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(仮)  作者: かずきんぐ
新天地
1/4

phrase.1

その日は、不思議な夢を見た。


ただただ明るい空間で、()()が俺に語りかけてくるそんな夢だ。


何を言ってるかはさっぱりと聞き取れない、だけど不思議と懐かしい。


「―・・て」


もうすこし、夢の中でこのまま


「ー・きて!おきろって」


 なんて思っていると、ふわふわとした夢見心地気分から脳みそがシェイクされてるんじゃないかと思うほど体を左右に揺さぶられる感覚で徐々に意識が覚醒していく。


「今、何時だ?」


寝ぼけ眼をこすりながらぼやけた視界の先にいるイケメンに声をかける。


「やっとおきた。おはよう今は7時半だよ」


「ならもうちょい寝れるな」


 二度寝を決意した俺のかぶりなおす布団を引き剥がそうと幼馴染の神谷 諒《かみたに りょう》が躍起になっている。


「なにいってんのさ!今日から学校が変わるからこの時間でもぎりぎりだよ。はやくおきて」


「あー、春休み中にアグーのやつに壊されたんだっけ?」


「アグーって何さ、アグレッサーでしょ」


えっアグーって略さないの、結構いい略称だと思ったんだが


「はいはい、準備したら降りるから玄関で待っといとくれ」


「はやくしなよ」


 そういいながら諒は部屋から出て行く、あいつは俺の唯一の親友。家も隣なら小、中学校も同じ、高校も同じところに進学して同じクラス。まぁなんだ、昔からの腐れ縁ってやつだ。

あいつともながいなぁなんて考えているうちに準備も終えて、俺はリビングの一角に飾られている両親の遺影に声をかける。


「いっていきます」


家の戸締りを確認し、玄関先で待つ親友に振り返る。


「いこっか」


「ああ、にしても学校が遠くなるなんてついてないよなぁ」


 話によると校舎は見事全壊。特に目立つことの無い高校だったがいざなくなってみたら寂しいものである。誇れることは各学年1クラスしかなかったことか。

 そのことがあり、ここからそう遠くない泉ヶ丘高等学校なんていう進学校に統合されることになったそうだ。なんでもかなりでかいらしい。


「仕方ないよ。アグレッサーはいつやってくるかもわからないんだし、それに今回はAランク相当が2匹もでたって噂だよ」


 Aランクはアグレッサー対策機関に属するAランクの職員最低5名以上で対処しないといけないレベルだ。ちなみにアグレッサー対策機関は俺たち()()()()だけが入ることを許されたお国の組織で給料もいいから人気の職業で10年間連続1位を保守。結婚したい職業も堂々1位だ。


「まじかそりゃやばいな」


「携帯に連絡はいってたでしょ」


「いや携帯なんて一度も鳴ってないけどなぁ」


鞄の奥底から目当てのものを取り出す。


「あー、電池切れてたわ」


そういえばおおよそ学校に友達なんて呼べるものがいないから鞄にしまいっぱなしだったんだよなぁ

 

********



そんなこんな歩くこと30分。しゃべりながら歩いているとこれから2年間通うことになる高校が見えてきた。


「あったあったここだよ」


 諒が指差す先に前に通っていた高校の2倍もあろうかというほどの大きな、そしてやけにきれいな校舎が見えてきた。


 魔力持ちだけが入学できる学校であり、魔力を持たない人は普通の学校に通っている。魔力の使い方、知識を覚えるために義務教育だったりもする。


「前の学校は過疎ってたから、なんか人が多い学校ってのはなんか新鮮だな」


「そうだね、前は1クラスだけだったしね」


「そういえば諒は何組?」


隆司(たかし)と一緒の2年E組だよ」


「11年間連続か、はんぱないな」


「そうだね。あっ教室はあっちみたいだね」


 手前に校舎が3棟立っていて2年生は真ん中の棟らしい。校舎の奥にはさらに2棟、職員室や実験室などがある棟と部室棟、体育館にグランド、プールまである。校舎同様かなりでかい。とにかくでかい。


「おはよう」


 諒の後について教室に入ると、ちらほらと前の学校で一緒だったやつが諒に挨拶を返してくる。


黒板には席順が掲示されてるみたいだ。


俺の席は...窓側で前から三番目ほどの席か。


「また隆司の前みたいだね」


「また諒の後ろか」


二人して顔をつき合わし笑う。


「前の学校のやつもいるみたいだし、そこまで気を使う必要はなさそうだな」


「だね」


席に着席して周りを見渡す。


 大体30人くらいか、知ってるやつらも友達とはいいがたいさっきの挨拶も諒にだけみたいだったし。


諒は俺と違って交友関係広いからなぁ、やたらモテるし。


「このクラスかなりランクの高い人が多いね、みんな大体C~Bランクの人ばっかりだよ」


 諒は手にあらかじめ配布されていたクラス名簿に目を通しながら話しかけてくる。


この学校ではD~Aランクに魔力の強さや成績を加味したランク付けが行われている。その中でC~Bランクがほとんどの割合を占めているこのクラスはなかなかのエリートクラスといえるだろう。


もともとこの学校が進学校というのもあるが。


「おおっAランクが3人もいるじゃねーか」


「みたいだね、1人は僕で...あと2人はこの学校でも10位以内に入る人みたいだよ」


 在校生数約1500人その中でもAランクは13人、そのうちの1人がこの春から統合されてこの学校にやってきた諒である。特にAランクは序列があり、期ごとの試験結果で変動するシステム。実技も試験に入っているためほぼ上位はAランクが独占しているので意味はないきがするが。何でも成績を可視化して互いの競争心や意欲を向上させるためらしいが、そのおかげでランクが低いとバカにされたりするのもままあることである。

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