勝ったのは私
『………Go!』
2戦目、リーファは、パルテナ、カレンはネス。
相性的には、リーファが有利だ。
そしてステージは、シャドーモセス島。
左右に巨大な柱が立っており、移動可能な範囲が狭い。柱を崩せば、左右に広くなるが、そうしない限りは、上方向以外のバーストは無理。
パルテナは、上方向に攻撃が強いが、ネスも火力では、引けを取らない。
この狭いステージでは、殴り合いの強い、ネスの方が有利だと思う。
開始と同時に一段降り、ネスに迫るパルテナ。
ネスのPKファイアをかわし、その後隙を掴んだ。
床に叩きつけ、浮いたところを、杖を水車のように回す空Nで、お手玉。パルテナの黄金パターンだ。
三段の高さに別れた台の、二段目に突き上げられたネス。
パルテナが打ち上げた、上スマ、光の柱ビーム……かわした。
ネスも、台から降りながら、掌のサイキックエネルギーを叩き付けてくる。
振り回して来る必殺のバットから、距離を取るふりをしたパルテナは、再び、ネスを掴んで叩きつけた。空N、空N、パルテナキック。
ネスが、炎を至近距離から投げ、パルテナを燃やすけど、足の速さを活かして、リーファがアイテムを先にゲット。
クラゲみたいなヤツを召喚。
「メトロイド!よっしゃ!」
ナディアが叫ぶ。
緑のオバケクラゲみたいなのが、ネスの頭に貼り付いて、ダメージを与え始める。
そこを逃さず、パルテナは、下から空Nで、ネスを突き上げ、上方向にバースト。
観客席が湧く。
歓声を上げるうさ山さん達。
いい流れだ!
けれど、ネスは、復帰台から降りてくるなり、柱にパルテナを押し込み、必殺のヨーヨーを振り回す。
派手な音を立てて、崩れる柱。
やり返して来るパルテナを、空後キックで、横方向にバーストした。
頭を抱える、メグ達。
……火力、ステージの使い方、共にカレンはリーファより上かもしれない。
けど。
リーファの最大の武器は、機転と器用さだ。
足りない分は、決して無理せず、他の方法で補う。
元々、リーファが、パルテナを選んだ理由は、切り札が強く、足も速い、このアイテムルールの公式大会の為に選んだんだ。
キャラ愛とか、勝ち方へのこだわりがない分、一番効率のいい方法をとることができる。
ネスの猛攻を、足の速さと、テレポートで凌ぐパルテナ。
相手のアイテムゲットを、遠距離からの爆炎で邪魔し、自分はいち早く、有利な武器を拾う。
大きなハンマーでネスを追いかけ、モンスターボールで、ポケモン召喚。
「キテルグマ!当たりじゃ!」
スゲェ、リーファ引き強い!
見た目はクマのぬいぐるみなんだけど、コイツのアッパーを喰らったら、低%でもバーストする。
壁を突き破って現れる、ド迫力のメタルギアを背景に、キテルグマが、真下に来られるのを避けつつ放つ、ネスのPKファイアに巻き込まれる、パルテナ。
大ダメージをくらいつつも、体が光りだした。
パルテナが切り札を発動した。
『行きますよ?……ブラック・ホール!』
攻撃途中で出現したブラックホールに吸い寄せられるネス。
『そして……波動ビーム!』
パルテナの放射する極大ビームで、みるみるダメージを蓄積し……バースト!
『2-1』
よし!
よし!
飛び跳ねるメグ。手を叩くナディアママ。
しかしネスも、復帰直後に切り札発動。
『PKスターストーム!』
火の玉みたいなビームの塊が次々と天から降ってくる。
リーファは、器用にテレポートを使ってかわし続けるけど……何発か被弾、トドメに、ネスの空上で突き上げられ、あえなくバースト。
『1-1』
泣きそうな顔のメグ。
僕も心で泣いた。
「リー、まだじゃ!」
リーファは、距離を取るのをやめた。
ガチの殴り合い、パワーゲームに切り替える。
ネスのpkファイアを、読みの反射板で弾き返し、掴んで叩きつけた。空N、空N、上スマ!
外され、逆に、空前、空前……ドロップキック!
かわした!
「っぶねェ!」
今の喰らったら終わってた。
お互い、ダメージは80%を越えている。
何かいいのを、喰らえば終わりだ!
ネスの、PKファイアから、空前、空後ドロップキック。
パルテナの、ダッシュアタックから、空N、空中シールドバッシュ。
互いに引かない攻防の中、ネスの空前が入った。電子音と共に、パルテナが弾かれる。
「……!」
落下地点に、駆け込むネス。
リーファのパルテナが光を発した。
次の瞬間、 バットを振りかぶってしまったネス。
フルホールドの横スマをパルテナに叩き込んでしまい、
『カウンター!』
倍返しのエネルギーを喰らったネスは吹き飛んだ。
『Game Set!』
「よっしゃあ!」
ナディアのガッツポーズと、抱き合って飛び跳ねる、メグとナディアママ。
呆然と、プロコンを置いたカレンが呟いた。
「見えてたのに……」
………そうだ。
冷静だったら、発生の遅いパルテナのカウンターを、見てから狩れた。
流れを読んだ、リーファが賭けに勝ったんだ。
「そう?………でも、私にも見えたから……」
リーファが、立ち上がり、母国語で呟いた。
『我的胜利』