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vs.ゴブリン

町を出て数分後、俺たちはモンスターと出くわした。と、言ってもゴブリンではなく昨日美味しく戴いた石化魔鳥(コカトリス)だった。


「ちょうどよかったですねレン様!丸焼きにでもしちゃいましょう!」


「お、おう!」


「あれ〜?びびってます?」


「び、びびってなんかねーし!」


本心を突かれたので内心焦ってはいるがそんなことでは埒があかない。そう思い、魔法の準備をした。


「なぁ、魔法を使うときってどうするんだっけ?」


「えーとですね、手の先に魔力を集中させて魔法を詠唱すればいいんですよ!」


そう言われてもよく分からない。魔力というものを感じたことがない。前はレゼリアが代わりに詠唱してくれたのでなんとかなったが今回はそうはいかない。とりあえず言われた通りに手の先に魔力とやらを集中することにした。


「はぁぁぁぁ…」


案の定無防備になっている俺を見て石化魔鳥(コカトリス)は躊躇無く襲いかかってきた。そして今まさにその鋭いくちばしが俺の脳天を捉えんとするその瞬間、


「ファイア!」


手から放たれた火球が石化魔鳥(コカトリス)を捉え、丸焼きにした。


「やりましたねレン様!こんなに美味しそうに焼けましたよ!」


「あ、ああ!やったな!」


自分の力でモンスターを倒す。こんなこと、現実ではあり得ないと思っていた。だが、そんな空想の中のお話みたいなことが今現実になっている。それだけで心が騒ぐ。


「じゃあこれは後で食べるとして、先にーー」


「待ちな!」


彼女の言葉を遮ったのは緑色の皮膚に低い背、手には鉈を持ってニタニタと笑うモンスターが三体いた。恐らくこれがーー


「俺たちゃゴブリン盗賊団!その肉と金目の物を置いてきな!さもなきゃ命はないぜ?」


「そうそう、ついでにそこの嬢ちゃんもな!」


「怖かったら大人しく逃げるんだな!ま、逃がさねーけど!」


頭の中で言う前に名前を言ってきた。自己主張の強い盗賊団だ。眼光は鋭く、獲物を見つけた肉食獣の目をしている。


「ふん!あなた達みたいな三流に何が出来るって言うんですか!さあレン様、やっちゃって下さい!」


煽り文句を言うだけ言って俺の後ろに隠れた。台詞だけを聞いたらレゼリアの方が三流に見えるが相手を揺さぶる為に言ってくれたのだ、と解釈し敵の方を見る。


「さて、町長からの依頼だ。お前達を倒す!」


「へっ、面白ぇ!やれるもんならやってみな!行くぞおめーら!」


「おう!」


「おっしゃあ!」


三体は右、左、真ん中の三方向から鉈を振り回しながら襲いかかってきた。それと同時に手の先に魔力を集中させる。


「くたばれぇっ!」


右の方向からきたゴブリンが先に鉈を掲げ、振り下ろそうとする。その前に、


「ファイア!」


火球を放ち、相手を火だるまにした。


「ああああああああ!!」


一体目のゴブリンは熱さに悶えのたうち回っていたが、やがて動きを停止した。


「この野郎ぉぉ!」


続いて左のゴブリンが鉈を振り下ろす。それを慌てて躱して距離を取る。


「ちっ、次はこうは行かねぇぞ!」


二撃目を与えようとしたゴブリンは地面に刺さった鉈を引き抜こうとするが抜けない。


「くそがっ!なんで抜けねーんだよ!」


その隙に魔力を集中し、再び火球を放つ。ゴブリンは鉈に気を取られ反応が遅れた。


「ま、間に合わ…」


回避行動を取ろうとしたのだろうがその時には火球が当たり、火だるまになっていた。


「ぎゃあああああ!!」


そして二体目のゴブリンは断末魔の叫びを上げ、倒れた。


「てめぇ、よくも!」


最後に残ったリーダー格らしいゴブリンが襲いかかる。魔法を唱えようと手を出そうとするが、それより早く鉈を振り下ろしてきた。


「うわっ、あぶね!」


辛うじてそれを避け距離を取る。そして再び火球を放った。


「ふんっ!」


だがゴブリンはそれを読んでいたかのようにジャンプしてそれを回避、再び距離を詰めようとする。


「あいつ、結構強いですよレン様!」


「あぁ、分かってる!」


レゼリアに言われ、気を引き締める。そして再び手に魔力を込める。


「はっ!そんな火の玉じゃ俺を倒せねーよ!」


そう言いのけ鉈を振り回し、こっちに向かってきた。


「だったらこれはどうだ!アイスバレット!」


手の先から氷弾が十発、相手に襲いかかる。


「なにっ!?」


どうやらこれは予想してなかったらしく、反応が遅れたゴブリンに全弾命中した。


「ぐはぁっ!」


ゴブリンは地面に倒れこんだ。が、どうやら急所は外れたらしく起き上がってきた。


「くそがっ…!俺が、こんなガキに…」


「レン様を侮るからですよ!」


「レン様だぁ?…ってまさか!?」


「そうです!この方こそ由緒正しき闇の覇者、魔王レン様です!」


ゴブリンはその謳い文句を聞いて、血相を変えて俺に謝罪してきた。


「も、申し訳ありませんでした!魔王様とはいざ知らずとんだご無礼を働いてしまって…」


先程の強気な態度とは打って変わって下手に出たゴブリンに俺が魔王だと言うことを実感させられた。


「いやいいけど、それより他の人から盗んだ物は何処にある?」


「はっ、北にある洞窟にしまい込んであります!どうか命ばかりはお助けを!」


「分かった。北の洞窟だな?いいか、これに懲りたらもう盗賊などということはするな!いいな?」


「は、はい!分かりました!」


そう言うとゴブリンはそそくさとこの場を去っていった。


「なんか、呆気なかったな。」


もう少しあのゴブリンが食い下がってくるのでは、と思っていたが予想以上に俺に対して従順だった。


「それだけレン様がすごいということですよ!」


「そう、なのかな?」


「そうですよ!じゃあ、北の洞窟に行きますか!」


「…ああ!」


まだ高揚している胸の高鳴りとともに北の洞窟に向かった。


その後は北の洞窟、と言うより洞穴に着いた俺たちは中に入って盗まれた物らしき金品を手に入れ備え外に出た。


「とりあえず依頼達成、かな?」


「ですね!じゃあ帰りまーー」


瞬間、レゼリアの言葉を遮ったのは地鳴りと共に俺たちの間に放たれた火球だった。




拙いですが、見て頂ければ幸いです。

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