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異能力者の無双  作者: 本宮伊賀
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入学 書き途中

時間が空きましたが続きを

 国立戦闘教育学園。通称、戦教学園(せんきょうがくえん)は国中の実力者が揃う全日制の学校で初等部、中等部、高等部がある。この学園の生徒は全員、寮生活をすることになっていて、入学式の後に入寮しないといけない。といっても大体の生徒は小学校の頃から内部進学のためほぼ実家みたいなものらしい。2人で一部屋らしいのでルームメイトが気の合うやつじゃないときついかもな。



 俺は高等部からの入学なので一人ぼっちになることは理解していた。教室に行くと、みんな仲良さそう。対して俺は一人机に座ってスマホを触っていた。



 他にも同じ境遇の人を探してみるも、見つけたのは遠く離れた席の女子だけだった。シルバーの髪が美しいな。それに後ろ姿からでもわかる。女性にしては身長が高い。なれ合いをする気のない俺でも、声をかけたくなる美しさがある。でも、なんか話しかけにくい雰囲気......



 そんなことを考えてた時、俺に話しかけてくる人物がいた。その人はさっきまで女子のグループで話をしていた女の子だった。ピンク髪のサイドテールが可愛い少女って感じ。小柄だけど、いろいろと主張が激しい子だ。近くでよく見ると右が翠、左が碧のオットアイだ。それはそうとこの女、声がでかいな。



「君、外部入学の人だよね。私は木村真夏(きむらまなつ)。名前聞いてもいいかな?」

「五十嵐魁。」



 名前だけ言って話を終わらせようとした。会話が止まれば気まずくなって勝手にいなくなってくれることを信じて。



「魁くんね。うん、覚えた。これからよろしくね!今日、入学式終わったらクラスで親睦会みたいなことやろうとしてるんだけどよかったらどう?」



 どうやら俺の切なる願いは神に届かなかったらしい。



「お誘いはありがたいが今日は用事がある。またの機会にな。」



「そっか、残念。うん、また今度の機会に!」



 果たして俺がクラスの人と出かけることなどあるのだろうか。それにあのタイプの人間は間違いなく全員を誘うだろう。そうなったら結局教室と何も変わらない。ただ場所が変わり、ご飯が出てくるだけ。俺は一人、隅っこにいるだけになる。ほらみろ、例の女の子にも断られてやんの。



「高校生になったからって浮かれてるのはいいが一旦席につけー。」



 入ってきた教師は男性でやる気がなさそう声で席に座るように促した。



「さぁて、全員席についたな。今日から一年間お前らのクラス担当になった伊藤翼(いとうつばさ)だ。お前らの魔法技術も担当する。よろしくー。」



 なんともまぁ、やる気のなさそうな先生だ。教師ということすら疑うレベルに。



「とりあえず、この後の入学式の説明なんだが......」


 気だるそうな雰囲気のまま説明が続き、終わったと思ったらすぐ入学式が始まった。入学式は簡単な挨拶から始まり、次に各クラスの担任がそれぞれ全員の名前を読み上げていった。なんでずっと立ったままなんだよ。



 (さっきのぼっちちゃん、辻村雪乃(つじむらゆきの)っていうんだな。他意はないけど覚えておこっと。それはそうと、あと2クラスあるのか。長い、眠い。)



 放心状態で名前を聞いていると終わったのか壇上には一人の女性が立っていた。見覚えがあるその人は数分前に名前を知って覚えた人だった。その人は新入生代表のあいさつを始めた。どうやら入試を首席で合格したのはあの人だったらしい。なんともテンプレートな挨拶だったな。



 次に在校生の歓迎の言葉が始まった。この学校の生徒会会長の凛としたしぐさには思わずこっちにも緊張が走る。隣でひそひそとしゃべっていた二人組が静かになっていた。



「入学生諸君、まずは入学おめでとう。この学校は全国から腕に自信があるものが集まる学び舎だ。他の高校生に比べて、とびぬけてレベルが違う。過去の卒業生にはこの国最高戦力として有名な上杉次元(うえすぎじげん)など、現役で活躍している実力者たちがいる。君たちも将来、この国の重要人物になっていくことの自覚を持ち、日々鍛錬を積むように......」



 さすが戦教学園の生徒会長、ただの学生にはない威厳を感じる。逆らったら文字道理、正されそうだ。後半の話ほとんど覚えてないけど。次は学園長の言葉か。おやすみなさい。



 とぼとぼと歩いているご老体を見守りながら、意識を手放そうとした瞬間、体育館中に高濃度の魔力が漂い始める。急に来たからさすがに怖い。同じく油断していたのか、周りのやつらほとんど白目向いたり、泡吹いて床に倒れてたりしてる。クラスメイトで起きているのは辻村さんと木村さん、あと2人いるな。ほかのクラスにも大体5人くらい起きている。



「ほっほっほ、すまないすまない。毎年やってることでの。いつもステージに立ち、新入生の諸君に魔力による特殊な圧をかけている。大体これで立っていられるものを見込みありとみなし、特待生としてちょっとだけ優遇しておる。おめでとう、君たちが合格だよ。今日のホームルームが終わったら、私の執務室に来なさい。さぁ、周りのみんなを起こすとするかのう。」



 そう言って学園長は優しい声で話しかけてきた。その声にこたえるように寝ていた生徒は少しずつ目を覚ましてきた。魔力の圧で気絶させたり、意識を覚醒させたり、あの爺さんすごいな。見た目に反して侮れない人だ。



 全員が起きた頃に学園長が話を再開させた。この後の話はどこにでもあるような式辞を述べてそのまま卒業式を終えた。



 放課後、呼ばれた場所に向かうと何人かいた。知っているのは辻村さんだけだな。着々と人がそろってきたころに柄悪そうな男が辻村さんに話しかけていた。案の定、無視されていたけど。部屋の雰囲気がちょっと悪くなってくる。男はもうつかみかかろうとする勢いだ。



「おい、さっきから無視してんじゃねぇよ。」



 声とともに振り下ろされた男のこぶしは彼女に当たることなく空を切った。彼女は元座っていた席ではなく少し離れた席に座っている。ものすごく速い移動、俺でなきゃ見逃しちゃうね。



「これこれ。あまり私の部屋で騒ぐんじゃない。みんな適当な席に着きなさい。」



 学園長に促されて、騒いでいたやつ含めて全員が席に着く。



「さて、全員が揃ったし、さっそく本題に入ろうか。今日、見込みのある諸君らに集まってもらったのには全員に頼みたいことがあるからじゃ。ここにいる全員には(レッドクローバー)を壊滅させるための手助けをしてほしい。」



 レッドクローバー、最近よく名前を聞くようになった組織で人攫いやテロ行為など、世界的に悪の組織として有名だ。直近では小学校を襲撃して建物を半壊させ、子供を10人くらい攫っていったってニュースになってたっけ。構成員が全員手練れで警察では手が出ないらしい。国の軍人でようやく対等に戦えるとか。しかし、なんでそんな話を高校生の俺らに。



「なんで急にこんな話をするのか疑問に思うだろうが、その答えは簡単だ。日本政府は2年前からレッドクローバーに対抗するべく、全国の高校生の中から才能あるものに支援を行い、より強い人材を作りだすために動いている。この学園は全国から優秀な子を集めておる。育てるにはうってつけの環境というわけじゃ。もちろん学生の本文は勉強であり、普通の学生生活は楽しみの一つであるから無理強いはしてない。だがもしレッドクローバーを壊滅させるために協力をしてくれるのなら将来、どんな就職先でも用意するし、国からの支援金が出る。どうだ、悪い話ではないだろう。どうか協力してもらえないだろうか。」



 学園長の話いわく、在学中にも任務が与えられ、小規模のアジトに乗り込んだり、事件があったら出向いたりするらしい。警察のレッドクローバー対策班の人から指導を受けながら現場で経験を積むらしい。もちろん学校を休む日も出てくるが、公欠として扱われるらしい。それに支援金が馬鹿にならない。月に50万も出るらしい。しかも装備品などは別で請求できるときた。その他、映画や、遊園地など、いろんなものが無料で使えるらしい。福利厚生が手厚い。授業さぼったり、任務放棄など、態度次第でこの話はなかったことにされるらしいけど。



 それでも全員が沈黙する。無理もないだろう。レッドクローバーは組織の一人ひとりが軍人レベルで強いと言う噂がある。この二年間で高校生が任務中に殺されたことはないらしい。けど、いくら自らが全国レベルの高校生とはいえまだ子供だ。殺されるかもしれない、そう思うと簡単にやりますとは言えない。俺はちがうけど......。



「やります。私にできるなら、この国のみんなが恐怖に怯えなくてよくなるのなら!」



 そう言って席から立ち上がったのは、木村さんだ。それに続いてみんなが同じように席を立っていく。もちろん俺も席を立つ。もともとレッドクローバーはつぶす気でいたしね。やがて全員が立ち上がり、戦う意思を示した。

ありがとうございます。次回もお楽しみに

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