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旅には大体厄介が付きまとう

「おお、お前らか。どうしたんだこんな朝早くから?」


駆け寄った先にいたのは、案の定ハイドだった。


「いや、まぁ…それを言うならハイドもこんな朝から何してるんだ?」


「俺か?日課だからな。こうして楽器の手入れをしないと落ち着かなくてな。」


殊勝な心がけだなぁ、なんてことを思っていると。


「どうせだ。手入れがてら、1曲聴いてくか?」


そう言ってハイドは楽器を入れている箱からフルートの様なものを取り出すと、おもむろに吹き始めた。


「おお…!」


「すごい…綺麗な音色ですね…!」


開始からほんの数秒聴いただけで、目の前に広大な草原か見えたような感覚がやってきた。こう、心を洗ってくれるような、そんな旋律を堪能した。


「凄かったニャねぇ…」


「確かにな…って、あれ、なんか…」


気のせいか、先の戦いでの疲れが取れている気がした。


「ああ、見た感じ疲れてそうだったから少し音色に回復魔法を付与してみたんだが…要らん世話だったか?」


「いえ、ありがとございます!」


魔法ってこういう風にも使えるのか。本当に疲れが取れている。


「あ、そうだ!ハイドさん、実は…」


音色に気を取られていたレゼリアは、思い出すかのように話を始めた。ミシロが昨日見た光景、それでわかったカジノ場の正体、そこにいたハイドの妹の置かれた状況…


「…それは、本当のことなんだな?」


「…出来れば嘘って言ってやりたいとこだけどニャ、全部この目で見てるからニャ。」


「そう…か。生きてて…くれたのか…」


ハイドは安堵の表情を見せた。が、それも一瞬で真剣な表情に変わった。


「だが、俺に…何がしてやれる…?」


ハイドは項垂(うなだ)れてしまった。


「どうするも何もないニャよ。助けに行けばいいニャ。」


落ち込むハイドに対し、あっさりとミシロはそう言ってのけた。


「今悩んだって仕方ないニャよ。助けてから悩めばいいニャ。それに、いつまであそこにいるかも分からないんだから、早めに行動しないとヤバいニャよ。」


「確かに、下手したら今日明日にでも売られる可能性だって…」


「レゼリア…」


依然としてハイドは項垂れたままだった。助けに行きたい気持ちと、拒絶されないか不安に思う気持ちがせめぎあっているように見えた。


「…ハイド、俺にもさ、妹がいるんだよ。」


とりあえず少しでも元気付けてやろうと、俺は妹の話をすることにした。


「いっつもくだらないことで喧嘩してさ…たまに本当にうんざりすることあるんだ。けど、もしハイドの妹と同じ状況だったら、俺は助けに行きたい。だって、大切な家族だろ?」


妹が連れ去られて、しかも売り飛ばされるというのは、同じく持つ身としては許せない。


「…そう、だよな。すまないな、変に気を使わせて。」


「いやぁ…俺こそなんか、偉そうに言ってごめん。」


「…よし。」


何かを決心したのか、ハイドは立ち上がった。


「情報感謝する。」


そう言うとハイドは楽器を片付け、立ち去って行った。


「…どこに行くのかニャ?」


「まさか、1人で特攻しに行ったとか、ない…よな?」


「いやー、流石にそんな突発的に動かないとは思いますけど…」


「…見に、行きますか?」


「…そうしよう。」


「…だニャ。」


3人の意見が恐らく一致したのは、この時が初めてなのではないだろうか。そんな感傷に浸る間もなくハイドの方へ走って行った。


「あ、いました!」


追いかけた先には、カジノ場の場所を見ているハイドがいた。


「まさか、本当に特攻する気じゃないよな…」


そうなると本当に危ない。ハイドの元に駆け寄る。


「は、ハイドさん!?流石にちょっと無理があるんじゃ…!」


「ん、何のことだ?」


察しがついていないようで、首を傾げられた。


「いや…1人で特攻する気じゃないのかなー、と思って…」


「…はっはっは!俺はそこまで馬鹿ではないよ。…まぁ、確かに乗り込んでやろうとは思ったが、それでもまだ情報が少ないからな。とりあえずは情報を集めないと駄目だ。」


どうやら早とちりだったようだ。ホッとして胸を撫で下ろす。


「…でも、感謝してるぜ。お前らに言われなかったらずっと遠巻きに見てるだけだった。ありがとうな。」


「いや、そんな…」


素直に感謝されると、照れくさいものが出てきてしまうな。


「でしたら、私達も手伝いますよ!元々は私達から言ったことですし!」


その内にレゼリアが言い出した。俺としては早めに行動したいのだが…


「…まぁ、旅は道連れってニャ。一応レンにも責任はあるんだから、手伝いくらいはしてやるニャよ。」


俺の微妙そうな表情から察したのか、ミシロがそれとなく俺に諭す。


「わかってるよそれくらい…」


「…本当に、すまないな。」


「もういいですよ!さて、情報集めに行きましょう!」



…叶うなら、これ以上厄介ごとに巻き込まれませんように。そう思うばかりであった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。何故か主人公ではなくミシロを動かすのが楽しくなっています。でも、ちゃんと活躍させようと思いますのでこれからも読んで頂けたら幸いです。

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