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海月
緩かに落ちて行くランプ。その光は海底に吸われて消える。貴女の其の姿も。
放物線など描かない。ただ一直線に暗い方へと。闇が貴女を丸飲む。
私は引き上げることなど出来ない。何故なら闇は何でも喰らうから。ランプも光も貴女も。そして泡を吐き出す。
其の泡を私は吸った。泡の中はオイルの匂いがした。そして上で泡が弾ける音がした。仄かに貴女の香りが漂ってきた。
見ると海月がいた。かさの模様が貴女の顔に似ていた。私はそいつを針で割った。パリンという軽い音と共に辺りにポリプが散ったので私は丁重にそいつを集めた。
海から上がった私はポリプを半透明のゲル状になるまで煮詰めた。そしてそれを固めると次第にそれは貴女になった。




