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なろうエッセイ

とある「妖怪ブクマ外し」の習性

作者: 月森 コウ



――カチッ、……カチッ


 私はちょっと迷った末、マウスを滑らせてクリックする。すると、いつもの一文が画面に現れた。


――ブックマークを解除しました


 私はブックマークの一覧をざっと眺め、それ以上、解除する作品がないことを確認する。そしてチェックが終われば、またいつものように読書に戻った。

 私は「小説家になろう」の作家たちに恐れられる、”妖怪ブクマ外し”なのだ。


 さて、なぜそんな事をいちいち宣言するのかと言えば、「怖い怖い」との叫びをよく聞くからだ。

 私の持論に、「人が怖いと思うのは、それのことが分からないからだ」というのがある。

 他人の行動が理解できない時、自分が取るべき行動がわからない時。そういった時、人は恐怖を感じる。

 奇声を上げて暴れる人間は怖い。だが、トラウマから特定の物事に怯えて暴れていると知っていれば、憐憫を感じ、人によっては助けたいとまで思うだろう。

 ナイフを持って暴れる人間は恐ろしい。だが、技術を持ち、経験からやり方が分かっていれば、冷静に取り押さえることができる。

 それならば、なろう作家だって”妖怪ブクマ外し”の事を知れば、対策がわかれば、怖さ半減だろう、という試みだ。




 私がブックマーク解除する作品は、大きく分けて3つ。

 「完結して読み終わった作品」、「積読しておいて手付かずの作品」、「読みかけから積ん読になった作品」。この3つだ。


 完結した作品は私の中で、二つにわけられる。もう一度、読みたい。人におすすめしたい。そう思えるほど面白い作品か、それ以外だ。

 これは、もう、素人作家たちの集まりの「小説家になろう」では対処不能と割り切った方がいい、としか言えない。

 完結したら、切られる。

 常識として、諦めてしまったほうが良いと思う。何事も諦めが肝心だ。


 それでも諦められない、という人もいるかもしれない。だが、考えてほしい。

 私は図書館で読んだ本や、古本屋で立ち読みした漫画は、基本的に買わない。二度、三度、と何度も読み返し、やっぱり、手元に欲しい。そう、思って買うのは極少数。

 買い集めたコミックも、大掃除の際に捨てられる。捨てないどころか、さらに愛蔵版を買う作品は極少数。

 「小説家になろう」で完結してもブックマークし続けられる作品とは、それに近い良作ではないかと思う。

 まぁ、対応策は全くのゼロではないと思う。

 ブックマークして読み続けてもらえた作品なので、そこそこ、という評価で読み続けた作品でも、最終話を含めた数話で頑張れば、ブックマークを解除されないかもしれない。

 逆に、最終話のせいでブックマークを解除されてしまうかもしれない。

 うろ覚えだが、最終話のせいで解除した作品は数多くあったはずだ。しかも、がっかりして、予想外に、という事が多いのだから、最終話の重要さと、難しさが分かるだろう。


 例外として、面白くてもブックマーク解除される作品がある。

 それは、お気に入りユーザとして登録された作家の作品だ。

 実力があり、作品数が多い彼らの作品は、面白いからと、いちいちブックマークなどしていられない。ブックマーク数が一気に跳ね上がり、一覧がごちゃごちゃして見づらくて仕方がないからだ。連載終了したら、サクサク解除される筆頭である。

 彼らの作品は特におすすめしたいものだけ、ブックマークしている。

 そのかわりに、最近は評価ポイントを入れるようにしているけれど。

 つまり、ブックマークのかわりに評価ポイントが増えていれば、それで良いのではないかと思う。(昔読んだ作品については、申し訳ないとしか言えない)



 次は、手付かずの積読作品。

 ランキングや書籍化を参考に、とりあえず、スットクをするのだけれど。

 一話を読んで、話に入れず放置。そのうち、そのうちと放置し続け……。

 しばらくして、めぼしい作品を喰らい尽くし、新しい話を探し始めると積ん読ブックマークのタイトルを眺める。タイトルを眺める。……そして、放置。

 また、しばらくして読むものがなくなり、気が進まないままに一話を眺め……解除。

 こんなことが何度も繰り返される。


 対策としては、ランキングに入った時など、人目を集めた時に作品を見直すようにすればいいのではないだろうか。

 例えばタイトルの見直しや、一話の推敲などだろうか。

 ノリについていけない、痛々しい。そんなタイトルではないか。

 一話は最初の一文は、物語に引き込むようなものとなっているだろうか。その一文で、話に惹きつけられるのか、ドン引きされるのかが決まる。読み直すのは大事だと思う。

 二話目以降が面白かろうが、一話で切られたら、そこで終わりだ。

 ブックマークの増加、継続を望むなら、見直しは必須じゃないだろうか。

 また、ランキングに入った後のブックマーク増加には、積ん読が数割いるはず、と舞い上がらずに冷静でいるのも大事だと思う。


 訳もわからずブックマークを解除された、と落ち込む人がいるようだが、ランキング入り後にブックマークした人の何人かは、一話を一行以上読んでいるかも怪しい。

 途中で嫌われたのではない。第一印象が悪いというか、最初から所属するグループが違う、仲良くなれないタイプの人だったのだ、と諦めて欲しい。その時の気分によっては、一人称か三人称かの違いだけで、読むかどうか決めることだってあるのだ。


 ただ、最近きづいたが、世界観を一話の冒頭で延々と語られると目が上滑りし、話に入れないことが多い。

 ラノベを読む時は、軽いノリ、読みやすさを求めているのに、初っ端から重いと面倒だ。

 ステータスも、はっきり言わせてもらえば煩わしい。ゲームなんてほとんどしない、活字中毒者にとっては、パソコン言語なみに意味不明だ。

 大人気なチートものの表示なんかだと、その量に目が潰れそうだ。また、どうでもいい他人の自慢話のように面倒くさい。「すごいだろっ!」「チートだ、強いんだっ!」という感じが、ため息を吐きたくなる。

 本当に面白い小説ではステータスを一生懸命、読み込む。それはストーリーに関係があるからだ。または、それを見て、新キャラは忍者キャラかぁ、と想像しやすくなったり。

 進化先を見て、ストーリーを予測して恐怖したり、予想を裏切る展開に高揚して。

 小道具として上手く使えないのなら、書く必要があるのか疑問だ。 



 最後は、読みかけからの積読。

 これの数は、本当に多い。

 主な理由は、「裏切り」、「飽き」、「長期にわたる未更新」だ。


 まず、読者の期待を裏切る嘘つきな作品。

 突然だが、私はハーレムと逆ハーレム、三角関係が好きじゃない。

 人間に対し、どれにしようかな、と迷ったり、物を収集するみたいに集める思考が理解できない。

 ……まぁ、個人的主張はともかく。


 例えば、主人公がハーレムを作った勇者を否定的に見ていたり、君が好きだ、と一途だったり。

 それらが好印象で読んでいると始まる、主人公のハーレム化。主人公が堂々と二番さんを作ろうとし始める。

 しかも、それが数十話目から始まる。

 もう、物語にどっぷりはまった頃に。

 これ以上の裏切りはないと思う。


 後は、タイトルによる裏切り。

 チートがない、最弱と叫ぶタイトルで、チートに飽きた読者を期待させる。これも、話数が進むと・・・・・・、無双し始める。


 ストーリー展開は面白く、先が気になる。でも、自分が嫌いなジャンルでイライラする。

 嫌いなジャンルなら、最初から読むな、見るな。そんなコメントはネット上に溢れているが、途中まで、そんな片鱗はなかったのだ。タグだって、作家は途中からつけたり、はずしたり。あてにならないこと、このうえない。


 だから、とりあえず積読しておく。

 思い切って、解除できる日が来るのを待っている作品はいっぱいある。

 嘘つきといつまでも交流を続ける人間はいない。このような作家はブックマーク数を気にする前に、読者との信頼関係を築くことを考えたほうが良いと思う。




 飽きがくるのは、プロットがないんだろうな、という作品に多い。

 それらは目的もなく、ノリでダラダラと書き連ねられていく。

 プロットがあっても、ただ、流れで書かれる話もある。

 目的地へ向かう途中、山に行ったら山のモンスターが出て。その次は海に行って、海のモンスターを倒して……。時系列順に羅列され、特にストーリーに大事な伏線が入るでもなく。かといって、キャラクターの人間関係を掘り下げたり、変化を描くでもなく。

 伏線があれば、どのように先に繋がるのかな? という興味が。変化があれば、その後への期待や不安が、物語の先を渇望させるのではないだろうか。

 ただ、徒然と書かれて面白い古典はあるし、人の日記だって名作にはなるから、一概には言えないのだろうけれど。

 



 あとは、長すぎて飽きる。

 海外ドラマがいい例だが、物語の結末を期待して、期待して……。そして結局、終わらず続くのだ。衝撃のラストで、大量の謎を生み、次のシーズンに続く! となり、最終話の満足感ゼロ。

 ただ、ひたすら引っ張られると疲労する。そして、疲労した精神は楽しさを感じないので、絶対に飽きる。

 章ごとに分け、一度、満足感のある最終話というご褒美が欲しい、と一読者としては痛切に願う。


 満足したら、そこで読者が離れるかもしれない?

 人は満足すると、もっと欲しくなる、欲張りな生き物だ。読んでも、読んでも満足なんかしない。活字中毒なら、なおさらだ。

 美味しいご飯に満足したら、同じレストランへまた行くように、満足させてくれれば、当然、同じ作家のところへ行くのではないだろうか?

 とりあえず、私はそうだ。




 そして、長期の未更新からの再開。

 大事なのは、未更新の間は続きのために待てるのだということ。そしてなぜか再開すると、放置、解除となる。


 例えば、悪役令嬢を好んで読んでいると、突然の長期未更新になったとする。

 とりあえず、ブックマークはそのままに続きを待つ。だが、自分の中で、ダンジョンものブームが来ている頃に再開されても、読む気がしない。だから、放置する。

 また、主人公の名前すら忘れ、今までのストーリーも思い出せない頃に再開した場合。

 登場人物全員が誰だかわからない。容姿も全く思い出せない。令嬢とか、ダンジョンとか、魔王とか。似たような物語が氾濫していて、全部のストーリーがごっちゃになって。物語の途中から読み始めるのは難易度が高すぎる。

 では、一話から読み直すのか?

 真っ先に出てくるのは、面倒くさい、の一言。そして、そのうち読むだろうと放置することになる。


 こうして、更新が定期的にされているのに放置されたままの小説が、積ん読として溜まっていく。

 そして、ある日ふと思うのだ。


――もう、いらないかなぁ


 そうして、ブックマーク一覧を整理しようと――ある日、思い立って大掃除をするように――数個まとめて、さっくり解除するのだ。

 



 更新が止まるのなら、休載連絡は必須だと思う。一言あるだけで、更新再開がわかったときの反応が分かれるからだ。


――ふぅん、更新したんだ


 そして、無視する。読むかどうかは、その後の気分次第だ。


――あ、更新できたんだ。よかった!


 作家の生活が落ち着いたであろうことを、スランプから抜け出せたことを喜んで、作品を読みに行く。場合によっては、一話から読み直す。

 たった一言でも、配慮の声掛けがあれば好意を抱く。そして好意とは、行動へのエネルギーを無尽蔵に作り出すのだ。


 ただ、思うのだが。ブックマークした作品の作者の活動報告を見に行く人はどれほどいるのだろうか。

 お気に入りユーザの活動報告はホームですぐわかるが、他はいちいちチェックしなければならない。ユーザ登録しないで読んでいる人も多数いるはずなので(私は数年間、登録していなかった)、その人達も同様だ。

 ブックマーク作品のタイトルをクリック、作者名をクリック、活動報告をクリック。作家によっては大量の活動報告の中から「休載のおしらせ」を探さなければならない。

 はっきり言って、面倒くさい、と私は思う。

 続きが読みたくてたまらず、わざわざ活動報告を見に行き、さらに更新通知チェックまで入れた作品は数えるほどしかない。

 しばらく書けないのなら、まえがきやあとがきで、分かりやすいよう伝える。そういった読者への配慮は大事だと思う。




 以上が、私という「妖怪ブクマ外し」の習性と対策だ。

 「妖怪ブクマ外し」と一口に言っても、生活環境も、年齢も、価値観も様々なので、これが全てではないとは思う。

 けれども、一つの参考にはならないだろうか。


 不快に思う方もいるかもしれないが、この作品でブクマという、数への恐怖が少しでも緩和されればと思う。

 以前、思ったことをつらつらと書いてみたものの、反応が怖くてそのままにしていたのですが。

 またもや、「ブクマがなくなった!」とのエッセイを発見。

 思い切って、投稿してみました。

 不快に思われたらすみません。文章も、本当は丁寧語に直したかったのですが、違和感があり、そのままです。偉そうに見えないか、など、いろいろ気にはなるのですが、とりあえず投稿。

 不快だという感想があまりに多ければ削除しようかな、などと思っています。

 こんな言い方をされたら傷つく、などの意見もあれば、ご指摘をお願いします。すぐに直しますので。

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― 新着の感想 ―
[一言] 自分は読み終わった作品、途中で飽きたけど結構面白かった作品、読んでる途中の作品の3つのカテゴリに分けて整理してますよ。出来るだけブクマは外さないようにしてます。
[一言] ありがとうございます、今日ブクマ外しさんの事が急に気になって見つけました。 さっそく「次、いつ更新するよ」の気遣いをのせてみます。 ありがとうございます☆
[良い点] とても似ていてびっくりです [一言] 異世界物やVRMMO物だと総文字数に対して一体何%ステータスで占めてるんだという物も有るんでステータスにあまり興味が無い自分はそれだけで萎えますね
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