王太子と王女の結婚
王都のあちらこちらにイザリエ王国の国旗がはためき、市場にはお祝いの品々がずらりと並んでいた。王都に住む人々は、一張羅に身をつつみ、その時を今か今かと待ちわびる。
「ほらっ、どいたどいたっ!もうすぐ先頭の騎士さま方が通るよ!」
「お祝いに集まる紳士淑女のみなさま、エールはいかが?」
物売りたちの威勢のいい声も聞こえる。
「お母さん、今日は何があるの?」
「言ったでしょ?王太子さまがご結婚さなるのよ。」
「王子さま?お姫さまと結婚するの!?」
「えぇ、そうよ。」
「すてきねぇ!おとぎ話みたいだわ!」
小さな女の子は母親の服を引っ張りながら、はしゃぐ。
「あっ!パレードがきたわ!」
わっと歓声が上がる。
先頭には近衛騎士。そのあとに立派な馬、音楽隊。そして、王族の姿が。
純白の花嫁衣装に身をつつみ、王太子に肩を抱かれて満面の笑みで微笑む王太子妃の姿は、民衆の間で長く語り継がれることとなる。
*******
王太子フィリップ、21歳の年に隣国フレライン王国の王女フローレンス・ヴァレット=ランドディアスと結婚。このとき王女は17歳。
結婚してすぐに子宝に恵まれ、長女コーネリア、長男ヘンリー、次男リチャードをもうける。
フィリップ、フローレンス夫妻の仲は極めて良好で、フィリップ即位後も仲むつまじい様子だったという。
しかし、夫妻にも不幸は多々あった。
長男ヘンリーが王位につくやいなや早世。次男リチャードは訳あってフレライン王国の王位に即いており、未婚者。跡継ぎに困ったフィリップ王はクレイヴィンス伯爵家に嫁いでいた長女コーネリアの生んだ、伯爵家長男レオナルドを王位につけた。
このことにより、イザリエ王国第二王朝ランリアティエ朝、ラン=シュバーウェン家は終焉を迎え、第三王朝クレイヴィンス朝の時代が始まる。
同時期、ファレーン王国では王太子の交代という事態が起こった。それまで王太子だった第一王子の後ろ盾だったフォンティーヌ侯爵が失脚したためだ。それを企てたのは、第一王女アデライード。この政変ののち、アデライード王女は王太子となり、ファレーン王国初の女王となった。
(イザリエ王国史4巻より)




