかよ!?
ダメだ、終わりだ!
もう、終わりだッ!
……甘かった。
「ちなみに今、諸君が言った事は全てヤツから聞いてる」
静かだ。
地獄の様に静かだ。
僕は棒の様に寝転んだまま、十字を切って柏手をうち、メッカの方向に向かって、念仏を唱えた。
パパ、ママ。先立つ不幸をお許しくださひ
「……殺るか、ナー」
「そうじゃな、乙女の純潔、触れ回るクズには鉄拳制裁じゃ……チンチンに」
見上げるモニターに、立ち上がった二人が映ってる。
『メグ……ハチさん針、使えねぇ様にしちまえ。二年くらい』
ナニ、その二年殺し!
ご機嫌で、Fortniteのエモートを踊る2号。
「もちろんですよう」
口許に手を当て、どんよりした眼でスタンバトンをスパークさせる、雪女。
「ここにいる、二人のヲタにも、忘れてもらおっかな、電撃で」
2号のエモートがピタリと止まるのを僕はガン見する。
「なんだよ……退いてよニーサン」
手を広げ、リーファとナディアを遮る1号。
「まあ、待て。彼にも止ん事ない事情があった……押さえつけられ、これでゲロさせられたんだ」
1号が背後から取り出したのは……
例のクジャクの羽根!
ナンダヨ、バカヤロー!
僕の眼前にマジで、お花畑が現れた。
ボクハシンジテタヨ、1号!
「なんじゃ、その羽根」
『んで、誰がやったんだよ?』
「俺だ」
地獄の様な静けさ(n回目)。
バチバチっとスパークする音。
「正直なあなたには、ご褒美ですよう」
「自分は止めないッスから、悪しからず」
「うさ山も放置でーす」
「待て、我が領域では、暴力はご法度。どうしてもなら……この羽根で受けて立つ」
「いいから、歯ァ食いしばりなよ」
「ラリっちょるんか?」
「この羽根はな……ラブホテルで手に入れた。ご自由にお使い下さいと……書かれた袋からな」
1号の震える声に、皆が固まる気配。
ギョッとして、ふすまの方を見る2号。
「1号……? アンタ……まさか」
うさ山さんの声は、1号が突き出したスマホの画面が遮った。
「この写真が、その使用記念だ」
魂切る様な6つの悲鳴が、壁と天井を突き抜けた。
チガウ、6つじゃ無くて、7つ。
目の前の2号の何かが壊れていく悲鳴に、僕はドン引きする。
隣が壁を、蹴る音。
原神で、五連続すり抜けしても、こんな絶望的な顔しないよ?
ワカル。
モニターには、1号の震える後ろ姿しか映ってない。
けど、スマホには2号に羽根でワキをくすぐられてウットリしている、1号が映っているに違いない。
親のゾンビを見たような顔で、部屋の隅に固まる、JS達。
メグはご丁寧に、ジャス子の映ったタブレットを抱きしめてる。
イイヤツだな、オイ?
リーファ達にしがみつかれても、無表情のハスマイラさん、真っ青なうさ山さん。
1号は羽根で眼前を薙ぐ。
飛び散った羽毛に悲鳴を上げ、身を縮める、リーファ達。メグなんか、息でフーフーして追い払おうとしてるけど、舞い上がって、余計近づける羽目になる。
「メグ、やめれ! ヒィィ」
蒼白な顔を歪め、みっともない声を上げるリーファ。超レア。
「これで秘密は対等……文句は無かろう。それでも力に訴えるなら、この羽根が相手になる」
毎日23時頃、週7更新を目標にしてますが、火曜と木曜は、25時になる事が多いです。
祭日、日曜は、早めに投稿する事もあります。
宜しくお願いします!