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アルゴの船

 空になったラムネ瓶を割る。破片の刺さった金魚は破れ、その血は彼岸花になる。


「綺麗」

 彼女は言う。その言葉は風になって僕の上に雨を降らせる。そして金魚たちは雨を求めて空に泳ぐ。


 彼女は気づいた時には居なくなっていた。 否、彼女は初めから居なかったのだ。“綺麗”その一言の香りだけがそこにあったのだ。


 それでも、私は彼女を求めずに居られなかった。流星の落ちる所は彼女の居場所ではなかった。星が瞬く方向は彼女を指していなかった。それでも、私は彼女を探し求めた。金魚が嘲笑う、全くの徒労だと。それでも、私は良かった。何もしない苦痛よりは動き続けることの方が苦ではなかった。時間から疎外される感覚がわかるのか。そう言いながら金魚を踏み潰しても、彼は嘲笑を辞めなかった。

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