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森
私は網に引っかかっていた。透明な露がくっついて身動きを取れない。そんな私を大きな蜘蛛が見ていた。食べないのか―私が聞くと、その時でない―と返してどこかに歩いて行った。そのうち雨が降り露が落ちたので私は逃げた。蜘蛛が追いかけてくる気配は無かった。
森の中を駆ける。鬱蒼と茂った木々の間からいつ蜘蛛が出てくるか―それだけが気がかりだった。
少しすると川があったのでそこで休憩をする事にした。水を飲み、河辺で眠っていると何時の間にか隣に大きな蟻が居た。食べるのか―私が聞くと、その時でない―と応えた。その時とは何時だ―と問うても何も応えずただ隣に居た。私が少し移動しても後をつけて隣に居た。仕方がないので私は蟻の隣で眠った。
朝になった。蟻が朝露を飲んでいる隙に私は逃げ出した。蟻が追ってくる気配は無かった。
森の中を駆ける。鬱蒼と茂った草の間からいつ蟻が出てくるか―それだけが気がかりだった。
しばらく行くとたくさんの大きな蘭が咲いていた。私はその茎をよじ登り花弁に腰を掛けた。そこでようやく花蟷螂が花弁に擬態しているのに気づいた。食べるのか―と私が聞くと、ああ、丁度その時だ―と言いその鎌で私を斬った。
その時私は初めてこの時の意味を知った。




