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女王蟻

 森の中を歩いていると甘い香りが漂ってきたのでそっちを見ると百合の花がたくさん咲いていた。その中でも一際甘い香りを放つ百合があったのでよく見ると彼女だった。

何をしてるんだ―私が問うと、百合になったみたい―と応え、ため息のような香りが漂ってきた。

私は、今出してあげるよ―と言い百合を手折った。あ―という声が聞こえた。

それを聞こえなかったふりをして私は彼女と百合の蜜と花粉を煮詰めて、それを地面に注いだ。


 暫くするとそこから蔦が生えてきて無数の苺がなった。

だめだったのね―一番紅い苺から落胆した声が聞こえた。次は上手くやるさ―と応えた。

そうして私は彼女を摘んだ。あ―と言う声が聞こえた。

それを聞こえなかったふりをして私は彼女と苺と蔦を潰して地面に撒いた。


 暫くするとそこから大量の蟻が現れた。

戻してくれてありがとう―一番大きな蟻はそう言って私の体を口器で引き裂いた。それに続くように他の蟻達も私に群がった。

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