SP、DXのみならず、PMに飢狼伝説まで出来る大学のオフを、君は知っているか (2)
《登場人物》
林堂 凜
主人公。 小6、男。 任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。
香咲 ナディア=マフディー
小6、女。パキスタンと日本人のハーフ。主人公と同じ学校。
梁 梨花
小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。小学校は別。
ジン
クラスメイト。男。クラスのリーダーで、優しい
佐竹
クラスメイト。女。クラスのボス。
鈴香
ナディアの姉。高校生。
「おお、マジモンだ! 未来の至宝だぞ!!」
囲え囲え!
ゲームキューブを貼り付けた、小さなブラウン管の前で、ナディアと大学生が楽しそうに、デラックスをやってる。
その後ろでデラ勢が、ダッシュダンスしている二人をニコニコと見守っていた。
ホントに嬉しそうに、メガネの大学生が叫んだ。
「絶も完璧だ……デラの超新星だな! だが、負ける訳にはいかん!」
超盛り上がってるなあ。
ぼくは、おじいちゃんになった気持ちで、離れたとこからそれを見てた。
リーファは、リーファでノートパソコンの前に集まり、アメリカの人達と、楽しくPMをしていた。
「PM勢の小学生って、嬉しいな!アメリカにいたの?」
「いえ、東京の塾に置いてあって、そこで覚えました」
そこにいた、3人のPM勢が腹を抱えて笑った。
いや、PM置いてる塾って一つしかないよね!?
塾長、教育熱心! 育ててるなぁ
ボクもそんな塾がよかったなぁ
みんな上機嫌だ。
アイツラの初オフにここを選んだのは、雰囲気がゆるく、しかも、SP、デラ、PMまであるからだ。
トーナメントで負けても、みんな楽しそうに、持ち込んだレトロゲームなんかをやってるんだ。
入口付近では、余ったモニターを使って、大昔の餓狼伝説ってゲームをやってる人達もいる。
「おお、クララちゃん、すげぇ!マスターハンドの出し方知ってんのか!? 俺と勝負な!20回以内にだせたら、天才!」
「アリスちゃん、ルック、ロボットのこのスキン、こう……ホラ、目の中にコートが見えるだろ?マリオテニスなんだよ!下には任天堂の電話番号が」
二人ともリラックスしてる。
ここを選んでホントによかった!
デラ勢とPM勢はホントに、新規に優しい。
僕もデラックスやりたかったけど、その頃はネトデラまだなかったんだよね。
今は、PMもすごくやりたい。
小学生大会で、SP以外してる余裕がないって思ったら余計やりたくなる……
大会優勝して、インタビューで、
「これで、ゆっくりネトデラと、PMができます!」
って叫んだら愉快だけど、後で配信、カットされそうだなあ。
午後四時半、大学の門を出ると少しだけ傾いた太陽が、車の多い通りを照らしていた。
日曜の学生街、人通りはほとんどない。
「どうだった、二人とも?」
「緊張したけど、楽しかった。あと、清潔で助かった」
「それな。それと、覚悟してたより、みんな普通で優しかったのう」
「だろ?大人しくて、優しい人ばっかりだぜ」
僕が紹介する人達と片っ端から、二人を対戦させたけど、みんな褒めてくれてた。
僕が口を開きかけたとき、リーファのスマホが、優しいメロディを奏で、僕とリーファは顔を見合わせた。
星に願いを。
リーファに予め教えられていた、緊急警報だ。
リーファが、表情を消し、Bluetoothのイヤホンマイクをはめた。
中国語で話し始める。
「なんじゃ、リーファ?」
「ナディア……何も言わずに、僕の言うことを聞いて。走れと言ったら走れ、伏せろと言ったら伏せろ」
「え……」
「マジだ」
「了解じゃ」
リーファが、通話の合間にさり気なく言った。
「そこの路地にガンダッシュ。3、2、1、go」
僕らは、スタートを切った。
五メートル向こうの路地に飛びこむ。
男の人にぶつかりそうになって、三人ともあわててストップ。中東系の、ガタイのいいオジサンが僕らを冷たい目で見下ろしていた。もちろん、髭面だ。
ナディアの眼が見開かれる。
「オマエ……なんで」
その髭面の後ろに人影が現れた。
リーファが言った。
「封じろ」
現れた、東洋系の男に、何か囁かれ、髭面は、固まった。
髭面の背中に何かを突きつけているのは、僕が気絶した時、マンションまで運んでくれた、四駆の運転手だった。そのお兄さんが言った。
「六時の方向より尾行者一名。SCHOOL GIRL 、スタンバイ、スタンバイ」
青い顔をしているナディアを庇うように僕は壁際に移動した。リーファは、仁王立ちだ。
角から現れたのは、中東系の、チャラい感じの若い男だった。
リーファが、片手を上げてチャラ男に宣告した。
「ストップ。カナース」
次の最終章で、「邂逅編」は終了します。
最終章、クライマックスですので、どうぞお付き合い願いますね。
今続きを書いております。
それでは、また、月曜日に!