表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/96

隠し事

一部視点の変更があります。

「…平和だな。この街。」


案内される中、心から出た言葉がそれだった。世間話をする女性達、そこら辺を走り回る犬や子供、日向ぼっこをしている老人。街のそこらに花は咲き、この街の平和加減が見て取れる。


「それがこの街の良いところなんだ。」


軽く笑いながらハイドは歩く。


「ハイドさんは、この街に住んで何年なんですか?」


「いや、俺はしがない流しの身でね。1ヶ月前にここに来て銭を稼いでるんだ。中々に居心地が良くてな。」


音楽で食うにも、やっぱり転々と場所を変えていかないと難しいのか。


「それでも、パッと見カッコいいからそんな困らなさそうだけどニャ。」


確かに、外見は男の俺から見てもイケメンだ。スラリとした長身、やや長めの茶髪、整った顔立ち、とんがった耳…耳?


「ん…え、あれ?」


先程まで意識していなかったが、よく見ると明らかに人間の耳よりとんがっている。


「ああ、言ってなかったか?俺はエルフなんだ。」


エルフ。魔法の扱いに長け、自然と共に歩む種族だったか。確か人間に嫌悪感を持ってる筈なんだよな…


「色々と思うことがあるだろうが、これでも結構友好的なんだぜ?俺たちエルフは。」


立ち止まり、ハイドはおおっぴらに手を広げて語り出す。


「そりゃ、一昔前なら敬遠してたかもしれない。だが今は違う。こうやって新たな出会いを求めず何になる?おかげで俺はこうやって新たな世界を見ることが出来た。万々歳さ。」


明らかに先ほどより目が輝いているのが分かる。自由というものに憧れでもあるのだろうか。


「少しでも早くこの楽しさを俺の…仲間たちに教えてやりたいぜ。」


今、何か詰まったような…気のせいか?


「その、お仲間さんはどうしてるんですか?」


「え?あー…あいつらは…こうやって冒険するよりも、物事の研究してた方が楽なんだとよ。」


…なにか引っかかる。なにか重要なことを隠してるんじゃ…


「えー、勿体無いですよね!絶対ハイドさんといた方が楽しいと思うのに!」


「お…おう、そうか。そうだよな。本当勿体無いよ。」


恐らく気付いていないだろうレゼリアの返しに一瞬戸惑う表情を見せたが、すぐに笑顔でそれをかき消した。


「さて…行こうか。日が暮れちまう。」



僅かな疑問がふつふつと浮き出る感覚が残るが、それを問いただす暇もなく、俺たちは先を行くアンクについて行った。


王都リューゼール、王立図書館にて。


「ふむ…」


新たな魔法、(ひとえ)にそうは言っても何を覚えるべきか。そう思い、今まで特に用もなかった図書館に足を運んだ。と言っても、これと言った成果もなく、ただ書物を読み漁る日々が続く。


「こうしている間にも、あいつは…魔王は力をつけているというのに…」


基本的な技術では俺の方が勝っているのでは、などと考えることもあったが、相手はあらゆる魔法を使えるのだ。そう自惚れるわけにはいかない。


「…ん?創成、魔法…?」


ふと読み始めた本にそう書いてあった。そういえば前に聞いたな、魔法や物質を別の物に作り変えるんだったか。


「…これだ。」


何か、掴めた気がする。そんな思いとともに図書館を後にする…


「あの、読み終わった本は…」


「…すまん、忘れてた。」



…とりあえず、読み漁った本を片付けてからか。


「いやー、まさかあんな感じで終わるとは思いませんでしたね!」


「まったくニャ。まさか主人公が犯人だったなんて…予想つかなかったニャよ。」


「しかも結局捕まらないで終わったしな。」


案内されて少し経った所で、広場で劇をやっていたので鑑賞していた。タイトルはやたら長ったらしかったので覚えてないが、内容は探偵である主人公が犯人を見つける…と、思いきや主人公が犯人で、完全犯罪を行うというものだった。…色々すごかったな。


「俺も何回か見たが…やっぱり面白いんだよな、これ。」


満足げな表情でハイドが言う。確かに見応えがあった。


「次はどこに行くんですか?」


同じく満足げな表情を浮かべるレゼリアが問いた。すると。


「ん?あー…もう日も暮れるし、一旦宿に戻らないか?金は俺が出すから。」


少々間をおいて答えが返ってきた。


「…いいですけど、まだ結構明るいですよ?」


空の方を見上げる。確かに日は傾いているが、まだ夜というわけでもない。


「いや…まぁ…その、ちょっとな…」


あからさまに何か隠してるな。ちょっと問いただしーー


「アンタ…何か隠してるニャね?嘘が白々しいニャよ。」


だいぶストレートに聞いたな。…まぁいいけど。


「…聞かないほうが身のためだと思うが?」


先程の雰囲気がガラッと変わり、何か危ないものを感じさせている。


「それでも、聞くのか?」


「…ああ、それで後悔はしない。」


その答えにハイドは少々俯くが、すぐに返してきた。


「…こっちだ、付いて来い。」



そうして、とある場所へと案内される。


ここまで読んでいただきありがとうございます。次からは少々展開を進めますので、これからも読んで頂けたら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ