レンvs.アイゼン 中編
「おらぁ!」
アイゼンは、布を巻きつけた拳で俺を殴ろうとする。外見自体に変化はないが、恐らく変化魔法で布の硬度を金属並みに上げているだろう。
「やべっ!あ、具現化・装備!」
寸前で盾を具現化し、なんとか直撃は免れたものの、金属同士のぶつかり合いのせいかぐわん、とした衝撃が俺に来る。
「ぐうっ…」
アイゼンにも同じくらいの衝撃は来ているだろうが、それを気にする素振りを見せず、連続した殴打が続く。
「おらおらおらおらぁ!!」
盾に伝わる衝撃が更に勢いを増し、それの影響はその攻撃を耐えていた盾にまで及び…
バキッ。
という音を立て、鉄製の盾は打ち崩された。
「う…そだろ!?」
壊れた盾をその場でアイゼンに投げ捨て距離を取る。
「かっかっか!どうやら具現化したからといっても、特殊な効果が付与されてるわけじゃないようだな!」
アイゼンは投げ付けられている盾だったそれを地面に叩きつけ、再び距離を詰める。
「させるかっ!」
先程具現化した武器達を近づいてきているアイゼンに差し向けるが、硬化した外套に全て阻まれてしまう。
「…いい加減、攻撃が単調になってきたんじゃねーか?」
その言葉に動きが止まる。その隙を逃すわけも無く、アイゼンは俺のみぞおちに一撃をお見舞いした。
「がっ…はぁっ…!」
声にならない痛みが襲う。アイゼンはそれに追い打ちをかけるかの様にストレートをお見舞いしようと振り被る。俺はそれを防ごうと何とか腕でガードしようとするが、みぞおちへのダメージの影響か、その場でよろけてしまった。まぁ、不幸中の幸いで避けることは出来たのだが。
…仮に、腕でガードしていたらどうなっていたのだろうか、と一瞬考えたが結果が目に見えたのでやめた。
「…」
何を思ったか、アイゼンはそれまでの攻撃を止め、急に距離をとった。そして一言、
「なんつーか…拍子抜けだな。」
「な…何がだよ!?」
その言葉に俺は食ってかかった。何が悲しくてそんなことを言われなくてはならないのだろうか、それを問いた。
「なんつったら良いんだろうな…魔法は凄いけど、使用者のお前さんの力量と噛み合ってない気がすんのよな。」
「そ、そんなわけ…」
「とにかくだ、今のお前さんとやってもなんか張り合いがねぇ。これなら、さっきの嬢ちゃんたちの方がまだ楽しめたぜ。だから拍子抜けなんだよ。」
力量と噛み合ってない。確かにそうだ。まだこの世界に来て日が浅く、魔法も数える程しか使っていない。そんな俺がこいつに勝てるのだろうか。この世界の住人であり、俺より遥かに武器や魔法の扱いに長けている二人ですらギリギリだったこの男に。
先の勇者との戦いでは相手が意表を突いて勝ったが、今回は別。レゼリアが先に似た魔法を使い、それで勝ったのだ。相手も馬鹿ではないから、当然それの対策を練っただろう。そしてそれが俺との戦いで功を奏してしまった。
だから、俺も今ある手駒の中から作戦を練るべきだったのだ。だが。
「拍子、抜けだぁ…?ふざけんなぁぁ!!」
拍子抜けと言われ、力量と噛み合ってないと指摘された俺は激情し、浮かせてある武器の中から両刃剣を掴み取りアイゼンに攻撃を仕掛ける。だが、
「…つまんねぇ、攻撃だな!」
それを呆気なく避けられ、代わりにみぞおちへのカウンターが決まる。
「ぐはぁっ!」
威力のせいか、数メートルほど吹っ飛ばされた。それでも何とか立ち上がりアイゼンを睨みつける。
「ぐ…う…」
「へえ…まだやれんのかい。」
一歩、また一歩迫ってくるアイゼン。それをただ見ながら、俺はさっきレゼリアに言われたことを思い出していた。
とりあえず書くことが出来ました。魔法のネタに関してはまだ何とかなると思います。




