2.引き続き婚約をなさるようですが…
遊びでやってるんだよぉぉぉ!!
カーン カーン
鐘の鳴る音が聞こえる
ここはどこだ?
私は確か、自分のベットで寝ていたはずだ
なぜ大広間に戻っている?
「魔王様! おめでとうございます!」
「魔王様! ばんざーい!!」
「魔王様ー! 魔王様ー!」
そこらじゅうから歓声が沸き起こっている
なんだ? なんなんだ?
なぜこいつらは喜んでいる?
「似合っているわよー♪」
ん?
母様が手を振っている
……似合っている?
「ほら、こっちを向いて」
え?
背後から声が聞こえた
そこには……
「……誰?」
「嬉しさについ忘れてしまったか、わが愛する妻よ?」
目の前の人物が私の髪を弄ってくる
……は?
意味がわからない……
愛する妻?
まさか……はっ!?
「なんだこれ!?」
視線を自分の体に移すと……
純白のウェディングドレスに身に包んでいた
え? まだ結婚するなんて言ってないぞ!?
夢なら早く覚めてくれ!
「誓いの口づけを……」
神父さん!? なに話、勝手に進めているの!?
待て! 顔を近づけてくるな!
やめろ!
やめろぉぉぉぉ!!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「わあっ!!」
「おぅ……おねえちゃ……様。おはようございます♪」
「え? はい、おはようございます」
よかった、夢か……
気色悪い顔が目の前に来たときは、舌を噛み切って死のうかと思ったけど……
……ほんとによかったぁ~
「いい夢が見れたみたいだね♪」
「よくなかったですがなにか?」
いい夢だったなら飛び起きないはずだ
「何かに耐えるような顔して、なんか喘いでいたけど?」
「……はい?」
喘いでた?
いつ?
「これが……」
「証拠の……」
「肉声です」
ベッドの陰から三つの影が飛び出てきた
「さ、サキュバス……」
出てきたのは、まるで水着のようなものを身に纏っている三人のサキュバスだった
確かこいつらは、いつも三人でまとまって行動していたな
最後に出てきたサキュバスが、手になにやら怪しげな装置を持っている
……肉声?
「それではどうぞ♪」
装置に指が触れる
嫌な予感が……
『……やっ、あっ……いやっ…!』
!?!?
あ……あ……そんな……私は……
ん……? 待てよ?
夢でそんなことされるようなシーンなかったぞ?
「それは……」
「昨日のです」
「……え?」
昨日?
ならなおさら違う……あれ?
奴隷がどうとか言ってたけど……
夢の続きが……まさかそんなことに使われていたのか……?
「夢にまで出てくるなんて……」
「魔王様ったら……」
「すごくエッチです♪」
「う、うるさい!」
枕を投げようとする
「え……動けない……」
「今日も少しばかりいやらしかったので……首輪とかつけたり、縛って手枷とかつけたり、拘束着とか着せて官能的にしてみました♪」
メイド長が愛を垂れ流しながらそう告げた
みました♪ じゃないよ……
メイド長……
あなたは前からおかしいと思っていた……
でも、ここまでおかしいとは思わなかったよ……
魔王を自分の趣味の道具に使うなんて……
私、もうお嫁にいけないよう……
「……ところで妹よ」
「なぁに、おねえちゃ……様?」
ん?
「……今、ちゃんづけしようとした?」
「言ってもいい?」
「お姉さまと呼ばないと母様を呼ぶぞ?」
「やだ~」
私だって嫌だ
「じゃあちゃんとして」
「はぁ~い♪」
……あ、忘れるところだった
「妹。なんで私の上にいるんだ?」
「抱き枕。……ふふ~ん♪」
「ひゃっ!」
妹が私のお腹を撫でてきた
「あっ、あっ、やめっ……」
撫でられている部分が過敏に反応してくる
体をよじらせながら必死に耐える
「おねえさまの体って、なぜかすごく敏感だよね。普通、これで反応しないよ?」
「するって。おねがいだからやめて……」
「そうだ! 妹プレイって知ってる?」
妹の手が徐々に上に上がってくる
「妹とするからなんだけど……それじゃあ近親相姦になるということで、姉妹でやるの」
「知らないっ、からやめっ……」
「ここは普通に比べてどのくらい反応するかな~……えいっ♪」
「っあ!」
胸をつかんできた
この服……なんで胸だけ出るようになってるの……
メイド長……あなたとの距離を1光年ほど置いてもいいでしょうか……
「こんなに豊満な体しているのに結婚しないなんてもったいないよ、おねえさま?」
「知ら、ない……あぁん!」
全身に、まるで電気が走ったような感覚が走った
頭が……おかしくなってくる……
視界がぼやけてきた……
「先のほうはもっと敏感だったね、って……ありゃ?」
もう……だめ……
「……気絶しましたね。少々おふざけが過ぎたようです」
「早朝でよかった~」
「よくないですよ。今日は二日目です。着替えさせるのを手伝ってくださいな」
「は~い」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~???~
……ん
あれ、ここは……?
私はいったい……
(おおまお うよしん でしまう とはなさ けない)
……おい、今のはなんだ
っていうか死んだのか?
(まぁ、死んでないんだけどね)
ならよかった
じゃあ、ここはどこだ?
(あなたの意識の中ですけど?)
へぇー
ふぅ~ん
~???~
↓
~意識の中~
(っと)
ん? ……何をした今?
まぁいい
……で? あなたは誰?
(私はあなた。姿同じなんだからわからないの?)
わからないです。だってこっちから姿が見えないから
(ま、いいよ。とりあえずこれだけは言わせてもらうね)
どうぞどうぞ
(私はあなたの抑え付けられた本心。あなたが無意識のままに抑え込んだ欲求)
はいはい
(こうして面と向かっている話ができるくらい膨らんできているの)
見えないけどね
(このままだとあなたはいずれ暴走する)
どんな意味で?
(そのままの意味よ。本能の赴くままに行動するの。自我なんてそこには存在しないわ)
そいつは怖い
……どうでもいいです
わざわざどうも
(ちゃんと考えてるの? あなたが魔界を消滅させる原因になるかもしれないのよ?)
私、まだ18なのでそこまでする力なんてないです
したらしたできっと……
きっと……
きっと……母様のお人形行き決定です
『ふふっ、私の可愛いお人形さん♪ 今日は何して遊ぼうかしら? それじゃあ今日も初夜ごっこにしましょ♪』
……嫌だ
……想像しただけでぞっとする
母様は、なりはただの悪魔だけど……
かなりのSだから、きっと暴走した私に対して過剰攻撃を仕掛けてくるに違いない
(あ、そうなの? 知らなかったわ)
自分自身なのになんて情けない
っていうか……すごく軽く流された
(べつにぃ~ そのほうがよさそうじゃない?)
おい……
さっきまで反対してたのに……なんだそれ
真実を知った途端にコロッと態度を変えちゃって……もう……
どうしてみんなそうなんだろう……
みんなして私のことを……
(~♪)
……こいつも変態だったか
(暴れだしてもストッパーがいるみたいだし? よがり狂っているのを見ているのは楽しいから)
ひどい……
とても私とは思えない発言です
なんだか胸にぽっかりと穴が開いてしまった気がします
……ぐすん
(泣いているあなたを見るのも楽しいわー)
……こいつもSだったか。
その口調が……
まるでスイッチが入った母様みたいだ……
(褒め言葉をありがとう)
褒めてないし
(ん? もうすぐ目を覚ますみたい。んじゃ)
あ、ちょ……
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~魔王城 自室~
「……っ、ん……」
「あ、目が覚めた」
目が覚めると同時に、深い倦怠感が襲い掛かる
そして、私が誰かに抱きかかえられているのがわかった
それにしても……
「はぁ……」
「どうした、姉上よ」
「誰だお前……」
声がした方向に首を動かすと、妹がいた
声音が大人っぽかったからわからん
なんだかとても疲れた……
元はと言えば……妹と私のせい
私のせい?
……違った、もう一人の私のせいだった
「気分はいかがですか?」
「最悪でございますですよ?」
「……おねえさまがおかしくなった」
失礼な!
私はいつも正常運転だ
……そうだ
「……今、何時だ?」
「まだ朝方です。魔王様が気絶してから少ししか経っていません。そして」
側近が視線を下に向ける
つられて下を向く
いつの間にか拘束着が脱がされ、何も纏っていなかった私の体が見えた
えっと……?
「何してたの?」
恐る恐る尋ねる
「着替え途中でございます♪」
後ろからメイド長の声が聞こえた
抱きかかえていたのはメイド長だったのか
サキュバス達は……いないか
「……嘘だ! うっ……」
「大丈夫ですか?」
「頭が……割れそう」
「ごめん、ちょっと調子に乗り過ぎてた」
妹よ……私は式典に必ず参加しなければならないんだぞ?
それを倒れて中止にさせたとなれば、名門の家に泥を塗ることになる
そしてそれは母様に恥をかかせる
そうしたら私は、自我を保ったままお人形行きになる
……それだけは絶対に避けなければならない
~~~O~~~
『うふふ、私の愛おしいお人形さん。今夜は激しい夜になりそうね♪』
『いやっ……いやぁぁぁ!!』
~~~O~~~
……だから妹よ、よく聞け
「やるなら異性とやれ」
「はい」
「ならよろしい」
よし、これで妹がちょっかいを出してくる心配はほとんどないだろう……
……ないだろう
たぶん
忘れている気がしてならない
「ところでおじ……魔王様」
側近が布きれ兼私の正装を持って呼びかける
今、言いかけたな?
まぁいい
「なんだ?」
「確か身に着けていたものはこれですよね?」
「そうだが……?」
側近が黙り込む
……どうした、側近
「……なんでもありません。とりあえず着てしまってください」
はい、と渡してきた
「ありがとう。……もういいぞ、メイド長」
「……え? あ、はい」
メイド長が支えていた手を放す
「っと。……ふう」
よろけるも、なんとかバランスを保つ
それにしても母様が作ってくれた衣装……
着てて実感しました
これはもうビキニです
左右に紐の代わりか…金属のわっかがついてて上半身と下半身の生地をつなげていた
仕方ないので穿く
……次は上か
相変わらず胸のところの表面積が少ない
それに比べ、背中の表面積は大きい
……前と後ろを間違えたと思いたくなる
そう思いながらも首飾り、ブーツ、篭手の順にはめていく
ん? このひらひらにも金属の輪がついている
これはつけるところがない
「……終わり。さて、行こうか」
「わかりました」
「何か悪い虫にでも当たった?」
「そんなことはないぞ?」
ポジティブにいってはいけないのか?
自分で書いてて悶え死んだ、けしからん