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オリーブを食べる話

 それはオリーブにフォークを突き刺すぐらいあたりまえのこと。私達にはローストビーフを切るぐらいのことでしかなかったの。


 私が八歳だった時、彼女は素敵な遊びを私だけに教えてくれた。彼女に連れられて行った廃遊園地、そこの塩で出来たかのような小さな建物。ここには私達しかいないから。だから、誰にもバレないと、彼女は私に笑った。目の前には包帯で巻かれた、ミイラのようなものが居た。それはミミズのようにまだ動いていたが、声はせず息遣いだけが聞こえた。

 さあ、始めるよ。彼女はハンマーを取り出しミイラを思いっきり殴った。骨が砕ける鈍い音、声にならない悲鳴がして、包帯がうっすらと血で滲んだ。ミイラは一瞬動きを止めたが、恐怖のせいだろう。必死に這って逃げようとした。そんなミイラに彼女は笑顔でハンマーを叩きつける。死ね。死ね。死ね。そう笑いながら。殴られるたびにミイラの悲鳴も、動きも、彼女の声も大きくなっていった。

 そうしている内に、私も遊びをしてみたくなった。彼女のハンマーを借りて私も思い切り叩きつけた。柔らかいものを潰した感触がした。それと、今までで一番の悲鳴。咄嗟に私は目を潰したのだと気付き、そして昂揚感があった。悲鳴、柔らかい感触、血で滲んだ包帯、動きが鈍ったミイラ。私は夢中で同じところを何度も叩いた。死ね! 死ね! 死ね! 死ね! そうしているととうとうミイラは悲鳴も、動きもなくなってしまった。彼女は残念そうに、私も生きている内に頭砕きたかったのにと言った。その後は彼女の持っていたナイフで適当にミイラを刺したり、ハンマーで頭を砕いたり。楽しかった。ただ、何の理由もなく楽しかった。

 けれど、これは決して私達が殺人欲、加虐癖があったからではないの。ただ、あの場所であの条件が整っていたら誰でもそうするはずだった。食事を取るぐらい、至極あたりまえのことでしかなかったの。

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