第1話 社、小学生の終わり
03
「·········?」
ん?何故僕は階段の角を枕にして倒れている?
「よいしょっと」
一旦起き上がる。何がおこったのやら。
えっと···確かこの階段を降りてきて···その途中で足を滑らせた···のか?
しかし後頭部が階段の角の上って。大丈夫なのか?特に痛い箇所はないが。
「うーん。······。」
背負ってたランドセルがクッションになったとか?ってあれ?ランドセルがない。
これから家に帰ろうと言うのに。
教室に置き忘れたか?いや···
「あぁそうだ。寄付したんだった。」
小学校の卒業式がついさっき終わって、「1年間を共にしたランドセルを取っておきたい」などと、僕が感傷的になるはずもなく、外国かどこかに寄付したんだ。思い出してきた。
1年間。
2008年3月某日、現在の保護者に引き取られ、すぐ近くの小学校に、ランドセルを背負って、
毎日通って、···そして今日。
あれから1年···か。
勉強はそれなりにはやったつもりだし(結果はどうあれ)、体育にしたってそうだ(···結果はどうあれ)。
···よし。「ランドセルがない理由」はもう分かったし、もう帰ろう。
「···ん?」
いやいや待て待て。まだ「ランドセルがない理由」しか分かってない。
つまり僕は、階段で足を滑らせ、クッション
もなしに無傷なわけだ。
どういうことだ?·········。
「まいっか。」
考えても分からんことを考えてるのは無駄なことだろう。と結論らしき何かをまとめ、立ち上がって、すぐそこにある生徒玄関へと歩き出した。