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 ソーダ水が弾ける様に、かき氷が溶けるようにそれは砕けた。高いレの音がして果実の香りが漂う。彼女は残念そうにそれを集めて飲んだ。また作るの―私が問うと、完成するまでは作り続けないと―と言った。そして、さあ、私を泣かせてよ―と。

 さすがに私は躊躇ったが彼女が強いるので仕方なく―しかし躊躇せず―彼女の脇腹を穿った。

 ―――。声にならない叫び声を上げて倒れる。大粒の涙がその大きな瞳から零れ落ちる。その涙が血と混ざらないように彼女は手で掬い集める。私は少しでも楽になるように彼女の腹を押さえ止血するが、痛みがなくなるからやめて―という叫びを受けて手を離した。結局涙が枯れる頃には既に腹部の血は止まっていた。

 私が彼女の傷に粘菌を被せると直ぐに彼女は涙を鍋に移して煮詰めた。私は側に立って彼女の指示したものをその鍋に入れた。カラメル、百合の蜜、天然水。

そうして飴玉のようなビー玉のような涙珠は完成した。

 彼女がそれを床に落とすと―コツン―と軽い音をして跳ねた。やった―と呟いた彼女はそのまま気を失ったので涙珠を口に含ませておいた。

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