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家族
兄が爆死した。
今回は小さい、ちょうど風船が割れるような爆発だった。
「今年は不作かねぇ。きっとそうに違いない」
母は一人で頷いた。
「お兄様の事心配 じゃないの」
私が問うても
「毎年の事だからねぇ。二三日もしたら生えてくるさ」
と言った。
事実二、三日すると兄は生えてきていつも通りの生活に戻った。
その年の夏は冷夏だった。
玉鬘は朝の静けさと昼の暑さ、そして夜の天の川を取って育つ。
だから今年は 玉鬘が不作であった。
「食べるものが無いからごめんなさいね」
母はそう言い姉を天婦羅油で揚げた。
「お姉様の事心配じゃないの」
と私が問うても
「不作の年はこうするしねぇ。お湯に浸ければ元に戻るさ」
と言った。
事実秋になって食べ物が多くなると姉は湯に浸かり元に戻った。
その年の冬に私達は来年の苗を作る。
玉鬘の苗は若い女の血と髪と、そして苦痛によって生える。
だから私は土に埋めて貰い鍬で頭を叩かれた。
誰かの心配する声が聞こえたけど関係無い。
事実、春になって花粉を練って人形を作るとそれが私になった。