第五章 PM少女 〜PMのワリオマン、体感forベヨの三倍性能だ〜(3)
《登場人物》
林堂 凜
主人公。 小6、男。 任天堂Switch 大乱闘スマッシュブラザーズが学校一うまい。
香咲 ナディア=マフディー
小6、女。パキスタンと日本人のハーフ。主人公と同じ学校。
梁 梨花
小6、女。台湾人と日本人のハーフ。主人公の幼馴染で、相棒。小学校は別。
ジン
クラスメイト。男。クラスのリーダーで、優しい
佐竹
クラスメイト。女。クラスのボス。
鈴香
ナディアの姉。高校生。
「リーファ!また、行けない店がふえたろーが、ナディア、風邪だから今日の練習中止にしたんだぞ!何してんだ!」
イオンのそば、公園のベンチ。四月の昼は、快晴でも、少し冷えた。
あのあと、若い店員さんに、控え室で、
「今回は学校に連絡しないけど、今回だけだよ?それと、痴話喧嘩は、普通lineでやるものです。それにしてもこんなかわいいコ達にここまでさせるって……末恐ろしい少年ね」
短い説教で、開放された。
僕が真ん中で、二人とも僕から距離をとって、ふてくされていた。
「凛が悪い」
「そうじゃ、林堂のせいじゃ……うちにはそんなよそ行きで来んかったのに」
「前、水筒提げてったら、弟に間違えられて、凹んだんだよっ!」
「凛、私の誘いを蹴って、コイツんところに行くならともかく、デュエマの20円コーナーを漁りにいくつもりだったって……ムカつく通り越して、いい病院紹介したくなる」
「悪かったな!その後二階の古本コーナーで立ち読みすんのが楽しみなんだよ!」
僕はうんざりした顔で立ち上がった。
「今日は、お開きだ。解散、解散」
そっぽを向いてる二人に言った。
「オマエラ、二人残したらまたケンカするだろ、ここで見送るから帰れ」
二人とも不貞腐れたままだ。付き合ってられるか。
「ああ、そうか、勝手にしろ」
「林堂。さっきからソワソワしちょるの」
「どうせ、新しいデッキ組むために、友達集めてカードの交換会するんでしょ。マジ、幼稚くちゃい」
「ななな何言ってんの、馬鹿じゃないの?」
大正解だ。エスパーか?
そうだ。
実際のとこ、さっきの騒ぎも理不尽に蹴り回された事もどうでもいい。
どうせ、こんな遠い中規模のスーパーなんか、来れなくても平気だ。
頭の中は、手に入れた夢のガイギンガでデッキを組むことしか頭になかった。
僕ら小学生は、お金がないから、速攻デッキばっかになるけど、宙ぶらりんになってるレアなんかを掻き集めたら、そこそこのデッキが組めるはず……!
怒ってるけど、実は顔のニヤケを押さえるのに必死だった。
「私から貰うものだけ貰ったら、もう、用無しなんだ……サイテー」
「林堂、ホストでも、もう少しサービスするじゃろ?」
「ううう、うるさいな!なんて言われたって、女子なんか、連れてくか!リーファ、お前が古本市場のデュエルスペースで、オニーサンとオジサン達を毛虫見るみたいな目で見てたから、行きづらくなったんだぞ!師匠にも、TPOを考えろよって叱られたんだ」
リーファが、その時見せたのと同じ表情で言った。
「師匠って……あの、テーブルにロリコンのマット敷いてたヲタク?……キモ」
「それは……キショいのう」
「あーっ、キモいって言った!言ったな!禁句っつったのに!もういい!」
スマホ預けたとき、欲しい物リストの中の、東方の敷マット、見られなくてヨカッタ。
冷や汗をかきつつ、僕は背中を向けた。
「うまく帰れるって思った?残念。私は利用されて終わる女じゃない」
「それか、デュエマとやらは。かわいくない絵じゃのう」
「えっ!」
振り向くと、ハードケースに入れて鞄にしまっておいたはずのガイギンガが、リーファの細い指に挟まれていた。
「いつの間に!」
冗談じゃない!今日の苦労が水の泡だ!
何気にシャカパチする中で見せて、あくまで、さりげなく、みんなに自慢しようと計画してるのに!
「か、返せ!」
「いいよ。私にスマブラで勝てたら」