第五話 始まりの里
「…という訳なんです」
「あぁ分かった…そんな事より、貴殿の好みは?」
巫女服少女…鈴奈さんにコンがこうなった経緯を説明したのだが、さっきからクロノスとはどういう関係なのか?とか、好きな女性のタイプは?とか関係ない事ばかり…何しに来たんだろ?
「嫁がいないのなら私を…」
「むぅ、白夜は私の婿だから駄目」
クロノス、僕OKした覚えないけど?
「クッ、なら側室にしてはくれないだろうか…」
「ず、ズルいですぞ!!コンが先に気に入ったのですぞ!」
「…僕の人権は何処へ」
いや、別に不満がある訳じゃないんだよ?
クロノスは口数が少ないし、感情をあまり顔には出さないけど甘えたときは可愛いし…(ロリ好き)
コンは…ちょっと可哀想な子だけど(何がとは言ってない)
ほら、今だって背中に乗って甘えてくれるし(獣耳好き)
鈴奈さんは少し大人っぽいというか、お姉さんみたいな雰囲気があってなかなか良い(五〜六歳上までならいい)
…つまり守備範囲が広いから困る。
「着いたぞ、ここが私とコンの里…アカネだ」
そこには、先程の竹林の他に紅葉などの木々に周囲を覆われた里があった。
「この先に門があるだろ?あそこを通れば中に入れる」
門をくぐると、そこには日本の江戸時代に似た和風建築が多く見られた。
そして、鈴奈さんはその中でもかなり大きい屋敷の前で止まる。
「少し待っていてくれ…私だ。今コンと私の客人を中に入れたいのだが…」
隙間から覗く使用人に、鈴奈さんは僕の背中からコンを剥がして見せる。
「…はい、分かりました」
その声と同時に屋敷の門が開く。
「中へどうぞ…って、人間!?鈴奈様どういう事ですか!?」
「これには少し事情が…ッ!?白夜!!」
鈴奈さんが使用人らしき人に説明しようとした瞬間、僕の背後から急にナニカが現れたことを鈴奈さんが伝えようとする…まぁ、気づいてたけど。
《時空間魔法:空間認知》を使って背後から来る火球を避ける。
「ほぉ、今のを躱すか…ちょっとばかり舐めていたようなのじゃ」
僕が避けた事に驚いてる場合じゃないと思うけど?
「ん、かなり舐めてる」
「ッ!?」
そのナニカは、クロノスに背後を取られていた事に気付くが、クロノスの回し蹴りによって中庭へと吹き飛んだ。
「…一体何をしたのじゃ?直前まで分からなかったぞ」
土煙の中から立ち上がったのはコンによく似た狐耳の少女。
ただ違うのは尻尾の数が5本あることと、瞳が金色な所だろうか。
…どうやら、まだ観光は出来そうにないらしい。