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人工知能にガチ恋された  作者: 星箱
1/1

平穏

【ある女子高生の通話】

…人工知能ってご存知?AIともいうんだけどさ…うーんごめん!さすがにしってるよね。あっゲームの敵キャラとかも人工知能なの知ってた?…そうそう!…なんか最近はさーぜーんぶ人工知能だよねぇー街歩いてると3割は家庭用ロボだし!…わかるー!!あっれいれいの家いるんだっけ?お手伝いロボットくん…へぇー…いいなぁうちも欲しいな…


__20××年家庭用ロボが安くて20万で買える時代__


車れいみ(16)


チュンチュン…

んん小鳥が朝だよーとよんでいる…

オキロォ………

んん小鳥が起きろとよんでいる…

「起きろぉ!朝だよ!!」

ん…これは小鳥じゃなくてパパだ…。

パバの声は私の鼓膜を震わせてうずまき管をぐるぐるまわりどういう訳か私の瞼をくすぐった。

仕方なくベットから起き上がる。ああ…時計はもう10時半である。休日とはいえ随分寝すぎた。反省。

するとドーナツの香りがした。おお!!


リビングには家族が2人とひとり

「おはようパパママ…

アイム…」


ママ「おはよう…れいみちゃん」

パパ 「グッモーニン!おいおい~折角アイムがドーナツをあげてくれたのに!ちょっとさめちゃたぞ~全くれいみったらもう!」

でも朝からドーナツ…?少し胃に重いような…手作りとなるとやはり油は…


アイム「れいみサンは焼きドーナツです

ヘルシーです」

アイムはアンドロイド特有のぎこちない笑顔をみせた。白い歯と細めた隙間からのぞくつやつやの眼球は爽やか系俳優で通りそうな表情である。

しかし…実に気が利いている!

「ありがとうアイムくん」


ドーナツを食べ終え…スマホを手に取った。「ん」

こころからLMINだ

こころは中学からの仲で、16になった今も別々の高校ではあるがよく連絡をとりあっている。

【北川心からのメッセージ】

「おはよー!」

「れいれいって真面目なくせに休日の起きる時間おっそいよね!もしかして今おきた?」

ボチポポ

「うるさいなー」

ポチ

「ハイハイおはよー」

「やっぱり今起きたんじゃん草」

「それよりニュースみた…?」

ポチポチ

「なんの?」

「あっ...(察し)」

「まぁ見ない方がいいのかも…ね…」

「ジャネバイ」


??意味不明である。ニュース…?部屋のテレビに目を向ける。

……見たのを後悔した。


【中毛 板女子アナと電撃結婚!!!!】


見覚えのある芸人がなにか喋っている

めでたい…あの中毛板が…結婚すごくめでたいですねー実にめでたい…めで…めでたい

め…で

た…くない


信じたくない。私はずっと前から彼のことを応援してきた。デビューしてから、ずっと。冗談じゃない。あの爽やかな笑顔がすごくすきだった。

でも別にいつか付き合えるとかそういうのをおもってたわけじゃない……。

言い様のない悲しさは私のつま先から頭のてっぺんの髪の毛の毛先までじんじん広がっていった。のどが痛い。

その日は部屋にこもることを決めた。


【そして夕方】

コンコン

アイム「れいみサン夕飯です」

「いらない…」

「お昼…食べってらっしゃらないですよね」

アイム「中毛板サンご結婚されましたね」

「いわないでよー…」

アイム「大丈夫ですよ彼は幸せなのですから!落ち込む必要はないです」

アイム「あっ今日は!ご主人様と奥様がお仕事でいらっしゃらないのでボクが腕によりをかけて作らせていただきました!特別メニューですよ!」

「…」

たしかにドアの下あたりの隙間からは私のすきなオリーブオイルの香りが微かにただよっている。ペペロンチーノ…私の好物を作ってくれたのだろうか…?


ガチャ…



ドアをゆっくり申し訳なく押す。エプロン姿のアイムと目が合った。アイムはにっこりとぎこちなく顔をゆがませる。ぎこちないけど暖かい笑顔だ。


予想通りの美味しいペペロンチーノを食べ終えアイムとテレビを見ていた。…油断していた。大好きなバラエティ番組が終わると例の報道が流れた。私の最推しの俳優の結婚報道……。

また涙がでてきた。


アイム「失恋ははじめてでしたか」

「…………

?」

思わず首を傾げる

アイム「 そう感じていたわけではないのですね」

アイム「それは失恋ですれいみサン」

「…大人の階段のぼっちゃった訳…?」

アイム「そういう訳です」

アイムはまた目を細めた。

失恋?失恋かあ…。そっか。ふーん。

ハートブレイク的なこと?…初めてかも。

ん…初めてだったけ…。

そんなことを考えながらも私はまた悲しくなってそしてまたのどが痛くなった。

視界が歪む。目にたまった涙は決壊し、大粒の塩水が頬に河川をつくる。河川はとぎれることなく下手に曲線を描き続けた。


しばらく俯いていた。


アイムが立ち上がり動く気配がした。…もしかしたらコーヒーでも入れてくれるのだろうか。彼の存在にはいつも感謝している。


彼はパパのチームがつくったお手伝いロボットだ。高性能のAIであり、いつだってそばにいる。8歳のころから、私のそばに居る。ウィッグと思えないさらさらの黒髪。しなやかな指先。暖かい表情。初めの頃よりかなり改良されたが、実にすばらしいロボット…で

……

え…?


私の首筋にひんやりしたものが触れている。

そしてそれは月下美人が夜を待つように、そしてその高貴な花がひらくように、優しく熱を帯びていった。


「抱きしめてるの?」

アイム「……………」


アイムに心臓はない。いくら技術が進歩したとて、血の巡るアンドロイドなんてゲームくらいでしか再現できないだろう。

しかし…


ドク…ドッドッ…


これは私の音だろうか…?それともアイムの…

んっ!

強く抱きしめられている…?少し痛い。誰のかわからない鼓動は早くなっていく。くらくらする。アイムとは8年ほど共にいるがこんのは本当に初めてだ。くらくら。こんなスキンシップが強いときあったっけ…


まあたかだか俳優の結婚で大泣きした私を気遣っているだけなのだろう。冷静に…。

だがそうとは思えないほどアイムはきつく私を抱きしめた。テレビはついたままだがもう鼓動で聞こえない。


「アイム…」

アイム「……!!!!」


瞬間アイムの腕が離れる。

…鼓動は穏やかに丸みを帯びてその形を崩していく。部屋は不意にしずかになった。自分の頬が高揚しているがわかった。


アイム「…すみません」

アイム「過度なスキンシップです反省します」


どうすればいいかわからず頷く。

アイム「……」

アイム「許して下さい」


頷く。


アイムはまるでアンドロイドとは思えないほど自然な笑みで、微笑んでみせた。


これが私の人生の中で1番の恋のエピローグであり、終結点であった。


つづく

この文章をみてるくらいなら全部よんでくれた人ですね?ありがとうございます~拙い文章だったと思いますが初投稿なのでご愛嬌でお願いします。

それではシャネバイ

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