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レゼリアvs.アイゼン 中編

「本気、か。ようやく嬢ちゃんの全力が見れるたぁ嬉しいね。」


「はい!では、行きますよ!」


レゼリアはその言葉と同時に小刀を複製、その後操作魔法を使ったのか小刀は宙に浮いた。そしてまた複製して浮かせる…それを繰り返し、気付けば100本は下らない量の小刀が宙に浮いていた。


「これは…流石にやべぇな…」


「ふっふっふ、見入らずに途中で止めとけばよかったんですよ?でも、もう遅いですからね!喰らいなさいっ!追尾刀剣弾ハンドレッド・ハウンド!」


浮き上がっていた小刀全てがアイゼンに襲いかかる。だが、それを見越していたアイゼンは瞬時に腕を召喚し、それの掌を地面に付けバネの様に飛び上がり天井を支えている柱に掴まった。標的を見失った小刀は地面にザクザクと刺さっていく。


「かっかっか!量があっても当たらなければどうってことはないぜ?」


「いえいえ、これからですよ!」


レゼリアはそう言うと腕をアイゼンの方に向けた。すると、先程まで刺さっていた小刀達が再びアイゼンに向かう。


「ちっ…追尾系か!」


アイゼンは柱から手を離し地面へ降りようとする。無論、小刀はそれを逃すわけもなく襲いかかるが、腕の一振りで全てを弾き地表に降り立った。


「むぅ…今ので倒せたら良かったんですがね…」


「惜しかったな嬢ちゃん。でも、中々いいセンいってたぜ?」


「それ程でもないです!…さぁ、休まず行きますよ!」


レゼリアは再び腕を振るい、アイゼン目掛けて小刀を飛ばす。


「どうした?攻撃が単調になってるぜ!」


そして再び振り払おうとする…が、それは小刀全てがぶつかる寸前に分散したことで叶わぬものとなった。


「…ほう。」


分散した小刀達はアイゼンを中心にドーム状に並んでいた。


「これで、逃げ場はありませんよ!」


そして、ドーム状に形を成した小刀はアイゼン目掛けて飛びかかる。


「…。」


驚いているのか、表情を変えず飛びかかる小刀をアイゼンは見渡す。小刀はそんな彼には目もくれずただただ斬り裂きにかかる。


「…なめんなよ!」


その声と共にアイゼンは迫り来る小刀達を腕で弾き返す。だが、1本の腕で全て弾き返すのは無理らしく、およそ半分を弾いた直後、背後からの攻撃に反応が一瞬遅れたのか左脇腹に一撃が当たり、着ていた服が斬れ、少しばかり血が滲む。


「ぬうっ…」


苦悶の表情を浮かべ、左手で脇腹を抑えながらも小刀を弾き続ける。


「中々…やるじゃねーの…。」


「…これで、終わりです!」


レゼリアは腕を上に掲げる。すると、先程まで攻撃を続けていた小刀達が彼女の頭上に集まり、徐々に大きな刀の形を成していく。


「させるかっ!」


だが、先程黙って見ていたアイゼンは今度はそれを止めにかかる。


「おっと!…危ないですよ、まったく。」


アイゼンは全力の右ストレートを喰らわそうとするが、傷のせいか踏み込みが甘く、簡単に避けられてしまう。それからレゼリアは充分に距離を置いてこう言った。


「…さて、選択肢をあげます。今降参するか、それともまだ戦うか、…どうします?」


その問いにアイゼンは長考するかと思ったが存外早く答えが返ってきた。


「…かっかっか!男が勝負から逃げちゃお終いだろ。…続けるぜ、俺は!」


それも、レゼリアが予想していなかった答えが。


「…そうですか。だったら、もうどうなっても知りませんよ!喰らいなさい!巨人の大豪断(トール・エスパーダ)!」


一つの巨大な刀となったそれは、レゼリアの掛け声と共にアイゼンに振り下ろされる。


「はっ!数合わせたって総計の重さは大してねぇだろ!そんなモン腕で受け止めてやらぁ!」


「お忘れですか?私の…重力魔法を!」


レゼリアが重力魔法をかける。すると、刀の振り下ろされるスピードが先程よりも明らかに遅くなり、重みを増しているのが分かった。


「…なるほど、確かにこれじゃひとたまりもねぇな。だがよ、こんなに遅いんだったら避けるのなんざ…!」


そう言って避けようとするアイゼンの言葉が止まる。


…足が…動かねぇ…!


「どうしました?避けてもいいんですよ?…その状態で出来るなら、ですけどね。」


「…重力魔法で俺の足にかかる重力を重くしたのか。まったく、可愛い顔してえげつねぇことしやがるぜ。」


「…終わりです!」



そして、刀は重い地響きと共にアイゼンに振り下ろされた。





見て頂いてありがとうございます。これからも読んで頂ければ幸いです。

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