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 久しぶりね―そう言った彼女の声は酷く掠れていた。肺病かい―私が問うと、そんな軽いものじゃないわ―と云い紫煙を吐き出した。その臭いに顔を背けると、肺が悪いの―と申し訳なさそうにした。病気なら仕方ないよ―と私は応えたが、病気じゃないの。肺が悪いの―と繰り返していた。


 数日後、再び彼女に会った。彼女は前よりも掠れた声で話しかけてきたので私は、苦しいんだろう。話さないでくれ―と云った。彼女はありがたそうにお辞儀をしたかと思ったらその刹那、血を吐いた。私が慌てて水を指し出すとそれを飲んで、ありがとう―と苦しそうに云った。私は、もう一杯いるかい―と聞くと頷いたのでもう一杯水を指し出した。落ち着くまで寝かせることにした。


 暫くすると彼女は起きた。気分はどうだい―と私が問うと涙を流しながら、もう限界みたい。今までありがとう―と酷く掠れた声で云った。病院に行ったら助かるよ―と云うと彼女は笑顔で顔を横に振った。そして彼女の肺から無数の蟻が這い出て来た。

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