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 貴方は琥珀色の幻燈という本を読んでいた。

 光合成少女という作品を読み終わったところでさすがに疲れたので紅茶を淹れて一息つくことにした。そこで栞という話の一ページ目に栞を入れた。結論から言うとこれが失敗だったわけだがそんなこと今さら言っても仕方ない。

 アッサムのミルクティーを飲み干した貴方は続きを読もうとして驚いた。栞が融けていたからだ。その日はとても湿度が高く、色んな物が融けてニュースになったあの日だ。貴方はそこで融けたのが栞でよかったと安堵した一方お気に入りの栞が無くなったことに悲しみを覚えた。あの栞は二年前祖母から貰った大切な銀鏡の栞だったんだもの。そこで新しい栞を買いに行く事にした。素材は勿論銀鏡。

 外は午後三時だというのに嫌に静かだった。暫く歩いて貴方はその原因が解った。融けていたのだ、出歩いていた人は皆。そして、その時貴方は気づかなかったけれどその地域はあまりにも被害が大きかったから避難指示が出ていた。そのサイレンの音はミルクと共に紅茶に溶け込んだけれど。

 貴方は走った。既に左肩がぬるっと融けかかっているのを気づかぬフリをしながら。やっとの思いで店に付いた時にはかたはゲル状になっていたので貴方は小麦粉をかけて応急的に固めた。


 貴方はそこまで読んで本に栞を挟んだ。

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