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透明な薔薇
彼女の透明な薔薇はその花弁で彼女の手首を裂いた。その血はラズベリー?クランベリー?彼女はそれをスコーンに塗り言った。お茶にしましょう。キャロルの香りが嫌に甘い。
彼女は紅茶に砂糖を4杯入れる。甘いぐらいが美味しいでしょ――彼女はそう笑う。その手首にある血の跡は褪せたバラのように赤い。私は何も言わずに砂糖を一杯だけ入れる。彼女は笑顔でスコーンを頬張る。
午前10時の陽光を浴びて透明な薔薇は輝く。その花弁は仄かに紅に色づいている。薔薇はこうやって色をつけるの。透明な薔薇を手に持った私に向かって彼女はそう笑った。薔薇はだから美しいの。キャロルの香りが酷く甘い。




