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レゼリアvs.アイゼン 後編

刀が振り下ろされ発生した土煙が徐々に明けていく。


「さて、死なないように加減はしましたけど…!?」


レゼリアの言葉が止まり、視線が刀の先端に注がれる。それに吊られてそこを見やるとアイゼンが2本の腕を使って白刃取りをしていた。


「間一髪…うまくいったぜ…!」


「…やっぱり、もう1本腕の召喚残してましたか。ですが、1本増えたところでそう簡単には止められませんよ!」


2本目の機巧魔兵の手(ギアテックゴーレム)召喚を読んでいたのか、レゼリアは更に刀に魔力を加える。


「そう…何度も、通じねぇぞ!」


アイゼンは魔力を込め、2本の腕で白刃取りをした状態で刀をもぎ取る。


「え、嘘!?ちょ、なに人の魔法奪ってんですか!?」


「なに、すぐ返してやるよ。さっきの一撃も合わせてなぁ!」


その言葉通り巨大な質量を持った刀が、今度はレゼリアに襲いかかる。


「ああもう!…魔法解除!」


一つに纏まっていた小刀が、魔法の解除によってバラバラと地に落ちる。だが、アイゼンはそれを読んでいたのか、その隙を狙い、レゼリアの眼前に迫り両腕で羽交い締めにする。


「さぁ、形成逆転だぜ?」


「…お忘れですか?私がテレポート使えるの!」


そう、さっきもレゼリアはテレポートを使い似たような状況から抜け出している。それを忘れている筈はないのだが…


「そういやそうだったな、なら抜け出せばいいだろ?…出来るもんならな。」


その言葉の真意が分からないまま、レゼリアはテレポートを試みる。だが。


「…あれ?移動、出来ない…?」


発動したのなら瞬時にアイゼンの背後を陣取っていたであろうレゼリアは、腕に掴まれたままだった。


「ちょ、私に何したんですか!?」


レゼリアの問いにアイゼンは呵呵と笑いながら答える。


「嬢ちゃん、自分の魔力の量を見誤ってねぇかい?さっきの攻撃にどんだけ魔力込めたよ?」


魔力の量。RPGでは各人に設けられている制限。それはゲームバランスを整えているからで、魔法が日常化しているこの世界では無いものと思っていた。


「…。」


それに気付かなかったのだろうか、俯いて黙ってしまった。


「…ま、何にせよ勝負は決まったな。まだやるってんなら付き合うが、どうする?」


このままレゼリアが降参を宣言してしまうと、実質的にこちらの負けとなってしまう。そして


「…わかり、ました。…降…参…」


これで、終わりか。俺たちはそう確信した。





「…と、言うとでも思いましたか?」


その言葉を、聞くまでは。


レゼリアは辛うじて動かせる左手を動かし、どこからか小刀を動かしてきてアイゼンの首に突きつける。両腕を拘束に使っていたアイゼンはそれを弾く暇も無くそれを甘んじて受け入れる形となった。


「…魔力、尽きたんじゃ無かったかい?」


「そんなこと、一言も言ってませんよ?…まぁ、割と使ってるのは事実ですけどね。」


「…テレポートを使おうとしたのも虚偽(ブラフ)だったってわけかい。」


「それは違いますね。実際、使えなかったのは意外でした。でもアイゼンさん、ちょっと締め方が甘かったですよ?おかけでなんとかこの状況を作り出せたわけですし。」


互いにギリギリの状況の中会話は続く。そして、それに終止符を打ったのはレゼリアだった。


「さて、仮に今アイゼンさんが私を締め潰したとしても私は左手を振るって貴方の首を掻っ切るくらいは出来ます。…降参、してくれますか?」


「…それが、虚偽(ブラフ)だとしてもか?」


「…やってみなきゃ、分かりませんよ?」


そして次は沈黙が生まれる。そしてそれを断ち切ったのはーー







「…分かったよ、俺の負けだ。流石に自分の命は惜しいんでな。」


その言葉をキッカケに2人は魔法を解く。掴まれていて少し宙に浮いていたレゼリアはよろけながらも地に立つ。


「ナイスファイトだったぜ、嬢ちゃん。」


「アイゼンさんも、お見事でした。」



2人は握手を交わし、舞台から降りた。





今度は、俺の番だ。



2日間で書くのって結構しんどいかもしれませんね。アイゼンの魔法のネタが切れそうですが、これからも見て頂けたら幸いです。

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