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ミシロvs.アイゼン 前編

俺たちは、先程の部屋から出て少しした所にある場所に案内された。


「ここは…?」


「まぁ、一言で言っちまえば訓練場だな。戦うんだったらここがうってつけだろ?」


先に来ていたアイゼンが自慢気に答える。「ここは、団長の指示で造ったのです。」とホーガンが耳元で囁く。どうやらアイゼンのお気に入りの場所のようだ。


中央には10メートル四方のフィールド、端には騎士が使いそうな剣や盾がいくつも飾られており本当に異世界だと言うのを実感させる。


「さて、早速始めーー」


「ちょっと待って下さいっ!」


アイゼンの言葉をレゼリアが遮った。少し驚きを見せつつもアイゼンはレゼリアに問いかけた。


「急にどうしたお嬢ちゃん?まさか怖気付いたわけじゃあ…」


「そ、そんなわけ無いですよ!ただ、いくらなんでも急過ぎるので作戦とか練習の時間が…」


「…あー、そういやそうか。んじゃ1、2時間くらいでいいか?」


拒否されるかと思ったがそこは魔法騎士団の団長、あっさりとOKしてくれた。器の大きさも必要なんだな。


「さて二人とも、こっちに行きましょう!」


「うわ、ちょっと…」


「一体何するニャよ?」


許可をもらうや否やレゼリアは俺たちを訓練場の端に連れて行った。


「さて、一応戦略を立てましょうか。流石に何も考えないで行くのは勝率薄いですしね。」


「つっても…どうすんだよ?」


「うーむ、どうしましょうか…」


「んじゃ、先に俺が行くニャ。」


二人で考え込んでいると、ミシロが迷いもなく申し出た。


「…え、出るんですか?」


「まあニャ。とりあえず一回でも戦い見とけば少しは戦略立てやすくニャるだろうし、俺がアイツを倒せたんならそっちの方がいいと思うしニャ。」


…男らしいなおい。女だってのにそこらの野郎より男らしいってどういうことよ。


「そんじゃ行ってくるニャ。」


「頑張ってくださいねー!」


相手が何を使うのかは分からないが、おそらく彼女なら大丈夫なんだろうな。


「お、ケットシーの嬢ちゃんが相手か。たぎるねぇ。なるべく傷つけないようにしなきゃな。」


「その自信ごと叩き斬ってやるから安心するニャ。」


相手の挑発に返事を返す。こういうのも試合の醍醐味なのだろうか、言われたアイゼンが口を大きく開けて笑う。


「かっかっか、そいつぁ楽しみだ。だが、始める前にまだ言ってなかったからルールの確認をさせてもらうぜ。」


「分かったニャ。」


「そんじゃま、ルールとしてはお前さん達が3人だからどちらか先に2勝した方の勝ち。逆にこのフィールドから出た、もしくはどちらかが負けを認めたら負けだな。」


「わりとシンプルニャね。てか、あんた1人で3人も相手出来んのかニャ?」


「かっかっか、心配してくれんのか。でも一応はここの団長だ。それくらいのことは出来る。むしろ、そっちは3人だけでいいのか?」


「心配ご無用、ニャ。あと、寝言は寝てから言った方がいいニャよ。」


「つくづくおもしれぇな。…そんじゃ、やりますか!」


「…」


ひとしきりの言い合いが終わった後、訓練場が緊張感に包まれた。それがピリピリと伝わり、ここに居るのが辛くなる。そしてーー


「試合、始めっ!」


審判と思しき男の一声で、試合はスタートした。だが、


「…」


「…」


スタートしたにもかかわらず、2人はじっと相手の方を見ていた。互いに探りを入れてるのだろうか。しかしそれも束の間、


「らぁっ!」


ミシロが刀を抜きアイゼンに斬りかかる。対するアイゼンは腰に手をやり何かを引き抜きつつ一撃を躱す。


「おっと、あぶねぇあぶねぇ。流石にこれ喰らったらキツイな。そんじゃ、コッチもやらせてもらうぜ!」


アイゼンが手に持っていたのは銃だった。どこかの海賊漫画に出てきそうな古風な物だが、近接武器相手ならかなり有効な手段だろう。


「そらっ!」


引き金を引くと同時に数発の弾がミシロに向かう。普通ならここでお陀仏なのだが、


「ふんっ!」


彼女はそれを切り落とした。


「銃かニャ。結構厄介だけど、これくらいニャらどうにか出来るニャよ?」


「…刀の達人って、あんなことも出来るんだな。」


「絶対敵に回したくないですね…」


そんな俺たちの呟きを尻目に、2人の抗争は続く。


「中々にっ、やるようだな!」


アイゼンは次々と弾を打ち出すが全て彼女に斬られるか避けられるかしている。一方のミシロは懐に入り込み斬りかかる。


「せいっ!」


「ぬぉっ!?」


しかし間一髪で躱され、斬れたのはローブだった。


「ちっ、ちょこまかと…」


「やるもんだね嬢ちゃん。…あ。」


一瞬アイゼンの動きが止まる。それを見過ごすわけもなくミシロが再び斬りかかる。


「弾切れかニャ?まぁ、運も実力の内ってやつニャ!」


そして、その刀身がアイゼンに迫る…はずだった。その直前、アイゼンが不敵な笑みを浮かべると同時にミシロが後ろに飛び退いた。直後、弾切れのはずの銃から数発の弾が襲いかかる。無論それも斬り落とそうと刀を振ったがーー


「…!」


何故か斬らずに弾を避けた。そして直前までミシロがいた所には穴が開いていた。


「…へぇ、野生の勘ってやつか?これ初見で避けられるとか久々だな。」


弾切れというのは虚偽(ブラフ)だったのだろうか。しかし、撃ったのなら落ちてるはずの薬莢(やっきょう)が落ちるはずなのだがどこにも見当たらない。何を弾にしたのだろうか。


「…空気でも撃ってるんでしょうか?」


「…え、それって結構やばくね?」


確かに、もし空気を高威力で撃てるのならば刀で戦っているミシロにはかなり不利だろう。物質と違って空気に実体はないから避けることしかできない。厄介だな…


「何ニャそれ?空気砲かなんかかニャ?」


「かっかっか、それはそれで面白そうだが違うんだな。まぁ、言ってしまえば魔法弾ってやつだ。銃に魔力を込めるだけのお手軽な代物だが、使用者によっちゃそこらへんの盾なら10数枚は撃ち抜けんだよ。」


…予想とは随分違ったが、それでも厄介だ。

ただ唯一救いがあるとすればーー


「でも、魔力は無限にあるワケじゃニャいんだから俺を倒すまで弾数足りるのかニャ?」


「…心配ご無用。俺はそこまでヤワじゃないんでね。あと、寝言は寝てから言った方がいいぜ嬢ちゃん?」


「…確かにあんたの言う通りニャね。…だったらこっちも、本気で行くニャよ?」


「そうでなくちゃ困るな。…さぁ、来い!」




そして両者は再び、互いの武器を構える。








亀更新で申し訳ありませんが、見て頂けたら幸いです。

追記:タイトルに間違いがありましたので編集しました。

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