表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/200

三角錐

 それはホワイトキューブのように気の滅入る青の立方体だった。中にはやじろべえ、振り子、分度器などが雑然と転がっていた。

 二人の女性が立方体の中に入る。

アロア――珈琲の熱さは丁度彼の右目の青さと同じ具合。

エレーヌ――彼は水ガラスを舐めているので目は青いです。

アロア――そう。青いの。君の背中も明日の川の水も昨日の夜も全て青い。

エレーヌ――(分度器を耳に当てて)詩人の声が聴こえます。これも青いです。

アロア――彼の声は青くないの。(やじろべえを覗きこむ)うん。やはり青くない。

エレーヌ――彼が青くないのは丁度珈琲の熱さと同じ具合です。

アロア――私は紅茶しか飲まないんだけど珈琲というのは熱いみたいね。

エレーヌ――丁度彼の右目の青さのように。

アロア――(やじろべえを地面に叩きつける)それでは全く熱くないじゃない!

エレーヌ――ええ。アイス珈琲はいかがですか?

 暗転。立方体は右に90度回転して赤くなってから再び灯りがつく。

エレーヌ――(アロアに向いて)貴方のせいです。

アロア――(俯いて震えながら)うぅ……。

エレーヌ――平面上を滑るのも彼方でピンクの鳥が人を襲うのも貴方のせいです。

アロア――うぅ……。

エレーヌ――(アロアに背を向けて)水面が揺れるのも水晶に針が突き刺さるのも。

アロア――(振り子でやじろべえを思いっきり叩きながら)それはやじろべえが回転する球面。

エレーヌ――全て貴方!貴方!

アロア――(やじろべえを素手で殴りながら)球面!球面!球面!

エレーヌ――貴方!貴方!球面!貴方!貴方!

アロア――球面!貴方!球面!貴方!球面!貴方!

 舞台は次第にフェードアウトして次に電気が付いた時、黒い大きな球がそこにあった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ