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涙
「ねえ、なんで泣いてるの?」
「わかんないの?」
「わかんないよ」
「じゃあわかんないんだよ。君には」
「それ馬鹿にしてる?」
「そんな事ないよ。むしろ褒めてる」
「そうなんだ…」
「明日は雨が降りそうだね」
「雨は嫌いだよ」
「なんで?」
「だって濡れるから」
「僕は雨好きだよ」
「なんで?」
「わかんないの?」
「雨音が好きとか?」
「違うよ」
「何をしてるの?」
「絵を描いてるんだ」
「どんな絵を?」
「ただの風景だよ」
「完成したら見せてね」
「完成したらね」
「ねえ」
「何?」
「なんで泣いてるの?」
「泣きたい時ぐらいあるよ」
「それが今なの?」
「違うよ」
「夕焼けが綺麗だね」
「眩しいぐらいにね」
「明日も晴れそうだね」
「うん。晴れそうだ」
ただ太陽は彼の涙を乾かさない。




