第八話 紅茜の違和感
今日は後、一、二話投稿いたします!!
どうも、露天風呂でゆっくり休みたかった白夜です!
そしてまだ露天風呂で一悶着あるようで…
「はうぅ…コンはエッチなイケない子なのですぞ…?」
そう言ってコンは、顔を湯に半分浸けて息をブクブクさせながら狐耳をペタンとさせていた。
一方クロノスはと言うと、僕の肩に手をまわして背中に抱きつき時折顔に頬ずりして来る。
「く、クロノス?あんまり抱きつくと…ッ!?」
「…?どうしたの、白夜…♪」
そう言ってまた頬ずりしてくるクロノスだが、それよりもさっきから背中に当たってくる何か柔らかいものが…
コンのように大きくはないにしろ、クロノスは慎ましいながらもぎりぎり揉める位には胸がある。
そんな光景を見て、羨ましそうな視線を送る人が一人…
「主君とあんなにイチャイチャと…クロノス殿が羨ましい」
そう言って、隣で羨ましそうにジーと見ている鈴奈さんだ。
「あ、主君!手持ち無沙汰で腕が寂しいなら私の胸を…」
「フゥーッ!!」
目をキラキラさせて言った鈴奈さんだったが、クロノスが威嚇と同時に時空間魔法による障壁を展開し、白夜への接触を阻止する。
その後、クロノスは膝の上に乗って褒めて褒めてと言いたそうに腕にスリスリしだした。
「…それで、何で紅茜様までいるんですか?」
僕のその問いかけに、何か思い出したかのように手を叩く。
「そうそう、今回の件について謝罪の場を設けようと思っての」
紅茜は妖美な笑みを浮べてそう言った…
――――――――――…
それから僕達は浴室を出てとある畳の一室に通された。
「今回、妾と鈴奈が白夜殿とクロノス殿を襲った件についてじゃが、まずは謝罪を…申し訳ない」
「いえ、こちらも何のコンタクトもなく接触してしまいましたから…」
そう言うと、紅茜は何処か安心した顔をするが、次の瞬間にはいつもの妖美な笑みをしていた。
「それでは次の議題じゃが、単刀直入に言うぞ?…何をしに来たのじゃ?」
「?ただの観光ですけど…」
そう言うと紅茜は目を丸くした後、腹を抱えて笑いだした。
「フハハッ!お主、一瞬冗談を言ったかと思うたら、本気でそう考えとったようじゃな、アハハッ!!」
どうやら、紅茜は僕の考えを読み取っていたらしい。
紅茜は一通り笑うと、目尻に浮かべた笑い涙を着物の袖で拭き取ると、コンと鈴奈を同伴させることを条件に一日だけ、里で自由にしていいとの事。
「それともう一つ、その期間中は本人が了承したらコンに何をしても良いぞ?」
その言葉にコンは顔を真っ赤にして怒り出す。
「茜様!?急に何を…」
「コン、お主の本当にやりたいことをするのじゃ」
紅茜は何故か悲しそうな顔でそう言う。
「茜様…分かったのですぞ」
その後、コンは紅茜様に僕達を寝室に案内させる様に言われて
席を立った。
そして最後に僕が席を立ち、紅茜様がすれ違いざまにこう言ってきた。
「…コンの《最期の》望みに、出来る限り応えてやって欲しいのじゃ」
「…え?」
「…何しとる、はようコンについていくのじゃ」
紅茜にそう急かされ、部屋を出てコンについて行くのだが…
(茜様、何であんなに悲しそうな顔をしてだんだろ…それに《最期の》望みってどういう意味…?)
紅茜の、今までの妖美な笑みを浮かべた顔とは違う…何か悲しいような、やりきれない、諦めた表情に違和感を懐き始めた白夜。
そして、その意味を知る日は着々と近づいていた。