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青の終わり、
エレクトリックピアノの音が響く。夜はその色を照らしている。凪いだ世界の中で彼女は目を瞑って涙を流した。その白い肌は夜に照らされて薄く青い。
暫くの間、私は彼女を見ていた。見ることしかできなかった。彼女は氷の棺の中に入っていたから。
「世界が終わる前に自分で死にたい。綺麗なままで」
私は彼女のその言葉に従って彼女に氷の棺と睡眠薬と花を――彼女が好きだった白菊を――与えた。
「私は白いものが、特に白菊が大好きなの。あの娘と同じように」
涙はもう氷の結晶になり彼女の目元で仄かに輝く。私は彼女をずっと眺めていた。




