面白そうだから
《登場人物》
林堂 凜
主人公。 小6、男。 任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。
梁 梨花
小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。小学校は別。主人公が好き。
香咲 ナディア=マフディー
小6、女。パキスタンと日本人のハーフ。主人公と同じ学校。主人公が好き。あ
1号
スマブラー。デブの巨漢。今回の宅オフの主催者。
2号
スマブラー。1号の相棒。小男。
オリガ=エレノワ
金髪のロシア人。日本で言う小6。女。ナディアの遠い親戚。主人公が好き。
ジャスミン(ジャス子)
金髪のアメリカ人。小5。女。スマブラ団体戦大阪大会では敵だった。主人公が好き。
氷室 恵
日本人。小5。女。スマブラ団体戦大阪大会で、主人公の替え玉を演じた。主人公が好き。
ハスマイラ
リーファの護衛。リーファのパパが好き。
「こっちも、忙しかったんだよ、ジャス。暑い中駆けずり回って、やっとオタロードで見つけてみたら、女装して、人形のパンツ見てたんだ。屋根を確保するためにね。グースカ寝てたアンタに言われたくない」
一気に言い放つリーファ。
ジャス子が言葉に詰まる。
『……っ! グースカってなんだよ!? ってか、ナニソレ? オタ……?』
リーファがつっけんどんに状況を説明すると、ジャス子が噴火した。
『ざけんな、何させてんだ、そのキモオタ!?』
1号は平然としてるが、僕は慌ててジャス子をなだめにかかる。
「だから、それを説明してもらう為に集まったんだろ。心配してるだろうから、オマエに連絡しろって言ってくれたのも、その1号さんなんだぞ?」
『……!』
「寝落ちしてても、飛び起きるに決まってる、話し合いに参加するかどうか聞けって。だからそんな言い方よせ」
『……悪かったよ』
バツが悪そうに謝るジャス子。
不機嫌な顔で、何も言わない、ナディアとメグ。
「2号はどこ?」
「ふすまの向こうだ。必要があればいつでも呼ぶ……始めようか」
うさ山さんの問いに答える1号を、タブレットの角度を調節しながら眺める僕。
海の向こうにいるジャス子がそこに映ったのを確認して言った。
「まず、ベルにゃんをここに泊めた理由は……面白そうだったからだ」
一瞬の間。
「ふざっけんなや!」
ナディアが喚くと同時に、怒号が渦巻く。
マジかよ、僕を泊めてくれた理由って、それだけ? 単にイジリたかったから?
しょぼくれた気持ちで、フィギュアのパンツを鑑定してた自分を思い出す。
怒りよりも、悲しさが先に立つ。
「イイ歳して、他にやる事考えつかなかったんですかっ!? マジキモい!」
メグが顔を真っ赤にして叫ぶ。
無言で身を乗り出そうとした、リーファの襟首を掴むハスマイラさん。
何故かニヤニヤしてる。
うさ山さんは正座のまま動かず、静かに言った。
「わかった。他には?」
「……女装してるって言ってたからかなあ」
片膝をついて立ち上がろうとするナディアの手を、うさ山さんが素早くとらえる。
激怒するジャス子。
『テメェ、日本に帰ったら真っ先に蹴り殺してやるッ!』
「一度だけ聞きます。本気で言ってるんですね?」
青い顔で目を見開いたメグが、トートバッグに手を差し込んだまま問う。
間違いなく、ショックバトンを握っている。
修羅場に突入する確信に、僕は立ち上がりかけた。
ナンダヨ、1号?
ちょっとでも、期待した僕がバカだったのか?
やっぱオマエラ……
「逆に聞こう。どういう理由だったら良かった?」
周りの騒ぎに全く動じず、1号がなんだか……楽しそうに尋ねる。メグを見つめて。
「小学生の子供が、助けを求めてるんですよ? ただ、助ければいいじゃないですかっ!」
「本気で言ってる? 俺はこう返したよ。『いやこんな時間にダメでしょ? 何、家出?』って」
徐々に静まる部屋。
……あまりにも当然すぎる返事。
そうだ、まともな大人なら、まず帰りなさいって言う。OK する方が、どうかしてるって思う。
……今なら。
「こっちの問いに対する回答は無かった。代わりに『いや、狙われてるんです。助けて下さいよー』『えー、めんどくさそう。平和主義者なんだよね、俺』って返した」
『サイテーだな。頼りがいなさ過ぎだろ?』
ジャス子が皆の気持ちを代弁する。
1号が、噛んで含める様に言った。
「なるほど。日本に帰って来たら、俺と2号を泊めてくれそうなイキオイだな。理由はいらないんだろ? 言っとくが、ベルにゃんと俺、互いにLine知らない程度の仲だぞ?」
悔しそうに黙り込む、ジャス子。
感心したように何度も頷く、ハスマイラ。
「話を続ける。ベルにゃんからの返答。『今、軽く女装してます』だ。よっぽど言えない理由なんだなって考えた。その時はな。だからOKした。オフに来てた奴等には口止めしてな」
……そうだったのか。
1号達を信じて良かった。
僕は、心が温かくなって、救われた気持ちになった。
リーファとナディアはチラッと目配せして、スゴスゴと座り直す。
呆然と膝立ちしてるメグに『座れって! 余計ナメられるだろ』って叱りつけるジャス子。タブレットの外カメラに、入るとこいるんだ、メグ。
「今までの話で、やっぱり違うだろって思うとこがあれば言え。無ければ次だ」
「ジャスミンが、アンタ達泊めるんと、その逆は意味違わんか? 何もでけん小学生じゃぞ? 助けるんは大人として当然ちゃうんかの?」
小学生達が一斉に頷く。
1号も大きく頷いた。
「その通り、よく言ってくれた。全く意味が違う……保護者の許可なく子供を泊めたら、匿った俺達は捕まるからな……なんだその顔? まさか知らなかったのか?」
そうだ、だから僕は1号を信じたんだ。
同時に、かなり図々しかったよな、僕、って顔が熱くなる。
皆がハスマイラさん、とうさ山さんを見る。
うさ山さんは顔をしかめて頷いた。
「そだよ、未成年者誘拐罪が成立する。だから、知りたかったんだ、面倒な事がキライな1号がなんでそんなリスクを冒したのか」
1号を振り返ったリーファ達の顔。
明らかに混乱している。
静まり返る八畳間。
遠くのクラクションが聞こえ、窓からはすっかり眩しさを失くした光が差し込んでくる。
セミの声も。
ヲタクのくせにメガネじゃない、デヴ。
いつもと同じ無表情。
コイツ、こんなに頼もしかったっけ?
「もう無いなら、次にいくぞ……その前に。ベルにゃん、退場だ。2号のとこに行け」
毎日23時頃、週7更新を目標にしてますが、火曜と木曜は、25時になる事が多いです。
祭日、日曜は、早めに投稿する事もあります。
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