プロローグ
「お兄ちゃん!お兄ちゃん!」
「んん…なんだよ…」
「学校!遅れるよ!」
妹の一言で目が覚めた。慌てて時計を見ると8時を回っていた。
「やっべぇぇぇ!!」
俺は急いでベッドから跳ね起き、支度をする。
「レン!朝ご飯は!?」
「ええい!トーストだけ!」
そうしてトーストを口にほうばり俺、天使 憐は家を出た。
「間に合わねぇぇ!」
自転車を全速力で漕ぎ学校へと向かうーーーー
キーンコーンカーンコーン
「よーし出席とるぞ。あまーー」
ガラガラガラッ!
「セーフ!」
「いやアウトだよ!」
そのやりとりでクラスの笑いを取った後、いそいそと席に座る。
「はぁ…今回は大目に見てやるけど次は許さんぞ。」
「ありがとう先生!」
「んじゃ出席とるぞー、天使。」
「はーい。」
「飯坂。」
「はい。」
「石田ーーーー」
キーンコーンカーンコーン
「今日もギリギリだったなレン!」
「うるせぇ、疲れてんだよ。」
「自業自得だろーよ。」
「そうだけどさ…」
笑いながらそう言ってくるコイツは矢崎 荒 。俺の幼馴染みで、
「よう天使様!いい天気だな!」
「天使様〜、宿題教えて〜」
…俺にこんなあだ名を付けた張本人である。
「今日も盛んですなぁ天使様!」
「お前が言い始めたんだろ!」
昔から名字でイジられることは多々あったので最初は否定したものの今では諦めがちになっている。
「まったく…」
「おーい、レーン。」
今呼びかけた女子は尾乃々音 芽依。矢崎と同じく幼馴染みで、男勝りな性格。
「ん、どした?」
「あんた教科書忘れてたよ!ほら!」
「お、悪い悪い。」
「さっきあんたの母さんが来て憐に渡しといてって言われたのよ!」
「マジ?ありがとう。」
「気を付けなよー」
「天使様が救われてどうすんだよー」
「うるせぇっ!」
俺たち3人の家は近く、良く遊ぶ間柄なのだ。
「んじゃ、次体育だから!」
「おう。」
「んじゃなー」
それと入れ替わりに先生が入って来た。俺らの担任であり、数学の担当でもある。
「んじゃ授業始めるぞー」
「起立、礼、着席!」
「それじゃあ、62ページ開けー。あと天使は今日当てるからそのつもりでいろよ。」
「何でですか先生!?」
「遅刻免除する代わりだ。それとも反省文の方がいいか?」
「ううっ…」
自業自得だ。後ろで囁くコウの声を聞きつつ席に座った。
「はい、んじゃーーーー」
キーンコーンカーンコーン
「疲れたー…」
「アッハッハ!まさか10回連続で当てられるとはな!」
「笑い事じゃねーよ…」
その後、
2時間目 英語
「Mr.天使!ここは何と読みますカー?」
「え、えーと…earthquake?」
「oh,正解デース!」
「あぶねー…」
3時間目 生物
「…であるからしてー」
「zzz…zzz…」
「はい矢崎、今なんて言ったか分かるか?」
「んへっ!?え、えーと…」
「…BTB溶液。」
「び、BTB溶液です!」
「正解だ。良く聞いてたな。」
「…ありがとよ天使様!」
「やめろ…」
ーーーーーーーー
キーンコーンカーンコーン
「起立、礼!」
さようならー
「…うぅ。」
「ふふっ。」
矢崎が萎んだ風船のようにうなだれてるのを見て不覚にも笑ってしまった。
「ひでーよ!それでも天使様かよ!」
「うるせぇ、帰るぞ。」
「二人とも、一緒に帰ろー」
「「おう。」」
ーーーーーーーー
商店街
「…でさー」
「そりゃ災難だったね〜」
「うるせぇよ!」
歩いてしばらくすると近くから声が聞こえた。
「新販売のジュース、いかがですかー!」
「おっ、買ってこーぜ!」
「あたしお金無いんだけど。」
「まぁいいんじゃね?誰かが買ったの飲めば。」
「よし決まりぃ!すみませーん!一つ下さい!」
「ありがとうございまーす!」
「えーと何々…?滅茶苦茶旨い!ぶっ飛びアップル?」
「コウが好きそうなネーミングだな。」
「だよね〜」
「おいおい俺がそんなのに惹かれると思ってんのか?」
「本当は?」
「超飲みてぇ!早く飲もーぜ!」
「分かったよ、はいコップ。」
「随分用意がいいなメイ。」
「さっき貰ってきたのよ、飲みましょ!」
「んじゃレン!乾杯の音頭とってくれ!」
「…いらなくね?」
「気分よ気分。お願いね、天使様。」
「分かったよ…んじゃかんぱーい。」
「「かんぱーい!」」
ごくっ
飲んだ感触としてはリンゴの味が強いので美味しいと言えば美味しいがぶっ飛ぶ程ではない。
「うひゃー!ぶっ飛ぶくらいうめー!」
…コウにとってはぶっ飛ぶくらいの美味しさらしいが。
「良くも悪くも普通ねコレ、まぁ喉乾いてたからいいけど。」
「んだよつれねぇなぁ…あっ俺家着いたわ、んじゃ!」
「バイバーイ!」
「じゃなー」
「あっ、あたしもだ。んじゃね!」
「おう。」
こうして三人は家路に着いた。その後は勉強したり家族と話したりご飯を食べたりしていた内に夜になった。
「さて、寝るかぁ…」
今日は全力で登校したせいか異様に眠い。ベッドに入るとすぐに眠気が襲った。
この時は、まだあんな事になるなんて思ってもいなかったーーーー
新参者ではありますが見ていただけたら幸いです。気が向いたら投稿させていただきます。
なんかアレだったので第1話を新しく作り直しました。見てくださいね。アドバイス等お待ちしております。