phrase.2
「席につけ」
あれから雑談をしていると気づかない間に時間はたっていたようで、先生と思しき女性が手をたたきながら教室へ入ってくる。
「今日からこのクラスを担任する出海 咲だ。春休み中にアグレッサーの被害を受けて南陽高校からこの学校に統合された生徒もいると思うが、皆仲良くするように」
長い髪を後ろでまとめた、やけにスーツの似合う美人な先生だ。男子はひそひそとラッキーだの一年間しあわせだぁなどの言葉か耳に入ってくる。
「これより体育館にて始業式を始める。15分後には各自体育館に集合するように順番は席順だ。その後はホームルームを行い今日は解散だ。部活は明日から再開ということになっているから気をつけるように。それでは各自動いてくれ」
いうことだけ言って出て行っちゃったよ、あの先生。体育館の場所わかんない組はとりあえず他のやつについていくことにする。春といえどもまだ朝は冷える。しょんべんしてからいくか。
「諒わるいんだけど、俺トイレ行ってから体育館行くからはじめ行っといてくれ」
「わかった。迷子にならないでよ」
むむっ確かにどう行くかは知らんが、まだ人が歩いてるだろ。
「大丈夫だって」
用を足してから廊下へ戻ると人っ子一人歩いていない。
フラグだったか...幸い時間はまだあるようだし遅刻することはないだろう。
とぼとぼと歩いていると二人組みの女性とが歩いていた。
「きいたー?統合してきた学校にEランクの人がいるらしいよ」
「聞いた聞いた。なんでも魔力はあるみたいだけどスキルが使えないんでしょ?」
こらやめなさいそれ俺のことだから。本人目の前にいますよー。いや後ろか。
「魔力があってもねー?スキルが使えないんじゃ普通の高校通ってもかわらないのにね」
スキル。魔力を持つものなら一つは必ず持っている魔力を体の外に出す事で発現する力のことである。剣を出したりとか魔力を弾丸にして飛ばしたりとかその応用で体に魔力を纏わして身体の能力を向上すことだってできる、スキルの種類は人の数だけあるといわれているらしい。
そんな中、俺はスキルを持っていなかった。正確には魔力を体の外にを出すことができないのである。世界的に見て初めての事例らしい。
おかげで実技試験は万年赤点。魔力持ちでもしかしたらスキルが発現するかもしれないから、という理由で補修などで単位は取れて進級はできているが、なかなか辛いものがあるのも事実。
ここでもやっぱりランクの格差はあるよなぁとこれからのことを考えると足取りが重くなる。そうしているうちに体育館に着いたようだ。諒を見つけるとすばやく後ろに座る。
「おそかったね」
「おっきい方だ。言わせんな恥ずかしい。」
俺が体育館についてからままあり、始業式が始まった。校長のありがたい話から生徒会会長の話。何でも生徒会長はこの学校で一番の有名人らしい。隣のやつらの話を聞く限り会長は3年生で1年のときから生徒会に入っているそうだ。学校の規則でAランクしか生徒会には入ることができないらしい。
それより今日は晩飯何にしようかなぁ。にしてもこの耳障りのいい雑音は眠くなる。
「隆司終わったよ。教室に戻ろう」
はっと目を見開く、どうやら軽くトリップしていたらしい。壁にかけてある時計の針がだいぶ進んでいた。
「わり。ねてたわ」
「僕も危なかったよ。何でああいう場所は眠くなるんだろうね」
「さぁな」
教室に着くとすでに出海先生が教壇に立っていた。
「お前ら早く席に着け。ほらお前らもだ」
ドアの付近でたむろしてるやつらもぞろぞろと席につく。それにならって俺たちも席に着く。南陽だったやつらは話すやつもいないのですでに席についていた。
「全員いるな、これからHRを始める。今日は初日なので軽く自己紹介をしてもらおうと思う。名前とランクを言っていけ。で廊下側のせきからいっていけ」
はいっと自己紹介が始まった。