SP、DXのみならず、PMに飢狼伝説まで出来る大学のオフを、君は知っているか
《登場人物》
林堂 凜
主人公。 小6、男。 任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。
香咲 ナディア=マフディー
小6、女。パキスタンと日本人のハーフ。主人公と同じ学校。
梁 梨花
小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。小学校は別。
ジン
クラスメイト。男。クラスのリーダーで、優しい
佐竹
クラスメイト。女。クラスのボス。
鈴香
ナディアの姉。高校生。
「おお、ベル君久しぶり。お友達もこんにちは」
「ラビさん、今日は。こっちのボブがクララ、こっちのショートがアリス。この三人で小学生大会、団体戦エントリーします」
日曜。午後13時。
髪を染めた、イケメンのお兄さんが、にこやかにむかえてくれた。
ここは、大阪市内にある大学の会議室。
大学公認のeスポーツサークルで、月に何回か小規模のオフを開催してて、僕らみたいな小学生でも、空きがあれば受け入れてもらえる。僕らの教室の半分くらいのスペースに中学生から、大人まで、20人近くがいた。
窓ぎわの長机に、持ち込まれたモニターや、DX用のブラウン管テレビ、果てはPM用のノートパソコンまで並べられ、みんなパイプ椅子に座ってピコピコやってる。
小学生は、僕らだけだ。
ここの部長のラビさんは、二人に挨拶を返し、
「女の子二人と……こりゃ、楽しみだな」
「0回戦(抽選)突破したら、自信はあるんだけどなあ
……」
「だよな!僕はそんな力ないけど、リアスマのスタッフだったら、任天堂の開発チームに顔が聞く人がいるし……うさ山さーん、ベル君が女の子連れてきたぞ!」
リアスマって言うのは、大阪市内の区民センターで、月に一度開かれる、300人規模のオフだ。
上位勢どころか、プロも関東からやってくる、修羅場。
伝統あるオフだから、いま、任天堂で、スマブラの開発チームにいる人たちも、リアスマ出身のスタッフだったりする。
奥にいる、ヘッドフォンをかけた二十歳くらいの派手なお姉さんが、会話をやめてこっちに手を振った。
「マジ? やっほベル君……おー、マジやん!しかも可愛い!」
「お久しぶりです!この二人と、小学生大会、全一目指します」
「いーねいーね!お姉さんとちょっとやろ!」
気づいたように、首からかけた名札をかざし、
「私、うさ山。アリスとクララちゃんね?こっちおいで」
初めての場所、顔ぶれに緊張してたナディアと、リーファだけど、相手が女の人なので、明らかにホッとしている。ちなみに、うさ山さんは、リアスマのスタッフだ。
GCコンを繋ぐナディアとリーファを眺めながら、
部長のラビさんに聞かれた。
「どう?あの子達、強い?」
「ショートのアリスの方はvip4体、ボブのクララの方はデラ勢なんですけど、やっぱ当て勘ヤバイです」
「マジ!?小学生でデラ勢?しかも女の子!」
「ネトデラで、五回に二回勝ってます」
「いや、ヤバイよ、それ!話題性ありすぎんだろ」
「アリスはPM勢です」
「それ、もう、ネタやん!……よく見つけてきたね、そんな逸材」
僕は笑って頷いた。
「たくさん、怪我したかいがありました」
「……サバンナで捕獲したの?」
うさ山さんが、興奮して喚き散らしている。
「この子、ヤバイ!バキバキ当ててくる……ちょっと変わった動きするね……なんか、見覚えが……デラ?マジ!?だから、斜め回避やっちゃうんだ!」
二戦ほど終え、結果はもちろん、うさ山さんの全勝。
でも、ナディア、二戦とも1ストック半落としたんだから、大したもんだ。
「いやー、驚いたわ。SPのファルコン、デラとコンボ全然違うからね。使いこなしたら、ぐーんと伸びるよ。次、アリスちゃん、いこっか」
ナディアとリーファが、パイプ椅子の席を変わる。
開始早々、リーファのパルテナが、崖を落下しながら、爆炎を放つと、うさ山さんが、たははと、うなだれた。
「……マジ?最近の小学生、こんなにうまいのか」
そう言いながらも、うさ山さんは、ワリオで圧倒的な強さを見せる。
二戦とも、うさ山さんの圧勝だけど、リーファもナディアと同じくらいの健闘を見せた。
「アリスちゃんもうまいね!後は、数をこなして、オフに慣れる事だよ。ベル君!これ、優勝できるんじゃない?」
「ありがとうございます!0回戦突破さえすれば、もう!」
「チーム名は?もう決まったの?」
「クラリス・ベルで、申請するつもりです」
「かわいいね。変なチーム名ばっかりだから、きっと目立つよ。みんなに言っとくわ」
僕は、心の中でガッツポーズをとった。
「よろしくお願いします!……いえ、今日は、二人のサポートに付きますから、トーナメントは出ないです。ナデ……クララ、アリス、行こう。色んな人紹介するよ。うさ山さん、ありがとうございました」
今日は、もう一話投稿します!