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ソーダ水と憂鬱

 君は透明な魚だった。泣いているブランコとユーエフオー。蛍光灯と折れた秒針。私たちは臆病だった。酸素を求めるように、あいしてるを。触れる代わりに君の好きな曲を聴く。踊ることが出来ないから、目を瞑った。君は愛おしそうにコップのかけらを撫でていた。

 溶ける魚と形而上学。ねぇ、私の手首を切ってよ。悲しい倒錯ごっこ。ガラス玉を舐めても美味しくなかった。レモンの味がすると思っていた。

「臆病な僕らの逃避行は始まる前に終わってしまったね。今日はクリスマス・イブじゃないから鐘の音もきっと聞こえない」なんて君は笑って言うけれど。

 逃げるように、ロウソクに火をつけた。優しかった。ソーダ水と憂鬱、あいしてるは弾けて消えた。信号機の黄色だけが光っていた。この狭い部屋からは流れ星なんか見えなかった。星座図鑑のページだけを読んでいた。君が生きていなかったらよかった。

 風船と迷子。ふたりぼっち迷路。プラスチックの宝石は砕けてしまった。涙を流す代わりに私はカクテルグラスを割った。君の真似をしてかけらを撫でてみた。それでも、悲しかったからかけらを飲み込んだ。人工甘味料の味がした。

「人形になれたらいいのにね。そうしたら私たちちゃんと愛し合える気がするわ。分かってくれなくていいけど」

 どこからかベルガモットの香りがした。はくちょう座の少女は溺死した。きっと君は顕微鏡座。夕凪とあいしてる。止血のためにリボンを巻く。夢と嘘とイミテーション。軽薄なかくれんぼでした。私たちはLEDに照らされている。だから凍えているんだ。だから、朝は起きれないんだ。ああ、目が覚めたときに君が生きていなかったらいいのに。私がガラス玉にでもなっていたらいいのに。

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