第二話 小さな村「レドルの村」
長い夢を見ていた・・・
そして何度も何度もあの悪魔に襲われ、必至に逃げ惑う自分の姿がそこにあった。
それの繰り返し。
カケル「ん、んん・・・ここは・・・」
気がつくと僕はどこかの家のベッドの上に寝ていた。
家の造りは民家のような感じ。
カケル「確かガーゴイルに襲われて・・・助かったということは倒したんだろうか?」
記憶が定かではない。大地震の影響で頭でも打ったのかなぁ。
もっともこれが夢かもしれない?っていう・・・
いやいや、こんな痛い夢なんて勘弁してほしいよ。
僕の体には包帯がしっかり巻かれていた。
少しはマシになったかな・・・それでもやはりすごく痛い・・・
痛々しい身体をゆっくりと起こす。
カケル「ここはどこだろう?何だか懐かしい感じの家だ。」
そんなことを考えながらゆっくり歩を進め、リビングらしき場所に顔を出すとおばさんらしき人が僕の姿に気付いたようだった。
おばさん「おや!!やっと気付いたのねぇ!!」
おばさん「お前さん、お前さん!!」
すると旦那さんらしき人が外から戻ってきた。
男の人「ようやく目が覚めたか。もう三日も寝たきりだったんで心配したよ。」
三日も?僕ってそんなに重症だったのか・・・
カケル「ご迷惑おかけしました。助けて頂いてありがとうございました。」
男の人「いや、あの状態ではもう助からないと・・・とにかく無事で良かった。」
男の人「おっと、紹介遅れたが俺はハン。そしてこちらは家内のミレ。」
カケル「僕はカケルと言います。」
地面に倒れていたところをハンが助けて家まで運んでくれたとのこと。
どうやら身体中が悲鳴を上げていたようで、骨が折れてたくらいでは済まなかった模様。特効薬の薬草とやらを調合して傷口に塗ってくれたようだ。
ハン「それにしても・・・ガーゴイルを一撃とはな!そんな軽装でたいしたやつだ。」
やはり僕の手のあの感触は・・・でもどうやって倒したんだろう?
とにかく無我夢中だったからほとんど記憶が曖昧だ。
ハン「カケル君の剣は今まで見たことないが・・・素晴らしい剣を持っているな!」
僕の剣?剣なんて僕には・・・あっ!
そういえばガーゴイルに刺さってた剣って・・・うー、ダメだ。記憶が曖昧だ。
何であんな場所に剣があるなんてこと、それ自体が理解できなかった。
カケル「ところでここはどこですか?」
ハン「どこって?レドルの村ってとこだけど・・・」
ハン「もしかして頭とか打ってないか?大丈夫か?」
レドル?まさか外国?いや、そんなはずはないだろう。
ハン「とりあえず回復するまではうちにいたらいい。」
今の僕にはまともに動くことすらできず、ここはお言葉に甘えることにした。
そしてベッドへと戻ろうとした時、ふとあるモノが目に入った。
カケル「これがさっき言ってた剣?」
手に取ってみると相当重い・・・普通に持つのだってやっとな感じだ。
いくら火事場の何とかって言ってもコイツを振りかざすことなんて今の僕には絶対ムリだ。
カケル「あれ?」
僕はあることに気付いた。剣の真ん中にある紋章・・・
そうそれはまぎれもなく翔がデザインした“伝説の剣”と言われるやつと一緒だった。
カケル「あのデザインだけは忘れてない。それだけ特徴のあるデザインだったから。」
でも、何でその剣がここにあるのかだけはどんなに考えても分からなかった。
カケル「とりあえず今はゆっくり眠ろう。これは夢かもしれないし。」
どうか夢であって欲しい・・・夢ならどうか覚めて欲しい・・・
そう願いながら眠りにつくのであった。